月齢
月齢(げつれい)には、次のような意味がある。
暦法における月齢(げつれい)とは、直前の朔の瞬間からの経過時間を日を単位として表したものである[1]。通常「ある日の月齢」といえばその地域の標準時正午の月齢である[2]。 したがって、朔の瞬間の時刻によって月齢には後述するように小数で表される。
月齢と月相
編集月齢はおおむね月の満ち欠け(月相)と連動するため、月相の目安として用いることができる[2]。 ちなみに通常、月相は太陽と月の黄経差を28分割した整数で表すのに対し、月齢は小数点以下第1位まで求める。
ただし、月齢と月相の対応は一定ではなく、例えば、望の瞬間の月齢は13.9から15.6の間で変動する。すなわち、月齢14の日が満月とは限らない。これは月の軌道が楕円であるため、満ち欠けの速度が一定にはならないこと、さらに月の近地点が太陽の摂動により移動していることによる[3][4]。
旧暦との関係
編集旧暦では朔日(天保暦では朔の瞬間を含む日)が第1日目である[5]。したがって、月齢の端数を四捨五入して1を足せば旧暦の日付とおおよそ一致する。ただし、朔の瞬間が午後の場合は、月齢を負にはせず、その旧暦月1日の正午月齢は前月の最終日の翌日の数値(正の値)とする。
具体的な月齢の計算結果は以下のようになる。
朔の瞬間の時刻t (旧暦1日) |
旧暦の日付ごとの月齢 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | n日 | ||||
午 前 |
0:00 | ≦ t ≦ | 1:12 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5 | 7.5 | 8.5 | 9.5 | 0.5+n-1=n-0.5 |
1:12 | < t ≦ | 3:36 | 0.4 | 1.4 | 2.4 | 3.4 | 4.4 | 5.4 | 6.4 | 7.4 | 8.4 | 9.4 | 0.4+n-1=n-0.6 | |
3:36 | < t ≦ | 6:00 | 0.3 | 1.3 | 2.3 | 3.3 | 4.3 | 5.3 | 6.3 | 7.3 | 8.3 | 9.3 | 0.3+n-1=n-0.7 | |
6:00 | < t ≦ | 8:24 | 0.2 | 1.2 | 2.2 | 3.2 | 4.2 | 5.2 | 6.2 | 7.2 | 8.2 | 9.2 | 0.2+n-1=n-0.8 | |
8:24 | < t ≦ | 10:48 | 0.1 | 1.1 | 2.1 | 3.1 | 4.1 | 5.1 | 6.1 | 7.1 | 8.1 | 9.1 | 0.1+n-1=n-0.9 | |
10:48 | < t ≦ | 12:00 | 0.0 | 1.0 | 2.0 | 3.0 | 4.0 | 5.0 | 6.0 | 7.0 | 8.0 | 9.0 | 0.0+n-1=n-1.0 | |
午 後 |
12:00 | < t ≦ | 13:12 | 前月 末日 の 月齢 +1 |
1.0+n-2=n-1.0 | |||||||||
13:12 | < t ≦ | 15:36 | 0.9 | 1.9 | 2.9 | 3.9 | 4.9 | 5.9 | 6.9 | 7.9 | 8.9 | 0.9+n-2=n-1.1 | ||
15:36 | < t ≦ | 18:00 | 0.8 | 1.8 | 2.8 | 3.8 | 4.8 | 5.8 | 6.8 | 7.8 | 8.8 | 0.8+n-2=n-1.2 | ||
18:00 | < t ≦ | 20:24 | 0.7 | 1.7 | 2.7 | 3.7 | 4.7 | 5.7 | 6.7 | 7.7 | 8.7 | 0.7+n-2=n-1.3 | ||
20:24 | < t ≦ | 22:48 | 0.6 | 1.6 | 2.6 | 3.6 | 4.6 | 5.6 | 6.6 | 7.6 | 8.6 | 0.6+n-2=n-1.4 | ||
22:48 | < t < | 24:00 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5 | 7.5 | 8.5 | 0.5+n-2=n-1.5 |
グレゴリオ暦からの月齢計算
編集グレゴリオ暦の日付 y 年 m 月 d 日から月齢 age 日を求める略算法として、堀源一郎が1968年に『天文月報』で発表した簡易月齢計算法がよく知られている[6]。
- 西暦年数 y から 11 を引き、その値を 19 で割った余りを求め、11 を掛ける。この値を a とする。
- 月数 m から、下表によって b を求める。
月 (m) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 b 0 2 0 2 2 4 5 6 7 8 9 10
- b は、6月までは「おにおににし (020224)」と語呂合わせで覚え、7月以降は m−2 として求める。a+b に日 d を加える。求めた値を 30 で割った余りが、その日のおおよその月齢である。ただし、最大 2 程度の誤差がある。
上の内容を数式にしたのが、次式である。y 年 m 月 d 日の月齢 age 日を求める。ここで、% は剰余演算子とし、b(m) は上表による値とする。例: 62%30 = 2、b(5) = 2。
- age = (((y−11)%19)×11+b(m)+d)%30
また,次の「満月方程式」によって、m 月の満月の日 D を求めることができる[7]。これは非常に簡単だが、やはり数日の誤差がある。
- D = (p−m)%30
ここで、p は、2020年は 12、2021年は 1、2022年は 20、…… と、年ごとに 11 ずつ引いていく。引けなくなったら 30 を足してから 11 を引く。
脚注
編集- ^ a b 『シリーズ現代の天文学第1巻 人類の住む宇宙』日本評論社, 2007, p.330.
- ^ a b “「月齢」ってなに?なぜ小数がつくの?”. 国立天文台. 2019年11月26日閲覧。
- ^ a b c d “暦Wiki/月の満ち欠け/月齢と満ち欠け - 国立天文台暦計算室”. 国立天文台. 2019年11月26日閲覧。
- ^ “暦Wiki/月の公転運動/近地点方向 - 国立天文台暦計算室”. 国立天文台. 2019年11月26日閲覧。
- ^ 岡村定矩ほか編『人類の住む宇宙』シリーズ現代の天文学第1巻、日本評論社, 2007, p.321.
- ^ 堀源一郎「おに・おに・にし-簡易月齢計算法」『天文月報』第61巻第7号、日本天文学会、1968年7月。
- ^ p−m が負になったら、30 を足す。