日本の道路標識
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日本の道路標識(どうろひょうしき)は、日本における道路標識について記述する。
概要
日本においては道路交通法に基づき都道府県公安委員会が設置するものと、道路法に基づき道路管理者(国土交通省、都道府県、NEXCOなど)が設置するものがある。
日本の道路標識は本標識と補助標識があり、本標識は案内標識、警戒標識、規制標識、指示標識の4つに区分されている。
いずれの標識も大きさに規定があるが、制限速度60km/h以上の道路においては規定の2倍の大きさまで標識を大きくできる。制限速度100km/h以上の場合は同様に2.5倍の大きさまで大きくできる。
道路標識の大きさ
道路標識の基準は、従来はすべての道路について、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令[1]」(いわゆる「標識令」)に規定されていたが、地方分権の流れのなかで、2012年4月1日からは、都道府県道と市町村道の標識の寸法については、道路管理者である自治体の条例で定めることになった。具体的には、道路法[2]第45条の規定が改正され、以下のようになった。[3]
道路法第45条第3項 都道府県道又は市町村道に設ける道路標識のうち内閣府令・国土交通省令で定め
るものの寸法は、前項の規定にかかわらず、同項の内閣府令・国土交通省令の定めるところを参酌して、
当該都道府県道又は市町村道の道路管理者である地方公共団体の条例で定める。
このように改正されたのは、かって金沢市が景観上の観点から小型の道路標識を設置する方針を示したが、標識令に反するとして認められず(「標識令」の別表第二備考一(二)1及び(五)2)、やむを得ず、内閣府の特区(標識特区)に申請して2006年3月にようやく認められた[4]経緯から、地方の道路の標識の大きさについては国の法令で決めるのではなく、自治体に任せるべきとの国会の判断によるものである。
標識の材質
- 板の素材
- 板面の材質は一般的にアルミニウム合金板で、厚さが2mmのものが使用されるが、『普通鋼板』、『防錆処理鋼板』、『合成樹脂板』、『ハニカムサンドイッチ板』、『ポリエチレンサンドイッチ板』、『メタクリル板』などの素材のも使用されている。
- 支柱の素材
- 支柱の素材は一般的に、鋼柱やアルミニウム合金柱が使用されているが、『鋼管』、『形鋼(H鋼など)』、『テーパーポール』、『ステンレス柱』などの素材のものも使用されている。
- 反射材
- 初期の標識には封入レンズ型というガラスビーズをコーティングした素材を使用していたが、カプセルレンズ型と言う前記素材の4倍以上(比較:白色)の素材が開発され更新時に順次交換されていたが、プリズムレンズ型という封入レンズ型の30倍(比較:白色)という素材が開発され、現在行われている更新ではこの素材に順次交換されている。このプリズムレンズ型は、高い反射性能を有するため僅かな光も確実に反射し、夜間や視力の低い方の視認性が格段に向上している。
種類
以下の説明において、()は標識の番号、「自専道」は自動車専用道路を指す。
本標識
案内標識
地名や交差点での行き先などの案内を示す標識。国土交通省の管轄で道路管理者(国土交通省・東日本高速道路・中日本高速道路・西日本高速道路・都道府県・市町村など)が設置し、基本的に、一般道路に関わる標識は青地に白字で、自動車専用道路に関わる標識は緑地に白字で記してある。東西に走る高速道路で最近に設置された標識は、夕日の逆光によって標識の視認性低下を防ぐため、文字・図柄部に太陽光を透過させる逆光対策標識を採用している。
- 市町村 (101)・都府県 (102):市町村・都府県界に設置し、これから入る市町村・都府県名(都府県・市町村章やイラストが入ることがある)を記す。
- 入口の方向 (103):一般道路で、自専道のインターチェンジの入口の方向を指し記す。
- 入口の予告 (104):一般道路で、自専道のインターチェンジの入口、または入口へ向かう道路の交差点までの距離を記す。
- 方面、方向及び距離 (105):一般道路の交差点の手前に設置し、各方向の国道・都道府県道番号と主要地点までの距離を記す。
- 方面及び距離 (106):一般道路では進行方向の道路の国道・都道府県道番号と主要地点までの距離を記す。自専道では、2つ先までのインターチェンジ・ジャンクションまでの距離(高速自動車国道のみ)と主要地点までの距離を記す。
- 方面及び車線 (107):多車線道路で、走行する車線の主な方面、及び車線の種類(走行車線・追越車線・登坂車線など)を記す。
