白い雲のように

猿岩石のデビューシングル曲 (1996年)

白い雲のように」(しろいくものように)は、日本お笑いコンビ猿岩石のデビューシングル1996年12月21日日本コロムビアから発売。

「白い雲のように」
猿岩石シングル
初出アルバム『まぐれ
B面 どうして僕は旅をしているのだろう
リリース
規格 8cmCD
ジャンル J-POP
時間
レーベル Ouch!
作詞・作曲 作詞:藤井フミヤ 作曲:藤井尚之
プロデュース 秋元康
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間3位(オリコン
  • 1997年度年間11位(オリコン)
  • 猿岩石 シングル 年表
    白い雲のように
    1996年
    ツキ
    1997年
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    解説

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    猿岩石は1996年4月~10月の半年間をかけて、日本テレビ系のバラエティ番組進め!電波少年』でのユーラシア大陸横断ヒッチハイクに挑み、行く先々でハプニングが発生したこと等で、アッという間に同番組の人気コーナーになり、大きな反響を得た[1][2][3][4][5]。芸能界にもこの企画のファンが増え[6]爆風スランプは二人の応援歌「旅人よ 〜The Longest Journey」を制作し、現地に応援に出向き、二人に生歌を届けた[4]。1996年10月26日の西武球場での猿岩石凱旋ゴールでは、3万人のファンを集めた[1][2]。リリース当初から飛ぶように売れ[2]、最高位で4位[2]オリコン集計で113.1万枚のミリオンセラーを達成している[7]

    リリース当初はあまり注目されず、週間チャート初登場23位、約2万枚の売り上げだった。しかし当人らの知名度が浸透し?、4週目で初のトップ10入りとなる4位に急上昇。その後も何週にもわたりランクインし続け、お笑い芸人がリリースしたCDとしては異例のロングヒットとなった[2][4]

    制作経緯

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    ヒッチハイク企画は、開始1ヵ月ほどはさほど話題にならなかったが、一行がタイに入るあたりで、秋元康は早くも番組プロデューサー土屋敏男に電話をかけ「これは面白い。猿岩石はスターになる」と予言した[4]。重ねて二人がゴールした後は、自分が二人のデビュー曲をプロデュースすると、土屋に約束した[4]。企画終了後、所属事務所関係者や土屋により、二人の歌が『思ったより上手い』という意向を理由として、歌手デビューが決定した。

    インターネットがまだそこまで発達していない時代で[3]、猿岩石は、自分たちが日本で人気者になっていることを帰国して初めて知った[3]藤井フミヤは秋元康から「猿岩石が帰ってくるから、曲を書いてくれないか?」と頼まれた[6][7]。「猿岩石って知ってるか?」と聞かれて、「いや、知ってるも何もずっと見てます。ファンですよ」と返事した[6]。藤井は、猿岩石の旅をしている気持ちを考えて歌詞を書いた[2][8]。猿岩石のメンバー・有吉弘行は「恋のぼんちシート」みたいな曲(コミックソング)かと思っていたら、藤井フミヤ本人が歌うデモテープを貰い、「えらいカッコいい歌だな。このテープいくらで売れるだろう」と思ったという[3]1980年代漫才ブームの頃の芸人のレコードリリースとは異なり[9]、当時、浜田雅功小室哲哉による音楽ユニット・H Jungle with tや、今田耕司TOWA TEIプロデュース・KOJI1200ウッチャンナンチャンらのポケットビスケッツブラックビスケッツなど、笑い抜きで、お笑いからほど遠い人が聴いても、歌詞に自分を重ねることができたり、背中を押されて元気をもらえるなどの楽曲制作が行われていた[9]

    「白い雲のように」も、苦しみながら旅を続けた猿岩石を思い出させるだけではなく、突然人気者になった猿岩石の戸惑いや、猿岩石二人の"祭りのあと"を暗示するような歌詞[4][10]。制作当時、藤井フミヤは「猿岩石の旅は"雲"しか見てないだろうなみたいな」という意味で二人を"雲"に例えたが[6][7][11]、この後、人気が急降下し、泥水をすするような長い不遇の時代を経て、鮮やかな復活劇から、やがて頂点まで登りつめていく有吉の人生を"雲"に例えたようにも取れる歌詞になっている[9][10][12]。 「Jポップ史において、『白い雲のように』は異色の楽曲であり続ける」という評価もある[10]

    その後

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    1998年F-BLOODセルフカバーしている。

    2000年教育芸術社が発行する高等学校の音楽教科書に「白い雲のように」が掲載された[13]

