明瀬山光彦のソースを表示

{{Infobox 力士
|名前=明瀬山 光彦
|画像=[[File:Akiseyama 2014.JPG|200px]]
|説明=
|四股名=深尾→明瀬山
|本名=深尾 光彦
|愛称=みっちゃん、パンの山{{efn|肌が発酵前のパン生地のようであることから、[[能町みね子]]が命名<ref>『大相撲ジャーナル』2016年4月号76頁</ref>。}}、ラスカル{{efn|土俵上で制限時間いっぱいのときに受け取るタオルで両手をこねるように拭く仕草があらいぐまを連想させることからインターネット上で言われる<ref name="ラスカル">[https://times.abema.tv/articles/-/8642060 初場所は初日から“パン祭り”絶好調の明瀬山、ついた異名は「パンの山」好きなアニメも「美味しんぼ」] ABEMA TIMES 2021.01.15 11:00 (2021年1月16日閲覧)</ref>。}}
|生年月日={{生年月日と年齢|1985|7|18}}
|没年月日=
|出身=[[愛知県]][[春日井市]]
|身長=182.9cm
|体重=181.5kg
|BMI=54.3
|所属部屋=[[木瀬部屋]]→[[北の湖部屋]]→木瀬部屋
|得意技=突き・押し・右四つ<ref name="nikkan">[https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202101150000892.html 明瀬山が６連勝、大横綱の教えで型確立35歳苦労人]</ref>
|現在の番付=引退
|最高位=東[[前頭]]12枚目
|生涯戦歴=472勝473敗29休（92場所）
|幕内戦歴=21勝32敗7休（4場所）
|優勝=幕下優勝1回<br />序ノ口優勝1回
|賞=
|初土俵=[[2008年]]1月場所
|入幕=[[2016年]]3月場所
|引退=[[2023年]]7月場所(番付上では2023年9月場所)
|引退後=年寄・[[井筒_(相撲)|井筒]]
|他の活動=
|趣味=音楽鑑賞、食べ歩き、アニメ鑑賞<ref name="ラスカル"/>
|備考=
|作成日時=[[2023年]][[7月21日]]
}}

'''明瀬山 光彦'''（あきせやま みつひこ、[[1985年]][[7月18日]] - ）は、[[愛知県]][[春日井市]]出身で[[木瀬部屋]]（閉鎖処分中は[[北の湖部屋]]）所属の元[[大相撲]][[力士]]。本名は'''深尾 光彦'''（ふかお みつひこ）、愛称はみっちゃん。[[身長]]182.9cm、[[体重]]181.5kg、[[ABO式血液型|血液型]]はA型。得意技はかつては突き・押し・現在は右四つ<ref name="nikkan"></ref>。最高位は東[[前頭]]12枚目（[[2021年]]3月場所）。好物は母親の手製の煮物<ref name="ラスカル"/>。趣味は音楽鑑賞と食べ歩き。<ref name="ref1">『相撲』2014年3月号59頁</ref>現在は年寄・[[井筒_(相撲)|井筒]]。