- 方面及び方向の予告 (108)・方面及び方向 (108の2)・方面、方向及び道路の通称名の予告 (108の3)・方面、方向及び道路の通称名 (108の4):一般道路では交差点の手前(予告の場合は相当手前、中央下部に残り距離を記す)に設置し、交差点の形状(模式)と矢印を引き、矢印に国道・都道府県道番号を入れ、先に主要地点を記す。通称名 (108の3・4) は交差点部分に左右の道路の通称名を記す。自専道 (108の2) では、インターチェンジなどの分岐部に設置し、矢印と主要地点を記す。
- 出口の予告 (109):高速自動車国道で、インターチェンジ・ジャンクションの約2km手前に設置し、次のインターチェンジ・ジャンクション名と残り距離を記す。
- 方面及び出口の予告 (110)・方面、車線及び出口の予告 (111)・方面及び出口 (112):自専道で、インターチェンジの手前(高速自動車国道では約1km手前と約500m手前、都市高速道路では約700m手前、及び出口 (112))に設置し、次のインターチェンジを降りると向かうことができる主要地点と残り距離を記す。車線減少を伴う場合 (111) は、該当車線の上に設置し、下向きの矢印で当該車線がインターチェンジの先は本線でなくなることを記す。
- 出口 (113):自専道で、インターチェンジの分岐部直前に設置し、インターチェンジ名と出口であることを記す
- 著名地点 (114)・主要地点 (114の2):著名・主要な場所に設置し、名前(河川・湖・駅・公園・その他地名)を記す(地点が近傍にあれば、矢印と距離を記す)。
- 料金徴収所 (115):有料道路の本線料金所手前に設置し、料金所の存在と距離を記す。
- サービス・エリアの予告 (116)・サービス・エリア (116の2):自専道のサービスエリア・パーキングエリアの手前(予告の場合は相当手前、約1km手前・約500m手前、サービスエリアではさらに約2km手前も)に設置し、エリアの名前と設備(イラスト)、残り距離を記す。
- 非常電話 (116の2):自専道で非常電話のある手前、または頭上に設置し、非常電話の存在を記す。
- 待避所 (116の3):一般道路で、狭部の待避所の手前に設置し、待避所の存在を記す。
- 非常駐車帯 (116の4):自専道で、非常駐車帯の手前、または頭上に設置し、非常駐車帯の存在を記す。
- 駐車場 (117):一般道路では駐車場の手前に、自専道ではサービスエリア・パーキングエリアの分岐部の分離帯に設置し、駐車場・エリアの存在を記す。
- 登坂車線 (117の2):登坂車線の手前(予告の場合は相当手前、残り距離を記す)に設置し、登坂車線の存在を記す。
- 国道番号 (118)・都道府県道番号 (118の2):一般国道・都道府県道に設置し、走行中の道路の国道・都道府県道番号を記す。他に、交差点に設置し、国道・都道府県道番号と方向を記し、色づけ(国道は赤、主要地方道は緑、その他都道府県道は黄)をした標識もある。路線番号案内標識も参照。
- 福島県では都道府県道番号は県道と路線番号、路線名が2枚設置されている。
- 総重量限度緩和指定道路 (118の3):総重量限度緩和指定道路に設置し、総重量限度緩和指定道路であることを記す。
- 高さ限度緩和指定道路 (118の4):高さ限度緩和指定道路に設置し、高さ限度緩和指定道路であることを記す。
- 道路の通称名 (119):一般道路で交差点、及び通称名を持つ道路に設置し、通称名を記す。また、都市高速道路に設置し、走行中の道路の通称名を記す。
- まわり道 (120):通行止めの場所の手前(予告の場合は相当手前)に設置し、まわり道の方向、またはまわり道の地図を記す。
- エレベーター (121)・エスカレーター (122)・傾斜路 (123)・乗合自動車停留所 (124)・路面電車停留場 (125)・便所 (126):それぞれの手前に設置し、存在を記す(地点が近傍にあれば、矢印と距離を記す)。
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方面及び方向 (108の2)。一般道における案内標識の標準的な設置形態
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方面、方向及び道路の通称名 (108の4)
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非常電話 (116の2)(左上隅)
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総重量限度緩和指定道路 (118の3) と高さ限度緩和指定道路 (118の4)
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道路の通称名 (119)
警戒標識
警戒すべきことを示す標識。国土交通省の管轄で道路管理者が設置し、黄色地に黒ふち・黒模様の菱形。通常の大きさは一辺45cm。
- 道路交差点あり (201):道路交差点の手前に設置し、この先に標識の図にある形状の交差点があることを喚起する。
