中国国家鉄路集団
中国国家鉄路集団有限公司(ちゅうごくこっかてつろしゅうだんゆうげんこうし、中国語: 中国国家铁路集团有限公司、略称中国鉄路もしくは国鉄集団、英語: China State Railway Group Company, Limited, 略称CR)は、中華人民共和国の国営鉄道会社である。前身は中国鉄路総公司と中華人民共和国鉄道部。
中国国家鉄路集団のロゴマーク | |
種類 | 株式会社、国有独資企業 |
---|---|
業種 | 陸運業 |
前身 |
中央人民政府鉄道部(1949-1954) 中華人民共和国鉄道部(1954-1970) 中華人民共和国交通部(1970-1975) 中華人民共和国鉄道部(1975-2013) 中国鉄路総公司(2013-2019) |
設立 | 2019年6月18日 |
本社 | 中国北京市海淀区復興路10号 |
事業地域 | 中国全国 |
主要人物 | 劉振芳(兼党組書記) |
サービス | 鉄道の運行と維持 |
売上高 | 1,134,841,000,000 人民幣 (2019年) |
利益 | 2,524,000,000 人民幣 (2019年) |
総資産 | 76483.87億人民元(2017年)[1] |
所有者 |
中華人民共和国(国家) 財政部が国務院を代表し 出資者責務を履行 |
子会社 |
18つの鉄道運営会社 20つの専門企業・事業会社 |
ウェブサイト |
公式ウェブサイト 鉄路サービスセンター |
ここでは会社組織を主眼に取り扱うので、運営路線等については中華人民共和国の鉄道#国鉄を参照。
沿革
編集2012年3月10日、汚職や安全管理の面で数々の問題が露見した国務院の鉄道部は、分割廃止されることとなった。管理部門は交通運輸部の外局の国家鉄路局に、鉄道の運行と維持を行う業務部門は財政部が出資し国家鉄路局が管理する国営会社として中国鉄路総公司に分割されることとなった。[2]
2013年3月14日に全国人民代表大会において承認され、同日付で設立された[3]。
2017年、中国鉄路総公司内において各鉄路局の公司制改革が開始。2017年11月末までに公司法人を設立し工商業・法人登記することになった。[4]
2018年12月5日、「中国国家鉄路集団有限公司」という名称が工商業登記審査のうえ許可された[5]。
2018年12月28日、「行業公安機関管理体制調整工作方案」が公表。鉄路公安、森林公安、交通公安などの鉄道警察機関は鉄道から切り離れ、公安部の指導のみを受けることになった[6]。2019年2月27日、「公安部職能配置、内設機構和人員編制規定」が公表。公安部鉄路公安局(公安部十局)を設立し、鉄路公安局を撤廃することになった。[7]
2019年6月18日、中国国家鉄路集団有限公司が成立。国有独資企業で、財政部が国務院を代表し国鉄集団への出資者責務を履行[8]。
2020年8月31日、国家発改委が「関於全面推開行業協会商会与行機関脱鉤改革的実施意見」(発改体改〔2019〕1063号)を公表。国鉄集団(元中国鉄路総公司)が管理する中国蒸汽機車協会、中国鉄道企業管理協会、中国鉄道工程建設協会、中国地方鉄路協会が国鉄集団から切り離れ、同協会らに付与されていた行政業務管理機関も同時に切り離れて、法人登記し独立運営させることになった。国務院は財政支給を中止し、今後サービス調達などの形式で提携。[9][10]
問題点
編集負債
編集中国国内の高速鉄道の運営も担う。2000年代に入り、人口が希薄な地域も含めて高速鉄道を建設、拡大してきた経緯から、多額の負債を抱えている。2018年9月時点の負債総額は、5兆2,800億元(約86兆円)と推計されている[11]。
無秩序な駅開設の乱立
編集高速鉄道の駅を建設しておきながら、使用を停止したり、未使用となっている駅が多数発生していると2024年に報じられた。高速鉄道の駅を建設することが地方政府幹部における実績となったり、駅を中心として都市の開発が進むとの期待が原因とされており、このような駅が同年時点で少なくとも26駅存在している[12]。
中国共産党北京市委員会宣伝部系列のタブロイド紙である新京報もこの実情を問題視しており、2024年5月に同紙社説において、「使用されていない駅は建設の動機が主観的で科学的な根拠がなく、実需との乖離があるとした上でやみくもな投資を避けるべきだ」と批判した[12]。
子会社
編集鉄道運営会社
編集現在、中国国家鉄路集団有限公司傘下には18つの鉄道運営子会社がある。[13]
鉄道運営子会社 | 管内範囲 |
---|---|
中国鉄路ハルビン局集団有限公司 | 内モンゴル自治区北東部、黒竜江省大部 |
中国鉄路瀋陽局集団有限公司 | 遼寧省(渤海鉄道フェリーを除く)、吉林省、内モンゴル自治区南東部、黒竜江省南部、河北省北東部 |
中国鉄路北京局集団有限公司 | 北京市、河北省大部、天津市、山東省西部、河南省北部、山西省東部(大秦線を除く) |
中国鉄路フフホト局集団有限公司 | 内モンゴル自治区大部 |
中国鉄路太原局集団有限公司 | 山西省大部および大秦線 |