== 人物 ==
===入門前===
建材店の「深尾タイル」を経営している家の長男坊に生まれる<ref>[https://web.archive.org/web/20060830212841/http://www.geocities.jp/fukaotilekenzai/ 春日井市の建材店【深尾タイル】のホームページへようこそ (^o^)／]</ref>。春日井市立柏原小学校在籍中に「中京クラブ」で相撲を始め、そこで1年先輩の[[市原孝行]]に出会う。それ以来、市原を尊敬するとともに目標とし、小学校4年生と5年生の時には[[わんぱく横綱]]に輝いた。市原とは、相撲の名門[[埼玉栄高等学校|埼玉栄高校]]、[[日本大学相撲部|日大相撲部]]でも一緒で共に相撲の腕を磨いてきた。小学校6年の時（1998年3月31日）に春日井市で巡業が行われた際に、当時の相撲人気（若貴ブーム）を実際に目の当たりにしたことで憧れもあり<ref>[[ベースボール・マガジン社]]刊 『[[相撲 (雑誌)|相撲]]』 2016年3月号（春場所展望号） 46頁</ref>、大学4年の時に大相撲入りを決意、この時に入門先を選んだ相撲部屋も市原がいる木瀬部屋だった。そんな深尾であったが市原はライバルでもあり、大学3年の時には[[全日本相撲選手権大会|全日本相撲選手権]]の決勝戦で戦ったが、この時は寄り倒しで敗れ「市原超え」は大相撲の世界へと持ち越しになった。また2005年（平成17年）には、[[ニューヨーク]]の[[マディソン・スクエア・ガーデン]]で行われた「世界相撲チャレンジ――巨人の戦い」で優勝している<ref>ニューヨークで相撲の世界大会、米国版「スモウ」はエンタメ性重視-NIKKEI NET：国際コラム</ref>。
===入門後から十両昇進まで===
[[2008年]]（平成20年）1月場所、本名の深尾の[[四股名]]で[[前相撲]]から初土俵を踏んだ。入門時の体重は198kgの巨漢で、[[腹]]が大きく両方の[[乳房]]がひどく垂れ下がっている一方で、素早い動きも出来ることで、[[序ノ口]]、[[序二段]]共に7戦全勝と圧倒的な強さを見せた。2008年（平成20年）3月場所の序ノ口優勝表彰式では、土俵に上がるときに乳房や腹があまりにも揺れることから観客がどよめいた。2008年（平成20年）5月場所の序二段優勝決定戦では、体型に似合わず土俵内を素早く動き回る相撲を見せたが、惜敗した。翌7月場所の[[三段目]]も6勝1敗と一場所で通過し、一気に[[幕下]]まで[[番付]]を駆け上がった。幕下昇進後も勝ち越しを続けたが、東幕下7枚目と自身初めて幕下の一桁台に番付を上げた[[2009年]]5月場所で初めての負け越しを経験した。しかし翌7月場所では6勝1敗で6人が並んだ優勝決定戦を制して幕下優勝を果たした。慢心していたため幕下で伸び悩んでいたが、11月場所で1勝6敗と大敗してからは師匠に「悔しいか」「だまされたと思って俺の言うこと聞くか」と言われ、一から自分の相撲を見つめ直し、師匠のから「右を取ったら強い」との言葉を信じて稽古を励み、新たな強みもできた<ref name="orenoiukoto"/>。[[額]]が推定2.5cmととても狭く、どんな[[大銀杏]]姿になるか非常に出世が期待されていたが、[[2010年]]（平成22年）7月場所13日目、この場所は東幕下7枚目であったが、[[十両]]の[[佐田の海貴士|佐田の海]]と対戦が組まれたため、本場所では初めて大銀杏を結った。

一時は番付を西幕下35枚目まで落としたが、そこから4場所連続で勝ち越し、自身最高位の東幕下2枚目で迎えた2010年9月場所も4勝3敗と勝ち越して翌11月場所で新十両を果たし、同時に四股名を深尾から「'''明瀬山'''」（あきせやま）に改名<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202308100000858.html|title=元前頭の38歳明瀬山、15年間の現役生活に幕「目一杯相撲をやったので、悔いはありません」|publisher=日刊スポーツ|date=2023-08-10|accessdate=2022-08-15}}</ref>。実家の建材店「深尾タイル」のHPに四股名の由来が記述されており、両親の名前の一部から「明」、木瀬部屋から「瀬」、愛知中京クラブのコーチと埼玉栄相撲部監督の名字（山田）から「山」をそれぞれ頂戴したと説明されている。なお、[[戦後|太平洋戦争後]]に活躍した[[明瀬川傳四郎]]とは無関係。新十両昇進時には日本大学理事長の[[田中英壽]]らより化粧まわしと明荷が贈られ、「日本大学で培った精神力で卒業生の名に恥じないよう、上位をめざしたい」と抱負を語った<ref>[http://www.nihon-u.ac.jp/2010/10/360/ 明瀬山関（新十両）に化粧廻し贈呈]日本大学ニュース 2010年10月26日</ref>。

===十両昇進から幕内昇進まで===
自己最高位の西十両7枚目で迎えた2011年5月[[技量審査場所]]では4勝11敗と大きく負け越したが、[[大相撲八百長問題]]で十両力士が多数引退したため、幸運にも東十両8枚目と半枚番付を落としただけであった。しかし7月場所も2勝13敗と大きく負け越し、幕下に陥落した。

その後は腰の[[ヘルニア]]に悩まされて<ref>『相撲』2012年1月号80頁</ref>1年以上幕下から十両に上がれずにいたが、2012年に入ってからは張り差しから始まり押し込みながら上手取ってがぶり寄りを展開する相撲を見せるなど内容が充実していった。西幕下5枚目であった[[2012年]]9月場所は6勝1敗と大勝ちし、ようやく再十両昇進が決まった<ref>[https://web.archive.org/web/20120926014142/http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120926/mrt12092610090002-n1.htm 竜電がただ1人新十両　九州場所番付編成会議] MSN産経ニュース 2012年9月26日閲覧</ref>。この年の4月に木瀬部屋が再興され明瀬山も移籍しているため、木瀬部屋移籍後では初めて[[関取]]に昇進、この場所を勝ち越しで締めくくった。以後4場所十両を務め7〜8勝の小幅な勝ち越し・負け越しを挙げたが、[[2013年]]5月場所に7勝8敗を喫すると7月場所は東十両13枚目から運悪く西幕下2枚目まで地位を落とした。