- ロータリーあり (201の2):ロータリーの手前に設置し、この先にロータリーがあることを喚起する。
- 屈曲あり (202)・屈折あり (203)・背向屈曲あり (204)・背向屈折あり (205)・つづら折りあり (206):カーブの手前に設置し、この先に標識の図にあるカーブがあることを喚起する。
- 踏切あり (207)・学校・幼稚園・保育所等あり (208)・信号機あり (208の2):それぞれの施設の手前に設置し、この先に標識の図にある施設の存在を喚起する。
- 「踏切あり」は、かつては蒸気機関車が描かれていたが、1986年から電車が描かれたデザインに変更され、順次取り替えられている。ただし、2011年時点でも、旧デザインの蒸気機関車の標識が残る踏切もある。一部の非電化路線では電車が描かれたデザインからパンタグラフが消された気動車バージョンのものもある。
- 「信号機あり」は、信号機のある交差点などの付近に必ず設置されているとは限らない。むしろほとんどの場所で設置されておらず、カーブ・トンネル・坂道の向こう側など見通しの悪いところに交差点がある場合、その手前に設置される程度である。「信号機あり」の標識から交差点までの距離が記されている補助標識(「この先100m」など)が一緒に取り付けられることもある。
- すべりやすい (209)・落石のおそれあり (209の2)・路面凹凸あり (209の3)・合流交通あり (210)・車線数減少あり (211)・幅員減少 (212)・二方面通行 (212の2)・上り急勾配あり (212の3)・下り急勾配あり (212の4)・道路工事中 (213)・横風注意 (214)・動物が飛び出すおそれあり (214の2):それぞれの手前に設置し、この先に標識の図にある障害・道路環境の変化があることを喚起する。
- その他の危険 (215):上記の警戒標識にない場合に、補助標識とともに危険箇所の手前に設置し、補助標識の内容を喚起する(目に見えて危険が分かる場合は補助標識を伴わない場合もある)。
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道路交差点あり (201)
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ロータリーあり (201の2)
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屈折あり (203)
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背向屈折あり (205)
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つづら折りあり (206)
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踏切あり (207) 新形式
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学校・幼稚園・保育所等あり (208)
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すべりやすい (209)
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落石のおそれあり (209の2)
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合流交通あり (210)
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車線数減少あり (211)
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幅員減少 (212)
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上り急勾配あり (212の3)
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横風注意 (214)
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動物が飛び出すおそれあり (214の2)
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その他の危険 (215)(通り抜け不可を示す)
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右屈曲あり (202) と路面凹凸あり (209の3)
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動物が飛び出すおそれあり(ウサギのパターン)
