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女性権利大臣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

女性権利大臣または女性の権利大臣: Ministre chargé des Droits des femmes)は、フランス内閣の構成員であり、女性権利省の長である。1974年ヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領によりフランソワーズ・ジルーが女性の地位副大臣に任命されて以来、大臣、特命大臣 (ministre délégué)、副大臣 (secrétaire d'État) と格付けが変わり、内閣構成員以外の特命 (délégué) に格下げされた時期もあるが、概して、女性の地位、権利、雇用、男女平等、パリテ(候補者男女同数法)、女性差別対策などに関する責任を担ってきた。

とりわけ、1985年ミッテラン政権下で女性権利大臣が「内閣に席を持つ正規の大臣」となったことで(イヴェット・ルーディが就任)、「フランスは、女性の権利を扱う大規模な管理執行機関を創設した最初の近代国家となった」[1]

歴史

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1974年、ヴァレリー・ジスカール・デスタンが大統領に就任。フランソワーズ・ジルーが首相直属の女性の地位副大臣に任命された[2]

1976年、女性の地位担当庁は廃止され、首相直属の職務として女性の地位代表が置かれた[3]

1981年社会党フランソワ・ミッテランが大統領に就任。イヴェット・ルーディが首相直属の女性権利担当大臣に任命された。さらに、女性の地位向上に積極的であったミッテランは、1985年に初の女性権利省を設置し、引き続き、イヴェット・ルーディを女性権利大臣に任命した[4]

1986年、ミッテラン政権下で共和国連合ジャック・シラクが首相に就任すると(コアビタシオン)、女性権利省は廃止され、再び女性の地位代表が置かれた[5]。その後、ミシェル・ロカール内閣で担当大臣または副大臣が復活。

シラク政権下(1995年2007年)では、パリテ・職業平等省が設置された2004年3月から2005年5月までを除いて[6]、女性政策に関する担当大臣または副大臣は存在しないか、または労働省、経済省などの下に位置づけられていた。

ニコラ・サルコジ政権下(2007年 - 2012年)では、主に労働・社会関係・連帯省内の一組織として位置づけられ[7]、担当大臣や副大臣は置かれなかった。

2012年5 月に社会党のフランソワ・オランドが大統領に就任すると、26年ぶりに女性権利省が復活し、ナジャット・ヴァロー=ベルカセムが女性権利大臣に就任した[8][9]2014年第二次マニュエル・ヴァルス内閣が誕生すると、社会問題・厚生・女性権利省(マリソル・トゥーレーヌフランス語版大臣)の下、パスカル・ボワタールフランス語版[10]が女性権利副大臣に就任。2016年にはローランス・ロシニョルフランス語版が家族・児童・女性権利大臣に就任した。

2017年エマニュエル・マクロンが大統領に就任すると、再び首相直属となり、マルレーヌ・シアパ女男平等副大臣に就任。2018年10月に女男平等・差別対策担当副大臣に改称された[11][12]

女性権利大臣等一覧

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大臣・副大臣 名称 所轄大臣 所轄の省 内閣 就任日 退任日
ヴァレリー・ジスカール・デスタン政権
フランソワーズ・ジルー 女性地位副大臣 ジャック・シラク 首相 第1次シラク内閣 1974年7月16日 1976年8月25日
なし 第1次バール内閣 1976年8月25日 1977年3月29日
第2次バール内閣 1977年3月29日 1978年1月10日
ニコル・パスキエフランス語版 女性雇用担当副大臣 クリスチャン・ブラクフランス語版 労働大臣 1978年1月10日 1978年4月6日
ロベール・ブーランフランス語版 労働・社会参加大臣 第3次バール内閣 1978年4月6日 1979年10月29日
ジャン・マテオリフランス語版 1979年11月8日 1981年5月22日
モニック・ペルティエフランス語版 女性地位担当特命大臣 レイモン・バール 首相 1978年9月11日 1980年2月18日
家族・女性地位担当特命大臣 1980年2月18日 1981年3月4日
アリス・ソーニエ・セイテフランス語版 1981年3月4日 1981年5月22日
フランソワ・ミッテラン政権
イヴェット・ルーディ 女性権利担当特命大臣 ピエール・モーロワ 首相 第1次モーロワ内閣
第2次モーロワ内閣
第3次モーロワ内閣
1981年5月22日 1984年7月23日
ローラン・ファビウス ファビウス内閣 1984年7月23日 1985年5月21日
女性権利大臣 女性権利省(全権) 1985年5月21日 20 mars 1986
なし 第2次シラク内閣 1986年3月20日 1988年5月11日
ジョルジーナ・デュフォワフランス語版 家族・女性権利・連帯・本国送還者担当特命大臣 ミシェル・ドルバールフランス語版 社会問題・雇用大臣 第1次ロカール内閣 1988年5月12日 1988年6月28日
ミシェル・アンドレフランス語版 女性権利担当副大臣 (全権) 第2次ロカール内閣 1988年6月28日 1991年5月17日
ヴェロニク・ネエルツフランス語版 マルティーヌ・オブリー 労働・雇用・職業教育大臣 クレッソン内閣 1991年5月17日 1991年5月25日
女性権利・日常生活担当副大臣 1991年5月25日 1992年4月4日
女性権利・消費担当副大臣 ミシェル・サパンフランス語版 経済・財務大臣 ベレゴヴォワ内閣 1992年4月4日 1993年3月30日
なし バラデュール内閣 1993年3月30日 1995年5月17日
ジャック・シラク政権
なし 第1次ジュペ内閣
第2次ジュペ内閣
1995年5月17日 1997年6月2日
ジョスパン内閣 1997年6月2日 1998年11月17日
ニコル・ペリフランス語版 女性権利・職業教育担当副大臣 マルティーヌ・オブリー 雇用・連帯大臣 1998年11月17日 2000年10月18日
エリザベート・ギグー 2000年10月18日 2002年5月7日
なし 第1次ラファラン内閣 2002年5月7日 2002年6月17日
ニコル・アムリーヌフランス語版 パリテ・職業平等特命大臣 フランソワ・フィヨン 社会問題・労働・連帯大臣 第2次ラファラン内閣 2002年6月17日 2004年3月30日
パリテ・職業平等大臣 パリテ・職業平等省(全権) 第3次ラファラン内閣 2004年3月31日 2005年5月31日
カトリーヌ・ヴォートランフランス語版 社会的結束・パリテ特命大臣 ジャン=ルイ・ボルロー 雇用・社会的結束・住宅大臣 ド・ヴィルパン内閣 2005年6月2日 2007年5月15日
ニコラ・サルコジ政権
なし 第1次フィヨン内閣
第2次フィヨン内閣
第3次フィヨン内閣
2007年5月18日 2012年5月10日
フランソワ・オランド政権
ナジャット・ヴァロー=ベルカセム 女性権利大臣・政府報道官 女性権利省(全権) 第1次エロー内閣
第2次エロー内閣
2012年5月16日 2014年3月31日
女性権利・都市・青年・スポーツ大臣 第1次ヴァルス内閣 2014年4月2日 2014年8月25日
パスカル・ボワタールフランス語版 女性権利担当副大臣 マリソル・トゥーレーヌフランス語版 社会問題・保健・女性権利大臣 第2次ヴァルス内閣 2014年8月26日 2016年2月11日
ローランス・ロシニョルフランス語版 家族・児童・女性権利大臣 家族・児童・女性権利省(全権) 2016年2月11日 2016年12月6日
カズヌーヴ内閣 2016年12月6日 2017年5月15日
エマニュエル・マクロン政権
マルレーヌ・シアパ 女男平等担当副大臣 エドゥアール・フィリップ 首相 第1次フィリップ内閣
第2次フィリップ内閣
2017年5月17日 2018年10月15日
女男平等・差別対策担当副大臣 2018年10月16日 2020年7月3日
エリザベート・モレノフランス語版 ジャン・カステックス 首相 カステックス内閣 2020年7月6日 現職