またしても関取に返り咲いた2013年9月場所は8勝7敗で終え、この場所では右足を大きく引いて斜めに構えた独特の仕切りを行わなくなっていた<ref>『相撲』2013年11月号58頁</ref>。翌11月場所は番付運に恵まれて5枚半上昇の東十両8枚目の地位で土俵に上がるも、6勝9敗の負け越しに終わった。

翌[[2014年]]1月場所は幸運にも1枚半下降に留められて西十両9枚目の土俵に上がったが5勝10敗の不振に終わった。同年9月場所限りで7場所続いた十両の地位を離れるが、1場所の幕下生活を経て[[2015年]]1月場所で十両に復帰すると、同年7月場所からは十両では自身初となる3場所連続の勝ち越しとなった。特に、11月場所は4年ぶりに半枚ではあるが自己最高位を更新した場所で勝ち越しとなった。更に自己最高位を更新して西十両5枚目となった[[2016年]]1月場所でも8勝7敗と勝ち越すと、幕内で成績不振者が多かったため、同年3月場所では新入幕となった。新入幕まで所要48場所は学生相撲出身者としては4位のスロー出世で、上位3人は他大学出身であるため、日大出身者に限れば最スロー昇進である<ref>[[ベースボール・マガジン社]]刊 『[[相撲 (雑誌)|相撲]]』 2016年3月号（春場所展望号） 52頁から53頁</ref>。新入幕会見で明瀬山は「自分の中で嫌になるときもあった。でも、親方が一生懸命指導してくれたので。一緒にビデオを見て勝負どころを教えてもらったし、『あきらめるな』と言ってくれた。親方の言うことを聞いたから、今の番付がある」と、会見で横に座った木瀬に感謝しきりだった<ref>[https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/1610735.html 明瀬山、初土俵から所要48場所でうれしい新入幕] 2016年2月29日19時35分</ref>。

=== 幕内昇進後 ===
迎えた3月場所は初日から連勝と滑り出しは順調だったが、3日から8連敗を喫して一気に負け越しが決定。結局4勝11敗と幕内の壁に阻まれ1場所で十両に陥落した。続く5月場所も初日から全く星が上がらず中日に負け越しが決定。その後も連敗が続き、13日目の[[天鎧鵬貴由輝|天鎧鵬]]戦でようやく初日が出たものの結局1勝14敗の大敗に終わり、西十両5枚目の地位から一気に幕下に陥落。幕下陥落後も2場所続けて負け越すなど調子が戻らなかったが、西幕下21枚目まで番付を後退させた同年11月場所で久しぶりの勝ち越しを決めた。

[[2017年]]は年間を通して十両昇進の可能性のある幕下15枚目以内に在位したものの、関取復帰は果たせなかった。

年が明けて[[2018年]]1月場所は西幕下4枚目で4勝3敗と、久々に5枚目以内で勝ち越した。この場所は十両下位の成績不振者が多かったこともあり、場所後の番付編成会議で、3月場所で11場所ぶりに十両へ復帰することが決まった<ref>{{Cite news |title=貴乃花部屋から初の双子関取誕生、貴公俊が新十両 |newspaper=日刊スポーツ |date=2018-01-31 |url=https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/201801310000276.html |accessdate=2018-01-31}}</ref>。

十両に復帰した2018年3月場所は、西十両13枚目の番付で2連勝スタートに始まり、一度も連敗を経験しないまま、自身初めての二桁白星となる11勝4敗の好成績を挙げた。12勝以上を挙げた十両力士が居なかったため、佐田の海との十両優勝決定戦にも進出したが、敗れて十両優勝はならなかった。5月場所は西十両5枚目に番付を上げた。序盤は黒星が先行したものの、尻上がりに調子を上げて10勝5敗の成績。二場所続けての二けた勝利となった。再入幕も狙える成績だったが番付運に恵まれず、翌7月場所は4枚上昇の西十両筆頭で迎えた。ご当地となる名古屋場所を3年ぶりに関取の地位で迎えたこともあって連日の声援を受けたが、初日から7連敗。新調した水色の締め込みから元の紫の締め込みに戻した中日から調子を取り戻して5連勝と持ち直したが、13日目に今場所2度目となる幕内の土俵で[[明生力|明生]]に敗れて負け越しが決定。6勝9敗の成績に終わった。7月30日の夏巡業大津場所では申し合いを7番行った<ref name="jana20180912">『大相撲ジャーナル』2018年9月号 p.12</ref>。翌5月場所も初日から水色の締め込みを付けて臨んだが1勝5敗と調子が出ず、7日目から再び紫の締め込みに戻してからは星を戻したが先場所に続いて13日目に負け越し、6勝9敗の成績に終わった。

