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|著名な実績 = つげ義春の全作品を網羅した『[[つげ義春大全]]』([[講談社]]、全22巻)の制作<ref name="asuneta">{{Cite web|和書|date=|url=https://asuneta.com/archives/105386|title=つげ義春の息子、統合失調症ではなかった。妻は藤原マキ、子育てで苦労の過去|publisher=アスネタ!|accessdate=2022-10-27}}</ref>
|業績 =
|流派 =
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幼少期に、つげ義春の[[漫画]]の他、『[[つげ義春日記]]』などの[[エッセイ]]にもたびたび登場し、つげファンの間では知られた存在だった。特に[[私小説]]的な作品『[[無能の人]]』では、[[主人公]]・助川助三の息子として、正助がモデルの三助が登場する。[[世捨て人]]たらんとする父を[[現世]]につなぎとめる重要な存在であった。作中、三助は[[喘息]]持ちとして虚弱に描かれているが、現実には正助はそうではなく、「父の作品には[[虚構]]も交じっている」と証言している<ref name="yomi"/>。
 
父がいつも家にいるため父親っ子であった。当時はまだ田んぼの残る調布を父の自転車の前部に乗せられ、走っていた。公団住宅に住んでいた当時、父が四畳半の仕事部屋でコタツで漫画を描いていたが、他の家の父親はみんな会社へ行っているのに、父は寝転がったりしていた。「なぜ昼寝をしているの?」と聞くと、「昼寝じゃなくて仕事だ」「シナリオを考えている」と返答が返ってきた。正助はテレビアニメを見たり、漫画「アラレちゃん」([[Dr.スランプ]])を読むという、ごく「普通」の子供であった。『Dr.スランプ』に登場する「ねじしきくん」のキャラクターが、父の漫画『[[ねじ式]]』の[[パロディ]]だとは知らずに、父の漫画はそれに比較し、「おかしいんじゃないの?」と考え、だから[[ビデオデッキ]]も買えないほど[[貧乏]]なのだと思っており、「アラレちゃん」を描いてほしいと思っていた<ref name="gei">『[[芸術新潮]]』2021年9月号「矢部太郎×つげ正助 ぼくたちのお父さん」([[新潮社]])</ref>。
 
一家には[[自家用車]]がなく、小学2年生までは[[テレビ]]は白黒だった。家族でよく[[旅行]]はしたが、鄙びた場所や[[商人宿]]のようなところにしか泊まらないので、たまには[[リゾートホテル]]などに泊まりたいと考えて不満であったが、父は漫画のネタを探したいと考えていたらしく、「きれいなところは面白くもなんともない」と答え、事実、変なところに泊まったほうが、変なことが起こった。ある商人宿では、共同トイレが通常の水洗ではなく、水鉄砲のような装置で水を流すという珍しいもので、生まれて初めて見て衝撃を受けた。そのうちに[[洗脳]]されて、それが面白いと思えるようになっていった<ref name="gei"/>。
 
=== 中学生以降 ===
中学生の頃に読んでいた漫画は『[[ドラゴンボール]]』くらいで、世代的には小学校5年生時に[[ファミリーコンピュータ|ファミコン]]で[[ドラクエ]]が出ている。父の作品を読んで、ちゃんとした漫画家だと認識したのは[[高校生]]になってからであった。[[竹中直人]]監督の映画『[[無能の人]]』(1991年)公開時には、[[セゾングループ]]の映画化ということもあって、ようやく「メジャー感」を感じ、「凄い」と思えるようになった。その頃に初めて『無能の人』を読み、主人公の息子三助が「僕っぽいけど、僕じゃない」という感慨を持った。作中に三助が「父ちゃん、虫けらってどんな虫?」と問うシーンがあるが、実際には正助が「[[マムシ]]ってどんな虫?」と聞いたことがあって、それを[[アレンジ]]して使っていることを暴露した。また、同作品中に母親が父の髪を切るシーンがあるが、これは柘植家では実際に節約のために行われていた<ref name="gei"/>。
 
=== 成人後 ===
[[2021年]]3月につげ義春の全作品を網羅した『[[つげ義春大全]]』([[講談社]]、全22巻)が完結したが、「父の作品を後世に残したい」と企画をしたのが、正助であった。全集は、一部の貸し本を除き、ほぼ発表年代順に作品を収め、雑誌掲載時のカラー原稿は最新の[[デジタル技術]]で復元したもので、現在では入手困難な[[貸本]]時代の初期作品から、[[旅]]のエッセイ、単発物の[[イラスト]]も収録された。2017年頃から、つげ義春に対し講談社からさかんにオファーがあったものを、義春は断り続けていたが、これをのちに知った正助が懸命に説得し、実現した<ref name="yomi"/>。
 
一時、「つげ義春の息子は[[統合失調症]]」という噂が流れていたが、正助が統合失調症と診断された事も一切かったことが、2022年に判明。かつて、高齢のつげ義春が、統合失調症の息子を世話していたという話が、義春へのインタビュー記事からまことしやかに流れたが、これはある評論家から流された情報であって、事実ではなかった<ref name="asuneta"/>。
 