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動物注意(沖縄県:ヤンバルクイナ)
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転落注意(鳥取県)
規制標識
何らかの行動を禁止・規制する標識。警察庁の管轄で各都道府県の公安委員会が設置し、多くが丸型で、禁止・徹底事項は赤の縁取りで青字、指定事項は青地で白字が使われる。通常の丸型の場合の大きさは直径50cm・赤の縁取りを入れる場合その縁の幅8cm・赤の斜線(左上)を入れる場合角度45°幅4cm。
補助標識を伴い、一部の車種や時間などを指定した規制を表す場合もある。
- 通行止め (301):通行止め箇所の入口などに設置し、この道路が通行止めであることを表す。
- 車両通行止め (302):通行止め箇所の入口や車止めなどに設置し、この道路が車両に限り通行止めであることを表す。
- 車両進入禁止 (303):一方通行の出口や通行止め箇所の入口などに設置し、この道路が(標識の面する方向において)車両の進入が禁止されていることを表す。
- 多方向からの広い角度での視認性を確保するため、横方向に引き伸ばして筒状に成形したものも一部存在する。
- 二輪の自動車以外の自動車通行止め (304)・大型貨物自動車等通行止め (305)・特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め (305の2)・大型乗用自動車等通行止め (306)・二輪の自動車・原動機付自転車通行止め (307)・自転車以外の軽車両通行止め (308)・自転車通行止め (309)・車両(組み合わせ)通行止め (310):通行止め箇所の入口などに設置し、この道路が標識の図にある車種は通行止めであることを表す。中型自動車の区分の新設に伴い、「大型貨物自動車通行止め」、「大型乗用自動車通行止め」は既設も含め「大型貨物自動車等通行止め」、「大型乗用自動車等通行止め」となった。これに伴い、これらの標識の規制対象には、特定中型貨物自動車、特定中型乗用自動車をそれぞれ含む(車両の種類を示す記号による場合や、特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止めに係る車両の種類を示す記号および積載量の表示による場合も同様)。
- 大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り禁止 (310の2):指定箇所・区間に設置し、大型自動二輪車及び普通自動二輪車の二人乗りが禁止されていることを表す。
- 指定方向外進行禁止 (311):交差点の手前などに設置し、矢印の方向以外の進行が禁止されていることを表す。
- 兵庫県では最近、この標識は撤去される傾向にある。
- 車両横断禁止 (312):指定箇所に設置し、車両の道路の横断(道路右側の施設へ入るために対向車線を横断するなど)が禁止されていることを表す。
- 転回禁止 (313):指定箇所・区間に設置し、車両の転回(Uターン)が禁止されていることを表す。
- 追越しのための右側部分はみ出し通行禁止 (314)・追越し禁止 (314の2):指定区間に設置し、前の走行車両を追越すために中央線をはみ出してはいけないことを表す。補助標識に「追越し禁止」とある場合 (314の2)、はみ出しがなくとも前の走行車両を追い越してはいけないことを表す。
- 「追越し禁止」の補助標識がない314は「追越し禁止」を意味しない。
- 駐停車禁止 (315):指定箇所・区間に設置し、渋滞・一時停止などやむを得ない場合を除き、駐車・停車をしてはいけないことを表す。標識上部、または補助標識で規制時間を表す場合がある。
- 駐車禁止 (316)・駐車余地 (317):指定箇所・区間に設置し、例外を除き、駐車をしてはいけないことを表す。標識上部、または補助標識で規制時間を表す場合がある。また、補助標識に「駐車余地」がある場合 (317)、駐車した場合に幅が指定より狭くなる場合には駐車をしてはいけないことを表す。
- 時間制限駐車区間 (318):駐車区間に設置し、指定の時間帯に、指定の時間、指定の場所(パーキングメーター・パーキングチケット式の路上駐車場)であれば駐車できることを表す。
- 危険物積載車両通行止め (319):通行止め箇所の入口などに設置し、この道路が危険物を積載した車両は通行止めであることを表す。特に、水底・水際・長大トンネルに設置されている。
- 重量制限 (320)・高さ制限 (321)・最大幅 (322):通行止め箇所の入口などに設置し、この道路が指定の重量 (320)・高さ (321)・幅 (322)を超える車両は通行止めであることを表す。
- いずれも、乗車している人員や積載している荷物の重量・高さ・幅が含まれる。