その後も十両の地位で[[2019年]]7月場所まで7場所連続負け越しを喫し幕下に陥落、年6場所制以降では[[大善尊太|大善]]と並ぶ十両連続負け越しのワーストタイ記録となってしまった(大善はこの間公傷休場が2場所あるため、皆勤した力士に限れば単独最多。6場所制以前も含めての最多記録は[[玉風福太郎|玉風]]の8場所で、当時の十両の枚数は22枚目までであった)。その後は十両と幕下を往復したが、[[2020年]]3月場所で関取の地位では11場所ぶりに勝ち越しを決めた。同年9月場所は11勝4敗の成績を挙げ、翌11月場所では東十両筆頭で勝ち越したことにより、[[2021年]]1月場所では史上4番目のスロー記録となる、28場所ぶりの幕内復帰を果たすことになった<ref>{{Cite news |和書|title=翠富士が新入幕、明瀬山28場所ぶり再入幕／新番付 |newspaper=日刊スポーツ |date=2020-12-24 |url=https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202012230001045.html |accessdate=2021-01-28}}</ref>。

再入幕となった2021年1月場所は初日から6連勝発進となり、早くも前回の入幕時の勝ち星を上回る成績を挙げた<ref>{{Cite news |和書|title=明瀬山が６連勝、大横綱の教えで型確立35歳苦労人 |newspaper=日刊スポーツ |date=2021-01-15 |url=https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202101150000892.html |accessdate=2021-01-28}}</ref>。ところが、7日目からは一転して5連敗とトンネルに入り込み、その不調ぶりはリモート取材で報道陣から「どうしたんですか?」と質問を受けるほどであった<ref>{{Cite news |和書|title=明瀬山、６連勝から５連敗「どうしたんですか？」と問われ「こっちが聞きたいっす」 |newspaper=スポーツ報知 |date=2021-01-20 |url=https://hochi.news/articles/20210120-OHT1T50163.html |accessdate=2021-01-28}}</ref>。しかし12日目以降はまた勝ち星が連なり、13日目には8勝目を挙げて幕内では自身初めてとなる勝ち越しを決めた<ref>{{Cite news |和書|title=35歳明瀬山が勝ち越し「やったぜぇぇぇって感じ」 |newspaper=日刊スポーツ |date=2021-01-22 |url=https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202101220000763.html |accessdate=2021-01-28}}</ref>。35歳6か月4日での幕内初勝ち越しは、[[1957年]]9月場所の[[小野錦喜三郎|小野錦]]（35歳6か月9日）に次ぐ戦後2番目の年長記録だった（2021年1月当時。2023年1月現在は3位）<ref>{{Cite journal |和書|title=<記録の手帖>幕内初勝ち越しの高齢記録 |publisher=[[ベースボール・マガジン社]] |journal=[[相撲 (雑誌)|相撲]] |issue=2021年2月号 |pages=94-95 }}</ref>。千秋楽の取組前に開かれた[[三賞]]選考委員会では、前半戦の6連勝を評価されて、千秋楽の取組に勝利して2桁白星にするという条件を達成すれば明瀬山の敢闘賞受賞が決定したが、千秋楽は取り直しの末に敗れたため敢闘賞受賞はならず、この場所を9勝6敗の成績で終えることになったものの翌3月場所は東前頭12枚目で自己最高位を更新した。<ref>{{Cite journal |和書|title=初場所三賞力士 |publisher=[[ベースボール・マガジン社]] |journal=[[相撲 (雑誌)|相撲]] |issue=2021年2月号 |pages=6 }}</ref><ref>{{Cite news |和書|title=３５歳明瀬山「知りたくなかった」“勝てば敢闘賞”もスルリ…取り直しで無念黒星 |newspaper=デイリースポーツ |date=2021-01-24 |url=https://www.daily.co.jp/general/2021/01/24/0014028716.shtml |accessdate=2021-01-28}}</ref>。

