Kleinman-Bylander近似(クレインマン・バイランダーきんじ)は、擬ポテンシャルの非局所部分の計算量をNの2乗のオーダーからNのオーダーまで減らす近似[1]。ここでNは、平面波基底の数(通常、N2のオーダーでの計算量は扱う系が大きくなれば膨大なものになる)。Kleinman-Bylanderの分離形とも言う。
擬ポテンシャルVPS(r)は、局所部分と非局所部分とからなる。
ここで、は軌道角運動量、が局所部分、が非局所部分である。rは動径方向の座標。この非局所部分を次のように分離するのが、Kleinman-Bylander近似である。
φlPSは擬波動関数と言い、擬ポテンシャルを解くことによって得られる(擬似的な)波動関数である。上記の分離された形を使うことによって、逆格子空間で考えた非局所部分の和は、逆格子ベクトルGの数(平面波基底の数に相当)についてGとG'の二重の和が必要であったものが、Gのみの一重の和のみでよくなる。
この近似を用いた場合の問題点は、バンド計算においてゴーストバンドが生じる危険があることである。2004年現在、これを完全かつ確実に排除する確たる指導原理はない。
- ^ L. Kleinman and D. M. Bylander, Phys. Rev. Lett., 48 (1982) 1425.