    8thシングル「昨日までの君を抱きしめて」のカップリングに、「'98 Piano Strings Version」が収録されている。

    ミリオンセラーにはなったが、猿岩石は1997年12月31日にNHK(日本放送協会)で放送された『第48回NHK紅白歌合戦』には落選し、出場することが出来なかった。落選について、NHKは視聴者アンケートにおける支持の低さを理由に挙げていた[14]

    しかし、2022年純烈ダチョウ倶楽部による6人組ユニットが本曲をカバーしたことから、同年12月31日放送の『第73回NHK紅白歌合戦』で本曲が選出されると同時に猿岩石のメンバーであった有吉弘行も同番組に出演することになった。このため、有吉にとって25年越しの悲願であった「紅白出場」が実現した[15]

    有吉が司会者として出演した2023年12月31日放送の『第74回NHK紅白歌合戦』でも本曲が2年連続で披露されることが同月23日にNHKから発表され、有吉と本曲を作詞した藤井フミヤが共演した[16]

    収録曲

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    全編曲:松浦晃久

    1. 白い雲のように
    2. どうして僕は旅をしているのだろう
    3. 白い雲のように(オリジナル・カラオケ)
    4. どうして僕は旅をしているのだろう(オリジナル・カラオケ)

    タイアップ

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    カバー

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    収録作品

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    • オムニバスアルバム
      • HIT JAM
      • 20世紀BEST フォーク&ニューミュージック・ヒストリー コロムビア編 Vol.2
      • 日本テレビ開局50年記念 TV GENERATION 日テレGOLDEN BEST
      • 胸キュンSONGS
      • コクミンHits-メガ☆ヒット-〜あのメガヒットをもう一度!!〜
      • colorful〜TVバラエティ・ヒッツ〜
      • オーライ!〜元気になれるうた
      • 青春TV倶楽部 バラエティー編
      • J-ポッパー伝説涙 [DJ和 in No.1 J-POP MIX]
      • 旅のうた

    脚注

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    1. ^ a b プレイバック芸能スキャンダル史 快挙かヤラセかで大騒ぎだった猿岩石騒動
    2. ^ a b c d e f 365日 あの頃ヒット曲ランキング 1月【1997年1月】白い雲のように/猿岩石 一躍時の人 怖いくらい売れた!
    3. ^ a b c d 猿岩石「白い雲のように」はいかにして生まれたのか 90年代に訪れた芸人の本格的歌手活動ブーム
    4. ^ a b c d e f 90年代のアポなしバラエティ「進め!電波少年」と 猿岩石「白い雲のように」の青春
    5. ^ 【紅白】司会・有吉弘行、藤井フミヤと「白い雲のように」で共演
    6. ^ a b c d 藤井フミヤ、26年ぶり紅白出場に「ワクワクしてます」司会の有吉弘行と「白い雲のように」コラボ
    7. ^ a b c 有吉弘行&藤井フミヤ・尚之「白い雲のように」TV初歌唱に反響「あんな緊張してる有吉はじめて」「昔より歌上手」
    8. ^ 【紅白】藤井フミヤ 25年前の“衣装”の有吉弘行と肩並べ「白い雲のように」熱唱
    9. ^ a b c 猿岩石「白い雲のように」はいかにして生まれたのか 90年代に訪れた芸人の本格的歌手活動ブーム
    10. ^ a b c 有吉弘行「涙が…」藤井フミヤの作詞に感激『白い雲のように』が古びない理由
    11. ^ 有吉弘行&藤井フミヤ・尚之「白い雲のように」TV初歌唱に反響「あんな緊張してる有吉はじめて」「昔より歌上手」
    12. ^ 藤井フミヤ「大きな雲になったな。紅白の司会ですから」 有吉弘行と「白い雲のように」コラボ唱心待ち
    13. ^ 『歌い継がれる名曲案内 音楽教科書掲載作品10000』日本アソシエイツ、2011年、130頁。ISBN 978-4816922916
    14. ^ 紅白「あの人がいない!」”. 夕刊フジ (1997年11月28日). 2000年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月8日閲覧。
    15. ^ 【紅白リハ】有吉弘行、紅白初出場に大喜び「落選して恨みに恨んでいた」”. スポーツ報知 (2022年12月30日). 2023年1月2日閲覧。
    16. ^ 「白い雲のように」有吉弘行と作者・藤井フミヤ、紅白歌合戦で共演! ボーダレスに時代を超えた名曲が大みそかに帰ってくる”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ (2023年12月23日). 2023年12月24日閲覧。
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