5月場所（東前頭13枚目）は顎の骨折により[[日本相撲協会]]に「右下顎骨骨折のため5月場所の休場を要する」などの診断書を提出し、中日より自身初の休場となった<ref name="ago"/>。7月場所は右下顎骨骨折により7月場所の休場を要する」との診断書を日本相撲協会に提出し、初日から休場。診断書によると5月場所後の6月1日に手術を施行<ref>[https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202107040000448.html 休場の十両明瀬山が診断書提出　右下顎骨骨折、夏場所３日目に負傷し加療中] 日刊スポーツ 2021年7月4日14時13分 (2021年7月5日閲覧)</ref>。

その後7月場所（番付上は東十両7枚目）、9月場所は全休（番付上は西幕下5枚目）、11月場所は西幕下45枚目で復帰して5勝2敗の成績で終えた<ref>大相撲（2021年）九州場所　千秋楽 2021年11月28日 [[日本放送協会|NHK]][[大相撲中継]] (2021年11月28日閲覧)</ref>
<ref>「相撲部屋書き開き帖」『[[相撲 (雑誌)|相撲]]』2021年11月号、[[ベースボール・マガジン社]]、83頁。2021年11月28日閲覧。</ref>。

[[2022年]]（[[令和]]4年）最初となる1月場所は西幕下30枚目の番付で迎えた。8日目は1歳年下の[[鳰の湖真二|鳰の湖]]とのベテラン対決で寄り切りで勝利して4連勝で勝ち越しを決めた。鳰の湖はこの取組から4連敗で3勝4敗で負け越し。11日目には[[竜電剛至|竜電]]に敗れて優勝争いから後退するものの千秋楽に豊翔に寄り切りで勝利して6勝1敗の成績で終えた。幕下での6勝は[[2012年]]（[[平成]]24年）9月場所以来となった。その後3月場所は東幕下11枚目で4勝3敗、5月場所は西幕下8枚目で4勝3敗と休場明けから4場所連続で勝ち越しを続けて番付を戻している。
2023年7月場所では自身6年ぶりとなるご当所での勝ち越しで結果5勝2敗で終えたが場所後の8月10日に引退を表明し、年寄[[井筒_(相撲)|井筒]]の襲名が発表された<ref>[https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2023/08/10/kiji/20230810s00005000242000c.html?amp=1 元幕内・明瀬山が引退　年寄「井筒」襲名へ　ご当所の名古屋場所では幕下16枚目で勝ち越しも] スポーツニッポン 2023年8月10日(同日閲覧)</ref>。

場所前から調子も良く順調に稽古を積めていた5月場所で思うような結果にならなかったため「ここが限界なのかな」と場所後に師匠の木瀬親方に相談し、最後の場所と思って地元・愛知県で行われた名古屋場所に臨んだ。そこで5勝2敗と勝ち越したが、気持ちは変わらなかった<ref name="orenoiukoto">[https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202308100000858.html 元前頭の38歳明瀬山、15年間の現役生活に幕「目一杯相撲をやったので、悔いはありません」] 日刊スポーツ 2023年8月10日16時55分 (2023年8月10日閲覧)</ref>。

引退会見では「目いっぱい相撲をやったので、悔いはありません」と心境を語り「『この力士を応援して良かった』と思ってもらえるような力士を育てたい」と今後の親方としての抱負を述べた。引退直前の7月場所の応援に駆けつけた家族の前で最後の勇姿を見せられたことについては「ここまでやってこれたのも両親が応援してくれたおかげ。両親から『十分楽しませてもらった』と言われていたので、やってきてよかった」と誇らしそうな笑みを見せた。会見に同席した師匠は「素直で真面目な力士だった」と愛弟子の頑張りをたたえ、明瀬山本人も15年間の現役生活について「想像以上でした。38歳までやれるとは思っていなかった。師匠の指導のおかげでした」と万感の思いを述べた<ref name="orenoiukoto"/>。