- 最高速度 (323)・特定の種類の車両の最高速度 (323の2):指定箇所・区間に設置し、車両(補助標識により特定の車種にのみ限定する場合がある (323の2))の最高速度が制限されていることを表す(原付は最高速度が法定速度より高い場合は、法定速度を遵守する)。
- かつては「最高速度」と「高・中速車」の補助標識が多く見られるのがあったが、現在は一部しか残っていない。
- 最低速度 (324):指定箇所・区間に設置し、渋滞・一時停止などやむを得ない場合を除き、車両(補助標識により特定の車種にのみ限定する場合がある)の最低速度が制限されていることを表す。
- 自動車専用 (325)・自転車専用 (325の2)・自転車及び歩行者専用 (325の3)・歩行者専用 (325の4):専用道路の入口などに設置し、この道路が指定の車両、または歩行者の専用道路であることを表す。
- 一方通行 (326):指定箇所・区間に設置し、車両(補助標識により軽車両を除く場合や時間を限定する場合がある)の進行方向を一方のみに指定していることを表す。
- 車両通行区分 (327)・特定の種類の車両の通行区分 (327の2)・牽引自動車の高速自動車国道通行区分 (327の3)・専用通行帯 (327の4)・路線バス等優先通行帯 (327の5)・牽引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間 (327の6):多車線道路で、指定区間に設置し、当該車線が指定車種の通行帯を指定したり (327・327の2・327の3・327の6)、指定車種だけの通行を認めたり (327の4)、バスの通行を優先しなければならない (327の5) 車線であることを表す。
- 現在車両通行区分の設置場所は少なく、設置されているのは愛知県豊橋市の国道1号では「車両通行区分」の「車両の種類」は「普通 他の車両」、「大貨 大特」で時間帯は「23-5」と表示されている。また、愛知県岡崎市では「車両通行区分」の「車両の種類」は「大型等」で時間帯は「22-6」と表示されている。また、他県の一部でも存在している。ただし、「車両通行区分」の例の部分の「二輪 軽車両」と「牽引(けんいん)自動車の高速道路国道通行区分」は場所すら全く見られない。
- 北海道では「専用通行帯」、「路線バス等優先通行帯」の標識の左側に「バス・タクシー・二輪」などの「車両の種類」と本標識の下に「日曜・休日を除く」と時間帯の「日・時間」の補助標識が設置されている。
- 愛知県名古屋市では可変標識に「路線バス等優先通行帯」の標識の上の補助標識に「自動車」が表示されている。
- 進行方向別通行区分(327の7):交差点の手前などに設置し、交差点の進行方向別に通行区分が指定されていることを表す。
- 原動機付自転車の右折方法(二段階)(327の8)・原動機付自転車の右折方法(小回り)(327の9):交差点の手前、または交差点内に設置し、交差点での原動機付自転車の右折方法を別な方法に指定(または指定の方法を徹底)していることを表す。
- 平行駐車 (327の10)・直角駐車 (327の11)・斜め駐車 (327の12):道路や分離帯の側端に対し、表示された方向で駐車すべきことを表す。
- 警笛鳴らせ (328)・警笛区間 (328の2):指定箇所に設置し、警笛を鳴らさなければならない場所であることを表す。補助標識に「区間」、または「警笛区間」とある場合 (328の2)、区間内の見通しの悪い各地点において警笛を鳴らさなければならないことを表す。
- 徐行 (329)・前方優先道路 (329の2):指定箇所に設置し、徐行しなければならない場所であることを表す。補助標識に「前方優先道路」とある場合 (329の2)、前方が優先道路であるため徐行しなければならないことを表す。
- 一時停止 (330):指定箇所に設置し、停止線(ない場合は交差点の直前)で一時停止しなければならない場所であることを表す。
- 福島県では一時停止の補助標識に「自転車も止まれ」の振り仮名ありと赤の文字が設置されている。福島県以外にも「自転車も止まれ」の補助標識を設置している箇所がある。ただし「自転車も止まれ」の補助標識を設置しているかどうかにかかわらず、この標識のある場所では自転車も一時停止しなければならない。
- 静岡県では車両一方通行(軽車両を除く)の一時停止標識がある交差点の対向側に小さなサイズの一時停止標識と「自転車止まれ」の補助標識が設置されている。
- 兵庫県では標識と停止線が離れている場合、「この先○m」の補助標識を設置する。
- 補助標識に「前方優先道路」とある前方優先道路・一時停止 (330の2) という、前方が優先道路であるため一時停止しなければならないことを表す標識があったが、2008年に廃止され、一時停止 (330) に統合された。
- 歩行者通行止め (331):通行止め箇所の入口などに設置し、この道路が歩行者は通行止めであることを表す。
- 歩行者横断禁止 (332):指定箇所・区間に設置し、歩行者の横断が禁止されていることを表す。
