コナベーション
コナベーション、または、コナーベーション(英: conurbation)とは、発生を異にする複数の隣接する都市が発展し、行政区分の境界を越えてつながって連坦し、1つの都市域を形成している状態のこと[1]。
由来
編集パトリック・ゲデスがその著書「Cities In Evolution」(1915年)において造語した[2]。
語源
編集- con-(コン):「一緒に」という意の接頭辞。ラテン語の前置詞に由来。
- urban(アーバン):「都市化した」という意の形容詞。
- -ate(エイト):「~させる」「~する」という意の動詞を作る接尾辞。
以上より conurbate(コナーベイト)、すなわち、「共に都市化させる、する」という意味の動詞が造語され、これに「状態」「結果」などを意味する名詞を作る接尾辞 -tion を付けて conurbation(コナーベーション)という言葉が造られた。短母音の「コナベーション」は、日本語に取り入れられた際に訛ったもの[要検証 ]。和訳として「連合都市」「連接都市」[3]「連担都市」[4][5][6][7]「連檐(れんたん)都市」[8][2]。
背景
編集コナベーションという言葉は、産業革命により労働者が都市に流入したことで急速な都市化が進行した欧米の工業都市の発展過程を説明するために生み出された。これは、自然科学における進化論にヒントを得て当時流行した社会進化論の中の1つの概念でもある。[要検証 ]
イギリスでは大都市圏(metropolitan area)とほとんど同義で、ロンドン・コナベーションとはロンドン大都市圏のことである[2]。
類型
編集当初の概念では第二次産業労働者が多い工業都市を想定していたため、いくつかの都市が近接していても、労働市場が異なったり、相補関係が見られなかったりする場合にはコナーベートしているとは言わなかった。一方、市街地の連続が無くても相補関係があればコナーベートしていると言われていた。
現在では、第三次産業労働者が多い都市にもこの言葉が転用されているため、都市圏を形成していればコナーベートしていると言われる。特に日本では、都市圏より狭い範囲に対し、市街地が連続している地域を指してコナーベーションとの言葉が用いられる傾向が見られる。さらにコナーベーションより狭い範囲において、人口が密集している地域は、人口集中地区(英: Densely Inhabited District)と呼ばれる。以下、これをDIDと示す。
このような言葉の使い分けの中で、コナーベーションは大きく分けて2つの類型がある。
- 2つ目は、突出した人口集中地区がなく、複数の主な人口集中地区と周辺市街地・郊外住宅地の範囲を指す場合で、双子都市や複数の核都市による都市圏などに見られる類型である。
脚注
編集注
編集出典
編集- ^ “コナーベーション -503358”. コトバンク. デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典、世界大百科事典 第2版、世界大百科事典内言及. 2023年3月15日閲覧。
- ^ a b c d 高野史男. “コナベーション(こなべーしょん) -65652”. コトバンク. 日本大百科全書(ニッポニカ). 2023年3月15日閲覧。『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』にも言及あり。
- ^ 「第2篇 国土と都市の段階構成」『新建築』第21巻第3号、新建築社、1946年6月、20-27頁。
- ^ 藤岡謙二郎「第IV章1.衛星都市から連担都市へ」『日本の都市 : その特質と地域的問題点』大明堂、1968年、276-278 (コマ番号0147.jp2-)頁。doi:10.11501/2980028。国立国会図書館内/図書館・個人送信。
- ^ 西川 清治「広域都市圏と狭域自治区--トロント広域連担都市方式と対蹠的にみえるウィニペッグ統合都市の相似性と積極性」『大阪市立大学経済学会經濟學雜誌』第68巻第3号、1973年3月、1-31頁、ISSN 0451-6281。掲載誌別題『Journal of economics』
- ^ 北海道開発調整部参事 (計画) 編「国際リゾート連担都市」『新計画素案』 基本計画編、北海道、1986年、314- (161コマ目-)頁。doi:10.11501/9775488。「基本構想編」「基本計画編」に分冊刊行。国立国会図書館内/図書館・個人送信。
- ^ 井原哲夫(著)、東北開発研究センター(編)「「2」連担都市構想について」『東北開発研究』第23巻4(通号70)、東北開発研究センター、仙台、1988年7月、15-24 (コマ番号0009.jp2-)、doi:10.11501/2782556。国立国会図書館内/図書館・個人送信。
- ^ “連檐都市 -1439903”. コトバンク. 世界大百科事典 第2版. 2023年3月15日閲覧。