脚注

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  1. ^ Boles Janet K., Hoeveler Diane Long, 鵜殿えりか, 水田珠枝, 安川悦子, 立川希代子, 西山惠美, 藤森かよこ, 見崎恵子『フェミニズム歴史事典』明石書店、2000年。ISBN 4750313254全国書誌番号:20105143https://id.ndl.go.jp/bib/000002919717 
  2. ^ Décret du 16 juillet 1974 DU GOUVERNEMENT, https://www.legifrance.gouv.fr/affichTexte.do?cidTexte=JORFTEXT000000879934 2018年11月7日閲覧。 
  3. ^ Décret n°76-878 du 21 septembre 1976 DELEGUE A LA CONDITION FEMININE, (21 septembre 1976), https://www.legifrance.gouv.fr/affichTexte.do;jsessionid=516E7340AA91D380413729B4BBB942EC.tplgfr25s_1?cidTexte=JORFTEXT000000507072&dateTexte=&oldAction=rechJO&categorieLien=id&idJO=JORFCONT000000022155 2018年11月7日閲覧。 
  4. ^ ROUDY Yvette [née Yvette SALDOU - Maitron]”. maitron-en-ligne.univ-paris1.fr. 2018年12月31日閲覧。
  5. ^ Décret n°86-729 du 2 mai 1986 relatif à la déléguée à la condition féminine. | Legifrance”. www.legifrance.gouv.fr. 2018年11月7日閲覧。
  6. ^ Décret du 31 mars 2004 relatif à la composition du Gouvernement, https://www.legifrance.gouv.fr/affichTexte.do?cidTexte=JORFTEXT000000797801&dateTexte=&categorieLien=id 2018年11月7日閲覧。 
  7. ^ 「諸外国における政策・方針決定過程への女性の参画に関する調査」第3章 フランス”. 2018年11月7日閲覧。
  8. ^ Décret n° 2012-778 du 24 mai 2012 relatif aux attributions du ministre des droits des femmes, (24 mai 2012), https://www.legifrance.gouv.fr/affichTexte.do?cidTexte=JORFTEXT000025915920&dateTexte=&categorieLien=id 2018年11月7日閲覧。 
  9. ^ 井上たか子「フランスの女男平等政策推進機構」『フランス文化研究』第47巻、獨協大学外国語学部、2016年2月、23-44頁、ISSN 0286-3898NAID 120005821931CRID 1050564288804512512 
  10. ^ “仏の女性権利担当大臣が語る、今あるべき女性の働き方” (日本語). ELLE. (2014年11月4日). https://www.elle.com/jp/culture/g229930/cin-pascale-2014-10/?slide=1 2018年11月7日閲覧。 
  11. ^ Décret n° 2018-939 du 30 octobre 2018 relatif aux attributions déléguées à la secrétaire d'Etat chargée de l'égalité entre les femmes et les hommes et de la lutte contre les discriminations, (30 octobre 2018), https://www.legifrance.gouv.fr/affichTexte.do?cidTexte=JORFTEXT000037548082&dateTexte=&categorieLien=id 2018年11月7日閲覧。 
  12. ^ エドゥアール・フィリップ内閣閣僚名簿”. La France au Japon. 2019年11月16日閲覧。

参考資料

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関連項目

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