アジアノロバ
アジアノロバ(Equus hemionus)は、奇蹄目ウマ科ウマ属に分類される奇蹄類。
アジアノロバ | |||||||||||||||||||||||||||
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アジアノロバ Equus hemionus
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保全状況評価[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ワシントン条約附属書II
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Equus hemionus Pallas, 1775[2] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
アジアノロバ[3][4] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Onager Asian wild ass Kulan |
分布
編集インド北西部、イラン、中華人民共和国北部、トルクメニスタン、モンゴル南部[2]。
アゼルバイジャン、アフガニスタン、アルメニア、イラク、ウクライナ、キルギス、クウェート、サウジアラビア、シリア、ジョージア、タジキスタン、トルコ、ヨルダン、レバノン、ロシアでは絶滅[2]。
形態
編集体長200 - 250センチメートル[4]。尾長30 - 49センチメートル(房毛除く)[4]。肩高100 - 140センチメートル[4]。体重400 - 500キログラム[4]。鬣は発達せず、尾先端の体毛もあまり房状にならない[4]。前肢内側にたこがあるが、後肢にはたこがない[4]。体色は淡黄色や赤褐色[4]。鬣や尾先端の房毛は黒褐色[4]。背には正中腺に沿って黒い筋模様が入る[4]。
分類
編集和名は小原(2000)、英名は2016年現在のIUCNに従う[2][4]。
- Equus hemionus hemionus Pallas, 1775 ジゲダイ、モウコノロバ Mongolian Kulan
- モンゴル北東部に自然分布していたが絶滅[4]。中華人民共和国に飼育個体が生存している[4]。
- †Equus hemionus hemippus I. Geoffroy, 1855 シリアノロバ[5] Syrian wild ass(絶滅亜種)
- イラク、イラン、サウジアラビア、シリア[2]
- Equus hemionus khur (Lesson, 1827) インドノロバ Indian wild ass, Khur
- インド北西部[2]
- Equus hemionus kulan (Groves & Mazak, 1967) クーラン Kulan, Turkmenian kulan
- トルクメニスタン[4]
- Equus hemionus luteus Matschie, 1911 ゴビノロバ
- ゴビ砂漠およびその周辺[4]
- Equus hemionus onager Boddaert, 1785 オナガー Iranian Onager, Onager, Percian wild ass
- イラン北部および中南部[3][4]
生態
編集半砂漠地帯や荒れ地などに生息する[3]。1頭のオスと、メスや生後2年までの幼獣からなる6 - 12頭の小規模な群れを形成し生活する[4]。以前は秋季に小規模な群れが集まり、100頭以上の大規模な群れを形成することもあった[4]。夏季は高地で生活し、冬季になると風を避けるために河川沿いや谷間へ移動する[4]。短距離であれば時速60 - 70キロメートルで走行することができ、時速40 - 50キロメートルの速度を維持しながら長距離を走行することもできる[4]。
植物の豊富な環境では草を食べるが、乾燥地帯では木の葉も食べる[2]。
繁殖様式は胎生。繁殖期になるとメスを巡ってオス同士で歯や蹄を使い争う[4]。妊娠期間は331 - 374日[4]。春季から初夏にかけて幼獣を産む[4]。授乳期間は9 - 12か月[4]。幼獣は生後2週間で母親と一緒に走行できるようになる[4]。オスは生後4年、メスは生後2-3年で性成熟するが、通常メスは生後3-4年で初産を迎える[4]。寿命は飼育下で22年10か月の記録がある[4]。
人間との関係
編集シュメール人は本種を家畜として飼育していたとされる[3]。内臓が薬用になると信じられている地域もある[2]。
開発による生息地の破壊、食用や薬用・皮用などの乱獲、家畜との競合などにより生息数は激減している[2][4]。
- E. h. hemionus ジゲダイ
- NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[2]
- ワシントン条約附属書I[1]
- E. h. hemippus シリアノロバ
- 1927年に絶滅したとされる[2]。
- EXTINCT (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[2]
- E. h. khul インドノロバ
- 1991年における亜種インドノロバの生息数は2,072頭とされる[4]。
- NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[2]
- ワシントン条約附属書I[1]
- E. h. kulan クーラン
- 亜種クーランは絶滅したと考えられていたこともあった[4]。
- ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[2]
- E. h. onager オナガー
- ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[2]
出典
編集- ^ a b c Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(Accessed[リンク切れ] 28/2/2017)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Kaczensky, P., Lkhagvasuren, B., Pereladova, O., Hemami, M. & Bouskila, A. 2015. Equus hemionus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T7951A45171204. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T7951A45171204.en. Downloaded on 28 February 2017.
- Kaczensky, P., Lkhagvasuren, B., Pereladova, O., Hemami, M. & Bouskila, A. 2015. Equus hemionus ssp. hemionus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T7952A3144453. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T7952A3144453.en. Downloaded on 28 February 2017.
- Moehlman, P.D. & Feh, C. 2015. Equus hemionus ssp. hemippus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T7962A3144566. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T7962A3144566.en. Downloaded on 28 February 2017.
- Kaczensky, P., Lkhagvasuren, B., Pereladova, O., Hemami, M. & Bouskila, A. 2016. Equus hemionus ssp. khur. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T7963A3144616. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T7963A3144616.en. Downloaded on 28 February 2017.
- Kaczensky, P., Lkhagvasuren, B., Pereladova, O., Hemami, M. & Bouskila, A. 2016. Equus hemionus ssp. kulan. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T7964A3144714. Downloaded on 28 February 2017.
- Hemami, M., Kaczensky, P., Lkhagvasuren, B., Pereladova, O. & Bouskila, A. 2015. Equus hemionus ssp. onager. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T7966A3144941. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T7966A3144941.en. Downloaded on 28 February 2017.
- ^ a b c d 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、90、189、196頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af 小原秀雄 「アジアノロバ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、149-150頁。
- ^ 和名は祖谷勝紀「ロバ、ノウマのなかま」(東京動物園協会『世界の動物 分類と飼育4』1984,所収)に記載