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通行止め (301)
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車両通行止め (302)
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車両進入禁止 (303)
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二輪の自動車以外の自動車通行止め (304)
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大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り禁止 (310の2)
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指定方向外進行禁止 (311)
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車両横断禁止 (312)
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転回禁止 (313)
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追越しのための右側部分はみ出し通行禁止 (314)
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駐停車禁止 (315)
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駐車禁止 (316)
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危険物積載車両通行止め (319)
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重量制限 (320)
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高さ制限 (321)
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最高速度 (323)
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最低速度 (324)
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自動車専用 (325)
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自転車及び歩行者専用 (325の3)
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一方通行 (326)
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車両通行区分 (327)
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路線バス等優先通行帯 (327の5)
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警笛鳴らせ (328)
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歩行者通行止め (331)
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歩行者横断禁止 (332)
指示標識
何らかの許可や命令、横断歩道など道路上の施設を示す標識。警察庁の管轄で公安委員会が設置し、四角形、青地で白い絵がほとんど。通常の四角形の場合の大きさは一辺60cm。
- 並進可 (401)・軌道敷内通行可 (402)・駐車可 (403)・停車可 (404):許可箇所・区間に設置し、この道路が図のような走行 (401・402)・駐車 (403)・停車 (404) を行ってもよいことを表す。
- 高齢運転者等標章自動車駐車可 (402の2)・高齢運転者等標章自動車停車可 (403の3):許可箇所・区間に設置し、この道路が高齢運転者等標章自動車が駐車 (402の2)・停車 (403の3) を行ってもよいことを表す。
- 優先道路 (405):指定区間などに設置し、この道路が優先道路に指定されていることを表す。
- 中央線 (406):道路中央に中央線がない場合などに設置し、矢印の下に中央線があることを表す。
- 停止線 (406の2):冬期の積雪で停止線が隠れる交差点などに設置し、標識の位置に停止線があることを表す。