中国鉄路上海局集団有限公司 | 上海市、江蘇省、浙江省、安徽省 |
中国鉄路済南局集団有限公司 | 山東省大部、渤海鉄道フェリー |
中国鉄路南昌局集団有限公司 | 江西省、福建省 |
中国鉄路広州局集団有限公司 | 広東省大部、湖南省大部、海南省 |
中国鉄路南寧局集団有限公司 | 広西チワン族自治区、広東省西部 |
中国鉄路武漢局集団有限公司 | 湖北省大部、河南省南部、安徽省局部 |
中国鉄路鄭州局集団有限公司 | 河南省中北部、山西省南部 |
中国鉄路成都局集団有限公司 | 四川省大部、重慶市、貴州省大部、雲南省局部 |
中国鉄路昆明局集団有限公司 | 雲南省大部、四川省局部、貴州省局部 |
中国鉄路青蔵集団有限公司 | チベット自治区、青海省 |
中国鉄路蘭州局集団有限公司 | 甘粛省大部、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区局部 |
中国鉄路ウルムチ局集団有限公司 | 新疆ウィグル自治区、甘粛省局部 |
中国鉄路西安局集団有限公司 | 陝西省西省、四川省北東部 |
プロジェクト法人
編集- 川蔵鉄路有限公司(100%)
輸送会社
編集非輸送会社
編集事業機関
編集総経理・党組書記
編集中国鉄路総公司時期
編集
|
|
中国国家鉄路集団時期
編集出典
編集- ^ 上海清算所. “中国铁路总公司2017年年度报告”. 上海: 上海清算所. 2020年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月14日閲覧。
- ^ “关于国务院机构改革和职能转变方案的说明”. 中央政府门户网站. (2013年3月10日). オリジナルの2013年5月2日時点におけるアーカイブ。 2013年4月21日閲覧。
- ^ “鉄道新会社、中国が設立 補助金など全面支援”. 日本経済新聞. (2013年3月15日) 2013年3月21日閲覧。
- ^ “铁路局公司制改革细节:年底前完成 明年起按新体制运行”. 澎湃新闻. (2017年10月21日). オリジナルの2018年6月12日時点におけるアーカイブ。 2017年10月23日閲覧。
- ^ 工商総局企業名称核准公告(2018年12月05日)
- ^ ““警是警、政是政、企是企”,全国行业公安机关管理体制正在调整”. 搜狐网新闻. 2021年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月18日閲覧。
- ^ 南方都市报. “公安部内设机构大调整:多部门整合做强办案部门,设情报指挥中心”. 搜狐网新闻. 2021年8月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月18日閲覧。
- ^ “中国国家铁路集团有限公司”. www.china-railway.com.cn. 2020年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月18日閲覧。
- ^ “关于全面推开行业协会商会与行政机关脱钩改革的实施意见” (中国語). 中国政府网. 2021年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月2日閲覧。
- ^ “关于做好全面推开全国性行业协会商会与行政机关脱钩改革工作的通知” (中国語). 中国政府网. 2021年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月2日閲覧。
- ^ “中国の高速鉄道、効率無視で負債86兆円 それでも建設は続く”. newsphere (2019年1月15日). 2019年2月24日閲覧。
- ^ a b “中国、未使用の高速鉄道駅乱立 無計画と批判も、最低でも26駅”. 共同通信 (2024年6月12日). 2024年6月13日閲覧。
- ^ “中国国家铁路集团有限公司组织机构情况”. china-railway.com.cn (2022年12月18日). 2023年1月10日閲覧。
- ^ a b “铁路总公司宣布高层人事任命 盛光祖任总经理”. 腾讯 (2013年3月27日). 2020年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月14日閲覧。
- ^ “中国铁路总公司高管换血 黄民分管改革”. 财新网 (2014年8月27日). 2020年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g “中国国家铁路集团有限公司正职调整”. 中国国家铁路集团. (2022年7月22日). オリジナルの2022年7月25日時点におけるアーカイブ。 2022年7月22日閲覧。
- ^ a b 蒋子文 (2022年7月29日). “国家铁路集团原总经理杨宇栋已赴中华全国总工会履新”. 澎湃新闻. 2022年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月31日閲覧。