中国サイバー軍

主に中国人民解放軍総参謀部第三部二局中国人民解放軍61398部隊などからなる中国の電子戦部隊

中国サイバー軍(ちゅうごくサイバーぐん)とは、中国電子戦部隊。主に中国人民解放軍総参謀部第三部二局中国人民解放軍61398部隊PLA Unit 61398)を指すとされるが、中国政府が2011年に認めた「ネット藍軍」およびメディア・リサーチが指摘する「海南島基地の陸水信号部隊」などの複数指摘があり、これらが同一組織なのか別の組織なのかは明らかになっていない。 また民間団体委託も報道されており[1]、さらには米国年次報告書には国防科工局による民間人スカウトの可能性も指摘されており、その全容は分かっていない。 これらがサイバー戦部隊とされ総称として中国サイバー軍と呼ばれる。

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2014年に存在を指摘された61398部隊は上海市浦東新区高橋鎮中国語版大同路208号にあり、2007年に完成した12階建てビルに拠点を置く[2]。 英語に堪能な要員数千人を抱えて活動している。2013年2月に米国の情報セキュリティー会社マンディアント英語版が公表した報告書で存在が明らかとなった[2][3][4]

概要

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2011年5月25日国防部(国防省に相当)耿雁生報道官は定例記者会見にてサイバー部隊の存在を認めた[5][6][7]。報道官によれば広東省広州軍区に電子戦用部隊の訓練などを行う組織として存在しており、報道によれば名称は「ネット藍軍」あるいはオーストラリア誌は"Blue Army"[8]と報じている。

これらは、アメリカ合衆国年次報告書[9][10]などからたびたび存在を指摘されていた中国の電子戦部隊であるが、中国側の公開内容と、各国の指摘した所在地・規模・活動内容は大きく異なっている。民間のセキュリティー顧問によれば、部隊員はハッカー5万人とサイバー部隊員250名[11]規模としており、また米国の民間機関「メディアス・リサーチ」によれば、サイバー部隊は「中国人民解放軍の海南島基地」に存在し、部隊名と規模は「陸水信号部隊(隊員計約1,100人)」としており、行動については「海南テレコム」経由での攻撃を行ったと分析している[12]

2009年にアメリカは「中国からの攻撃」に対処するために「サイバー軍」を立ち上げる方針を明らかにしている[13]。米国国防省は2013年の年次報告書で中国が米政府のコンピューターから機密情報を探り出そうとしていると言明した。

これに対し中国網は「国防部は「『ネット藍軍』はいわゆる『ハッカー部隊』ではなく、国防当局が自らの必要に基づき臨時創設したネット防衛訓練機関だ。国際社会は行き過ぎた解釈をすべきでない」と回答した。」とし、あくまで「アメリカが設立したことによる防衛用である点」を強調することで、アメリカからの攻撃に対応する防御用だと示唆した。さらに、アメリカからの非難に対し中国外務省は「(中国は)あらゆる形態のサイバー攻撃に断固として反対している」との所見を述べた[14]

2012年に世界のハッキング行為の41%[15][16]が中国によるものとする統計が出るなど中国政府は世界で最も大規模なハッカーのネットワークを擁してるとされ、2015年にアメリカは中国とサイバー攻撃に対応するホットラインの開設で合意した[17]

北朝鮮サイバー軍と連携しているとの報道[18][19]もある。

FBIサイバー犯重要指名手配

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FBIサイバー犯重要指名手配

2014年5月、アメリカ合衆国司法省はサイバー攻撃によって米国の原発や鉄鋼、太陽電池関連の企業から情報を盗んだとして、61398部隊第三旅団に所属する将校5人の氏名を特定し、刑事訴追した[20]。また、FBIは重要容疑者の情報を公開する「Wanted」のページにて、「Cyber’s Most Wanted」(サイバー犯罪の分野における最重要容疑者)として5人の容疑と顔写真を公開した[21]

脚注

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出典

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  1. ^ “中国政府関与のハッカー集団が米企業を攻撃、FBIが警鐘”. REUTERS. (2014年10月16日). https://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKCN0I506120141016/ 2015年7月23日閲覧。 
  2. ^ a b APT1: Exposing One of China's Cyber Espionage Units” (PDF). Mandiant (2013年). 2015年6月23日閲覧。
  3. ^ 木村 正人『見えない世界戦争―「サイバー戦」最新報告』新潮新書、2014年、71頁。ISBN 4106105926 
  4. ^ 山崎 文明『情報立国・日本の戦争 大国の暗闘、テロリストの陰謀』角川新書、2015年、121頁。ISBN 404102546X 
  5. ^ 熊争艶、張芸 (2011年5月27日). “中国国防省、広州でサイバー軍創設「ネット安全向上」目的に”. FOCUS-ASIA. 新華社 (北京). http://www.xinhua.jp/socioeconomy/politics_economics_society/275438/ 
  6. ^ http://tech.slashdot.org/story/11/05/30/015253/Chinese-Military-Admits-Existence-of-Cyberwarfare-Unit
  7. ^ http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110531-OYT1T00929.htm?from=main4
  8. ^ http://www.theaustralian.com.au/australian-it/chinas-blue-army-could-conduct-cyber-warfare-on-foreign-powers/story-e6frgakx-1226064132826
  9. ^ http://www.bsk-z.or.jp/kakusyu/pdf/22-5shousassi.pdf
  10. ^ https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0706/07/news035.html
  11. ^ http://fss-security.blogspot.com/2011/03/blog-post.html/
  12. ^ http://blog.kajika.net/?eid=996912
  13. ^ 米国防長官がサイバー軍創設指示 中国など念頭に
  14. ^ 「中国政府がサイバー攻撃に関与」 米国防総省が言明
  15. ^ “Top 10 Hacking countries in the world”. The Economic Times. (2013年4月26日). https://economictimes.indiatimes.com/slideshows/tech-life/top-10-hacking-countries-in-the-world/no-1-china/slideshow/19734117.cms 2017年12月21日閲覧。 
  16. ^ “Reports find China still largest source of hacking and cyber attacks”. WIRED. (2013年4月24日). http://www.wired.co.uk/article/akamai-state-of-the-internet 2017年12月21日閲覧。 
  17. ^ 米中、対サイバー犯罪の指針やホットライン設置で合意=初のハイレベル対話―中国メディア”. Record China (2015年12月2日). 2017年12月21日閲覧。
  18. ^ https://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141224/frn1412241830007-n1.htm
  19. ^ “北、韓国へのサイバー攻撃を拡大「中国と情報交換」=米企業” (日本語). 大紀元. (2018年6月6日). http://www.epochtimes.jp/2018/06/33776.html 2018年7月6日閲覧。 
  20. ^ サイバー攻撃:中国軍当局者5人を刑事訴追 米司法当局 - 毎日新聞
  21. ^ 米司法省、中国軍の将校5人をサイバー犯罪で起訴 -INTERNET Watch

関連項目

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外部リンク

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