2024年6月2日の断髪式では、一門の関取衆・親方衆に加え、一門外からも埼玉栄高校勢が参加。約300人が鋏を入れ、止め鋏は師匠の木瀬親方が入れた<ref>[https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/202406020000551.html 元前頭明瀬山の井筒親方の断髪式　貴景勝と琴桜の両大関らも出席] 日刊スポーツ 2024年6月2日14時51分 (2024年6月2日閲覧)</ref>。引退相撲の際の報道で、2020年に結婚し、幕下陥落後の2021年11月に長男が生まれたことが公表された。その長男は明瀬山の最後の取組の土俵に上がり、息子と同じ土俵に上がれたことに普段は泣かない明瀬山も感涙していた<ref>[https://www.sankei.com/article/20240602-RE6TJISK5ZNN3EA5BG6BU6ZCX4/ 元明瀬山が断髪式　長男と相撲「夢かなった」] 産経新聞 2024/6/2 19:31 (2024年6月4日閲覧)</ref><ref>[https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2024/06/02/kiji/20240602s00005000886000c.html 9分30秒のあいさつで夫人への感謝伝える　元明瀬山が断髪式で結婚を公表] Sponichi Annex 2024年6月2日 20:51 (2024年6月4日閲覧)</ref><ref>[https://www.chunichi.co.jp/article/907620 井筒親方、妻へ感謝の断髪式「相撲をやめたいと思ったとき…」異例の長さのあいさつで思いのたけを語る【大相撲】] 中日スポーツ 2024年6月2日 20時13分 (2024年6月4日閲覧)</ref>。

== 取り口 ==
元々突き押し力士でありながら四つになってもそれなりに相撲を取れた。十両と幕下の間を往復していた頃は勝ち味が遅かったが、取組の映像を木瀬と共に見ながら「右手でまわしを取りに行くこと」「攻めを早くすること」を指導されたことで取り口を右四つの速攻中心に変えた。以前より北の湖からは「右を取れば強いのに」と言われており、木瀬は「右を取ったら上も下もうまいのに、本人だけが分かっていなかった」とこぼされていたが、取り口を変えてから入幕を果たした<ref>[https://www.daily.co.jp/newsflash/general/2016/02/29/0008848607.shtml?pg=2 新入幕明瀬山「相撲で恩返ししたい」]　デイリースポーツ 2016年2月29日</ref>。

調子の良い場所だと懐の深さと体の柔らかさを活かして土俵際で突き落としを決めることができ、2021年1月場所6日目の照強戦はその好例である<ref>[https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/01/15/kiji/20210115s00005000341000c.html 【玉ノ井親方　視点】全勝守った大栄翔の相撲に迷いはなし　照ノ富士をスピードと馬力で圧倒] Sponichi Annex 2021年1月15日 19:55 (2021年1月15日閲覧)</ref>。

2021年になると自分の型になるまで攻め急がない老獪さを見せるようになった<ref name="ラスカル"/>。また、この場所14日目には怪力で知られる栃ノ心を一発で持っていく力強さを見せた<ref>[https://number.bunshun.jp/articles/-/846783?page=2 “ご意見番”武蔵丸、初優勝の大栄翔にあっぱれ　一方で喝も「絶不調の貴景勝は体を絞れ！」(2/2ページ)] NumberWeb 2021/01/26 17:35 (2021年1月27日閲覧)</ref>。同年3月場所の相撲を見た北の富士は、お世辞にも引き締まったとは言えない巨体に似合わぬ機敏な動きを評価した<ref>[https://www.chunichi.co.jp/article/218497 尻から落ちた負け方…朝乃山の相撲が気に入らない、この状態では大関の座を守るのも危なくなる【北の富士コラム】] 東京中日スポーツ 2021年3月16日 06時00分 (2021年3月16日閲覧)</ref>。

かつては右足を引いて斜めに構える独特の仕切りが特徴的であったが、動作の遅さから[[勝負審判]]に注意される場面もしばしば見られた。

タレントで元関脇・隆乃若の[[尾崎勇気]]は自身のブログにおいて、明瀬山の体型について「[[隆の鶴伸一|隆の鶴]]と[[増健亘志|増健]]を足して2で割ったような非常に柔軟な体つき」と評価している。

怪我に強い力士であり、2021年5月場所中日に途中休場するまで本場所は皆勤であった<ref name="ago">[https://hochi.news/articles/20210516-OHT1T51053.html 幕内・明瀬山が顎の骨折で８日目から休場…０８年初場所の初土俵以来で初] 2021年5月16日 11時10分スポーツ報知 (2021年5月16日閲覧)</ref>。