- 横断歩道 (407)・自転車横断帯 (407の2)・横断歩道・自転車横断帯 (407の3):横断歩道・自転車横断帯の手前、または頭上に設置し、横断歩道・自転車横断帯の存在を表す。
- 安全地帯 (408):安全地帯の直前に設置し、安全地帯の存在を表す。
- 規制予告 (409):規制開始箇所の相当手前に設置し、この先に規制箇所があり、規制内容と規制開始箇所までの距離、まわり道を表す。
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軌道敷内通行可 (402)
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駐車可 (403)
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停車可 (404)
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優先道路 (405)
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横断歩道 (407)
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安全地帯 (408)
補助標識
本標識の補助を行う標識。横長で白地に黒字(トラック、バスのマークも含む)または赤(主に矢印の使用)である。通常の場合の大きさは案内標識を補助する場合は幅80cm、警戒標識を補助する場合は幅40cm、規制・指示標識を補助する場合は幅60cm(ただし、一部の都道府県では幅40cm)。
- 距離・区域 (501):案内・警戒・規制・指示を補助し、その距離や区域を示す(「この先100m」「ここから50m」「市内全域」など)。
- 日・時間 (502):規制・指示を補助し、その規制・指示が実施される日や時間を示す(「日曜・休日を除く」「8-20」(8時から20時)など)。
- 車両の種類 (503):規制・指示を補助し、その規制・指示の対象となる車の種類を示す。「大型等」(「大型・大特・特定中型」またはトラック及びバスのマーク)は大型自動車・特定中型自動車・大型特殊自動車、「大貨等」(「大貨・大特・特定中貨」またはトラックのマーク)は大型貨物自動車・特定中型貨物自動車・大型特殊自動車、「標章車専用」は高齢運転者等標章自動車を意味する。
- 駐車余地 (504):規制の「駐車余地」 (317) を補助し、あけなければならない余地の幅を示す。
- 駐車時間制限 (504の2):規制の「時間制限駐車区間」 (318) を補助し、パーキングメーターやパーキングチケットに表示された時刻まで駐車できることを示す。
- 始まり (505):規制・指示を補助し、その規制・指示が始まる場所であることを示す。→(右向き矢印)で表示しているものと、文字で「ここから」と表示しているものがある。近年では後者が多くなっている。なお矢印の向きが右側なのは、標識を道路と平行の向きにした際に「ここから先」と理解させるため(下述の「終わり」も同様)。
- 区間内 (506)・区域内 (506の2):規制・指示を補助し、その規制・指示の区間内・区域内であることを示す。左右方向の矢印で表示しているものと、文字で「区域内」と表示しているものがある。1992年の改正で、大半の「区間内」標識は省略するようになった。
- 終わり (507):規制・指示を補助し、その規制・指示が終わる場所であることを示す。←(左向き矢印)で表示しているもの、文字で「ここまで」と表示しているもの、円形で白地に細い青枠、中央にほぼ縦方向で太い青線が入る形のものがある。近年では文字で「ここまで」と表示するものが多い。
- 通学路 (508):警戒の「学校・幼稚園・保育所等あり」を補助する。
- 追越し禁止 (508の2):規制の「追越し禁止」を補助する。
- 前方優先道路 (509):規制の「前方優先道路」・「前方優先道路・一時停止」を補助する。
- 踏切注意 (509の2)・横風注意 (509の3)・動物注意 (509の4):警戒の該当する標識を補助する。
- 注意 (509の5):警戒の「その他の危険」を補助する。
- 注意事項 (510):警戒を補助する。
- 規制理由 (510の2):規制・指示の「規制予告」を補助する。
- 方向 (511)・地名 (512)・始点 (513)・終点 (514):案内を補助する。
歴史
- 1899年(明治32年)6月 - 警視庁が制札制文令を通達。適用範囲は、東京府のみ。
- 1922年(大正11年)11月9日 - 道路警戒標及ビ道路方向標ニ関スル件が施行され[3]、道路標識(当時は、道路方向標と呼ばれた)が初めて体系的に整備される。
- 1942年(昭和17年)5月13日 - 道路標識令施行、道路警戒標及ビ道路方向標ニ関スル件廃止[4]。