=== つげ義春のマネージャーとして ===
その後、正助は父のマネージャーとなると、自宅に保管されていた[[原稿]]を整理。[[スキャン]]作業を行う印刷所へは自分で届けるなど奔走。[[台詞]]が剥がれ落ちるなどの個所は、自分で[[接着剤]]で貼りなおすなどし、完成に導いた。貸本時代の原稿の多くは紛失していたが、[[ダンプカー]]の事故とその顛末を描いた社会派作品と評される『[[なぜ殺なかった!]]』([[1961年]])の原稿は、大全の刊行のニュースを知った原稿を所有していたファンから寄贈を受けた<ref name="yomi"/>。
 
正助は、貸本時代の作品群について、『[[ねじ式]]』などの[[芸術]]的と評価された作品だけが注目されるが、[[アイヌ文化]]を題材として[[ミステリー]]、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]を舞台として[[忍者]]活劇、心温まる[[古本屋]]での物語など、『[[ガロ (雑誌)|ガロ]]』以前の父が描いた種々の[[エンタメ]]からは、知識量の凄さを感じるなどと語った<ref name="yomi"/>。また、父の作品について、普通の漫画ではなく、私小説的な文学性がある。[[リアリズム]]は他とは違う。『[[無能の人]]』のように作品に描かれている人物が時として[[フィクション]]ではないと読者に思われることがあるが、主人公が父自身だと思われてしまうということは、家族としては困るし、悩みや苦労はあった。それでも、自分自身、父の生き方、考え方と近いところがある、などとも語った<ref name="dailyshincho">{{Cite web|和書|date=2020年03月28日|url=https://www.dailyshincho.jp/article/2020/03281000/?all=1&fbclid=IwAR2xp-iWCQznS4SgVWEbmgDKi44_3xCrPeE3KERYIxZL-Zjmuznn3QdDBAQ|title=つげ義春の息子が語る「主人公が父自身だと思われると困ります」|publisher=|accessdate=2022-9-21}}</ref>。
 
2020年の[[アングレーム]]で開催され原画展「つげ義春 いて、いない」に尽力する<ref name="shueisha">{{Cite web|和書|date=|url=https://shueisha.online/list/persons/69565aa14c08ce1159272000611|title=人物プロフィール つげ正助 つげ しょうすけ|publisher=集英社オンライン|accessdate=2022-9-21}}</ref>。
 
== 年譜 ==
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**4月15日、父が激しい[[不安]]に襲われ自ら[[慈恵医大病院]]へ電話をする。翌日病院で[[精神安定剤]]と[[睡眠剤]]を処方される<ref name="nikki"/>。
[[ファイル:FIBD2020Fauves 08.jpg|thumb|260px|right|2020年、父・義春が[[アングレーム国際漫画祭]]で特別栄誉賞を受賞した際には尽力しフランスへ同行した]]
* [[1993年]] - 『[[網走番外地 (東映)|網走番外地]]』などで知られる[[石井輝男]]監督により、義春の『[[ゲンセンカン主人]]』が『つげ義春ワールド ゲンセンカン主人』のタイトルで映画化されるが、最後のシーンに一家で出演した<ref name="dd">{{Cite web|和書|url=https://ddnavi.com/book/4948735175/|title=ダ・ヴィンチ - つげ義春ワールド ゲンセンカン主人|accessdate=2022-9-21}}</ref>。
* [[2019年]] - 11月8日、「つげ義春トーク」に[[押井守]]、[[石川浩司]]、[[岩本薫]]などとともに登壇<ref name="yazaki">{{Cite web|url=https://www.facebook.com/photo/?fbid=1079251129073258&set=a.637668333231542|title=矢崎 秀行Facebook|accessdate=2022-9-21}}</ref>。
* [[2020年]] - つげ義春は[[アングレーム国際漫画祭]]で特別栄誉賞を受賞。受賞のため父と[[フランス]]へ同行<ref name="natalie">{{Cite web|和書|date=2022-6-30|url=https://natalie.mu/comic/news/483696|title=つげ義春が82歳にして初海外、フランス旅の全記録がポートレートたっぷりで1冊に|publisher=コミックナタリー|accessdate=2022-9-21}}</ref>。
* [[2021年]] - 3月、『つげ義春大全』刊行にあたっては、父のマネージャー役として奔走する<ref name="asuneta"/>。
* [[2022年]] - 5月14日、トークイベント「つげ義春さんの近況と実績 編集者、ファン、家族の視点」に父とともに出演。「父は芸術院のことをよく知らない。会員になると年金をもらえるから、それが目当てだったのでは」と発言<ref name="asuneta"/>。
 
== 著作 ==
*『つげ義春 名作原画とフランス紀行』 ([[新潮社]]・[[とんぼの本) ]]、2022年6月30日発行、つげ義春、 - 父と[[浅川満寛]]との共著
 
== 出演 ==
=== 映画 ===
*『つげ義春ワールド ゲンセンカン主人』(1993年、[[石井輝男]]監督)
 
==脚注==
{{Reflist}}
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== 関連項目 ==
* [[高野慎三]]
* [[矢部太郎]] - 「[[芸術新潮]]」2021年9月号で対談、テーマは「ちょっと変わったお父さん」。
* [[おんちみどり]] - トークイベント「つげ義春さんの近況と実績 編集者、ファン、家族の視点」にて共演。
 
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