== エピソード ==
* 普段は年下からもツッコミが入るほどの人懐っこいキャラ<ref name="ラスカル"/>。
* 2012年5月19日午後8時ごろ、同部屋の十両（当時）[[德勝龍誠|德勝龍]]と共に乗っていたタクシーが交差点で乗用車と出会い頭に衝突し、德勝龍、明瀬山の2人は頚椎捻挫で軽傷を負った<ref>『JNNニュースバード』2012年5月20日放送</ref>。
* 締め込みの緩さは十両でも目立っており、2014年1月場所11日目のNHK大相撲中継では解説を務めていた[[隆の鶴伸一|田子ノ浦]]が「際どすぎる」とまで厳しく指摘していた。能町みね子との対談ではこれについて「自分は廻しをきつく巻いているつもりだけど、見えそうになっていると言われる」と語っている<ref name="sumou201603">『相撲』2016年3月号</ref>。
* 趣味はアニメ鑑賞で、自他共に認める「アニメオタク」<ref name="ラスカル"/>。2014年1月場所中には『[[クッキングパパ]]』のDVDを全巻視聴したこともある<ref name="ref1">『相撲』2014年3月号59頁</ref>『[[美味しんぼ]]』も気に入っており、2021年1月場所時点では既にDVD全巻を4、5周したほど<ref name="ラスカル"/>。
* 小学生時代には地元に出店されていた[[栃光興福|相撲料理店「栃光」]]のCMにエキストラとして参加していた。中学時代には[[栃剣展秀|栃剣]]に稽古をつけてもらったことがある。この2人の存在が大相撲入りの決意を固める一因となった。
* 小学生時代にわんぱく横綱となった際には、後に一時の師匠となる[[北の湖敏満|北の湖]]から土俵入りの指導を受けていた。その北の湖が死去した際には「一緒の食卓でちゃんこを食べながら、昔話を聞けたのは幸せ」と懐かしんだ<ref>[http://www.sanspo.com/sports/news/20151121/sum15112121520032-n1.html 臥牙丸、北の湖理事長は「お父さんみたいに優しかった」／九州場所] SANSPO.COM 2015.11.21 21:52</ref>。
* 関取在位時はナス紺の締め込みを使用しているが、これは父親が家庭菜園で栽培しているナスに由来する<ref name="sumou201603"/>。
* 2020年6月に公開された相撲協会公式YouTubeチャンネルの動画では[[2019年コロナウイルス感染症流行による外出制限・封鎖|ステイホーム]]中の過ごし方として『[[あつまれ どうぶつの森]]』のプレイを挙げている<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=oU2xiKBrTY8 【おうち時間３】千代丸、玉鷲など、関取１４名が登場！] 日本相撲協会公式チャンネル YouTube 2020/06/18 (2020年8月25日閲覧)</ref>。
* 2020年11月場所2日目の[[AbemaTV|ABEMA]]大相撲中継で解説の[[若ノ城宗彦|若ノ城]]が「私、こういうタイプと当たったことがあるんですけど、まわしと間違えて肉をつかんだことがあるんですよ」と現役時代のエピソードを披露。「私、左下手なんですけど、下手の時に前みつだと思って（肉を）つかんだことがあってですね…」と続けた<ref>[https://times.abema.tv/articles/-/8632723 「まわしと間違えて肉をつかんだことが…」明瀬山のニックネーム“パンの山”に視聴者と実況解説が大盛り上がり] ABEMA TIMES 2020.11.10 10:31 (2020年11月11日閲覧) </ref>。明瀬山の垂れた肉を表すエピソードである。ただし、若ノ城と明瀬山が共に現役であった時期はない。
*2021年1月場所4日目、[[豊昇龍智勝|豊昇龍]]に押し込まれたがじっくり自分の体勢にして寄り切った一番を、NHK大相撲中継解説の[[栃栄篤史|三保ヶ関]]が「攻めてくる蟻地獄」と評した。
*2020年11月場所中、再入幕を確定させた際「新入幕のときは（4勝止まりで）ボコボコにされて嫌な思い出しかない」とネガティブ発言を行った<ref name="ラスカル"/>。
*引退会見では38歳まで現役を続けた原動力を「稽古後のちゃんこ」と答え、特に湯豆腐が好きだと語った<ref>[https://hochi.news/articles/20230810-OHT1T51143.html?page=1 元幕内・明瀬山が引退会見　３８歳まで現役の原動力は「ちゃんこ」　今後は井筒親方として後進の指導へ] <2023年8月10日 16時22分スポーツ報知 (2023年8月15日閲覧)</ref>。