- 1950年(昭和25年)3月31日 - 道路標識令改正[5]。道路標識の基が完成。このときの「方面及び距離」などの案内標識は、背景が白色、矢印が赤色、文字が黒色と現在と大幅に異なっている。
- 1960年(昭和35年)5月10日 - 案内標識に「国道番号」を追加[6]。
- 1960年(昭和35年)12月20日 - 標識令(道路標識・区間線及び道路標示に関する命令)施行、道路標識令廃止[7]。
- 1962年(昭和37年)1月30日 - 案内標識に「方面及び方向」「街路の名称」が追加。「方面及び方向」の追加により、初めて背景が藍色、矢印・文字が白色のものが登場した。ただし、矢印の形が現在と異なっており、ローマ字も白看板のフォントである[8]。
- 1963年(昭和38年)7月14日 - 標識の大規模な改定を実施、高速道路などの標識を新設[9]。多くの道路標識が現在の様式となる。
- 1960年代後半 - 高速道路等の文字のフォントが手書きから、いわゆる「公団ゴシック」に変更。
- 1971年(昭和46年)12月1日 - 案内標識が大幅にデザイン変更、「都道府県道番号」を追加。一般道路のすべての「方面及び距離」、「方面及び方向」などの案内標識が背景が藍色、矢印が白色のものに統一。全案内標識のローマ字併記を廃止[10]。
- 1970年代 - 案内標識の文字が手書きから太めの丸ゴシック体に変更。看板自体に反射材が使用されるようになり、従来の藍色から鮮やかな青色に変更。
- 1986年(昭和61年)10月25日 - 案内標識にローマ字が再び追加[11]。また、案内標識、補助標識の書体が従来の太めの丸ゴシック体からナール[12]と呼ばれる細めの書体へと徐々に変更。
- 1992年(平成4年)11月1日 - 指示標識に「横断歩道・自転車横断帯」が追加。補助標識「車両の種類」に記号表示(トラックやバスのマークなど)、「始まり」「終わり」に文字表示(「ここから」「ここまで」)を導入[13]。また、一部の都道府県を除き、補助標識が大型化される。
- 1997年(平成9年)10月30日 - 規制標識に「特定の種類の車両の通行区分」、「牽引自動車の高速自動車国道通行区分」、「牽引自動車の自動車専用道路第1通行帯通行指定区間」が追加[14]。
- 1998年(平成10年)4月1日 - 案内標識に「総重量限度緩和指定道路」の標識が追加[15]。
- 2000年(平成12年)11月15日 - 案内標識に「エレベーター」、「エスカレーター」、「傾斜路」、「乗合自動車停留場」、「路面電車停留場」、「便所」が追加[16]。
- 2008年(平成20年)8月1日 - 規制標識の「前方優先道路・一時停止」が廃止(「一時停止」に統合)。また、規制標識に「平行駐車」、「直角駐車」、「斜め駐車」 、補助標識に「駐車時間制限」が追加。高速道路等以外でのキロメートルの標示を、Km(頭文字が大文字)からkm(頭文字が小文字)に、交差点の予告を○mからこの先○mに改正[17]。(キロも参照)
- 2010年(平成22年)4月19日 - 指示標識に「高齢運転者等標章自動車駐車可」、「高齢運転者等標章自動車停車可」、補助標識に「車両の種類」(標章車専用)が追加。
その他
- 「市町村」、「都府県」、「著名地点」、「主要地点」、「総重量限度緩和指定道路」、「高さ限度緩和指定道路」、「始点」、「終点」などの一部は「交通の教則」には掲載されていない。
脚注
- ^ いずれも本標識である
- ^ 新潟県の一部では「大型貨物自動車等通行止め」の標識でも設置されているのがある。
- ^ 同日、内務省令第27号
- ^ 同日、内務省令第24号
- ^ 同日、総理府・建設省令第1号
- ^ 同日、総理府令・建設省令第1号
- ^ 同年12月17日、総理府・建設省令第3号
- ^ 同日、総理府・建設省令第1号
- ^ 同年7月13日、総理府・建設省令第2号
- ^ 同年11月30日、総理府・建設省令第1号
- ^ 同日、総理府・建設省令第1号
- ^ 「ナール体(写研製)」が標識令などで厳密に取り決められているという資料は、国土交通省道路局によると存在しないとのことであるが、各地で過去に行われた視認性等の試験の結果、この書体がデファクトスタンダードになっているようである。ただし一部の例外もあり、東京都品川区においては、区が独自に設置している街路標識の書体を「ナール体」ではなく、同じく写研製の「ゴナ体」としている。
- ^ 同年6月8日、総理府・建設省令第1号
- ^ 同年8月19日、総理府・建設省令第1号
- ^ 同年3月24日、総理府・建設省令第1号
- ^ 同日、総理府・建設省令第4号
- ^ 同年6月30日、内閣府・国土交通省令第2号
関連記事
外部リンク
- 道路標識(国土交通省道路局)
- 道路標識何でもコーナー(株式会社キクテック内)
- 道路標識の歴史(変遷)(株式会社キクテック内)
- 道路標識と反射製品(国策共栄株式会社内)
- 道路標識の画像提供サイト