== 主な成績 ==
2023年7月場所終了現在
===通算成績=== 
*通算成績：472勝473敗29休（92場所）
*幕内成績：21勝32敗7休（4場所）

===各段優勝===
*幕下優勝：1回（2009年7月場所）
*序ノ口優勝：1回（2008年3月場所）

===場所別成績===
  {{Sumo record box start|明瀬山 光彦}}
  {{Sumo record year start|2008}}
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<td style="background-color:#DDD">'''八百長問題<br />により中止'''</td>
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    {{basho|ma|11|e|5|2}}
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<td style="background-color:#DDD">'''感染症拡大<br />により中止'''</td>
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   {{Basho|m|13|e|1|7|7<ref>右下顎骨骨折のため中日から休場</ref>}}
   {{Basho|KYUJO|rank=j|r-no=7|tozai=e|<ref>右下顎骨骨折のため初日から休場</ref>}}
   {{Basho|KYUJO|rank=ma|r-no=5|tozai=w|}}
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  {{Sumo record year end}}
{{Sumo record year start|2022}}
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  {{Sumo record year end}}
{{Sumo record year start|2023}}
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   {{Basho|||||}}
  {{Sumo record year end}}
  {{Sumo record box end}}

== 合い口 ==
2023年7月場所終了現在

（以下は最高位が横綱・大関の現役力士）
* 大関・[[豊昇龍智勝|豊昇龍]]には2勝。
* 元大関・[[御嶽海久司|御嶽海]]には1敗。
（以下は最高位が横綱・大関の引退力士）
* 元大関・[[栃ノ心剛史|栃ノ心]]には2勝。
* 最高位が関脇以下の力士との幕内での対戦成績は以下の通りである。
{| class="wikitable"style=text-align:center,"
|-
!力士名!!勝数!!負数!!力士名!!勝数!!負数!!力士名!!勝数!!負数!!力士名!!勝数!!負数
|-
!colspan="12"|関脇
|-
|[[碧山亘右|碧山]]||0||2
|[[逸ノ城駿|逸ノ城]]||0||1
|[[隠岐の海歩|隠岐の海]]||0||1
|[[魁聖一郎|魁聖]]||1||2
|-
|'''[[琴ノ若傑太|琴ノ若]]'''||1||0
|'''[[大栄翔勇人|大栄翔]]'''||0||2
|[[豪風旭|豪風]]||0||1
|'''[[玉鷲一朗|玉鷲]]'''||0||1
|-
!colspan="12"|小結
|-
|[[千代鳳祐樹|千代鳳]]||0||1
|[[千代大龍秀政|千代大龍]]||1||2
|'''[[竜電剛至|竜電]]'''||1||0
|||||
|-
!colspan="12"|前頭
|-
|'''[[天空海翔馬|天空海]]'''||1||1(1)
|[[阿夢露光大|阿夢露]]||0||1
|[[石浦鹿介|石浦]]||0||1
|'''[[輝大士|輝]]'''||0||1
|-
|[[北太樹明義|北太樹]]||1||0
|'''[[琴恵光充憲|琴恵光]]'''||1||2
|'''[[琴勝峰吉成|琴勝峰]]'''||1||0
|'''[[佐田の海貴士|佐田の海]]'''||1||1
|-
|[[里山浩作|里山]]||1||0
|'''[[大奄美元規|大奄美]]'''||0||1
|'''[[大翔丸翔伍|大翔丸]]'''||0||1
|[[貴ノ岩義司|貴ノ岩]]||0||1
|-
|'''[[千代翔馬富士雄|千代翔馬]]'''||0||2
|[[千代の国憲輝|千代の国]]||0||1
|'''[[千代丸一樹|千代丸]]'''||0||1
|'''[[剣翔桃太郎|剣翔]]'''||0||1
|-
|'''[[照強翔輝|照強]]'''||2||0
|[[豊響隆太|豊響]]||1||0
|'''[[翠富士一成|翠富士]]'''||1||0
|[[豊山亮太|豊山]]||2||0
|}
{{注|※カッコ内は勝数、負数の中に占める不戦勝、不戦敗の数。'''太字'''は2023年7月場所終了現在、現役[[力士]]。}}

== 改名歴 ==
; 力士
*深尾 光彦（ふかお みつひこ）2008年1月場所-2010年9月場所
*明瀬山 光彦（あきせやま みつひこ）2010年11月場所-2023年9月場所

; 年寄
* 井筒 光彦（いづつ みつひこ）2023年8月10日 -

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
== 関連項目 ==
*[[大相撲力士一覧]]

== 外部リンク ==
{{goo-sumo|3056|明瀬山 光彦}}
{{sumodb|8900|明瀬山 光彦}}

{{現役年寄}}
{{木瀬部屋}}
{{デフォルトソート:あきせやま みつひこ}}
[[Category:愛知県出身の大相撲力士]]
[[Category:北の湖部屋]]
[[Category:木瀬部屋]]
[[Category:日本大学出身の大相撲力士]]
[[Category:埼玉栄高等学校出身の大相撲力士]]
[[Category:愛知県出身の人物]]
[[Category:1985年生]]
[[Category:存命人物]]