MagSafe
MagSafe(マグセーフ)は、
- Appleが採用しているMacBook Pro、MacBookおよびMacBook Airの本体とACアダプタからのコードを接続するコネクタ。MagSafe、MagSafe 2 の後継の MagSafe 3 が現行である(2021年時点)。
- Appleが開発したiPhoneおよびAirPods充電ケース向けのワイヤレス充電規格である。
MacBook版
[編集]MagSafe
[編集]2006年1月10日に行われたMacworld Conference & ExpoにてMagSafeが発表された。電気ポットの多くで採用されている電源コードの接続と同様に磁力によって接続する点が主な特徴である。
MagSafe 2
[編集]2012年6月には、コネクタを薄型化したMagSafe 2が発表された。
MagSafe / MagSafe 2コネクタは、磁力によって本体と接続される。電気ポットの接続と基本的には同じで、ひねりの外力が加わると容易に外れる構造になっている。接続部のケーブル断線が減ること、電源コードに引っかけて、本体を落下させるなどのトラブルの軽減を目的としている[1]。2011年7月、日本でも特許を取得している[2]。
コネクタ部には発光ダイオードが内蔵されており、充電中はオレンジ色、完了時には緑色がそれぞれ点灯する。また、本体のバッテリーが外されている状態でコネクタが接続されている場合は、常時緑色に点灯している。
2008年10月現在、同コネクタを採用したサードパーティー製のACアダプタは存在しない。MacworldのDan Frakesは、その理由としてAppleが同コネクタの特許を取得しており、それを他社にライセンス販売する意図が無いことを指摘している[3]。ポゴピンの特許紛争があった[4]が、Appleが勝利している[5]。
2015年3月発売のMacBook (Early 2015)と2016年10月発売のMacBook Pro (2016)以降、充電システムはUSB-PD(USB-C利用)によるものへと移行した。MacBook Airはこれらの登場以降、Early 2015およびMid 2017でもMagSafe 2を搭載したが、2018からは同じくUSB-PDに移行した。
2020年11月現在、MagSafe / MagSafe 2対応ACアダプタは引き続き入手可能である[6]。
MagSafe 3
[編集]2021年10月18日に行われたApple Eventで、MagSafe 3を搭載したMacBook Pro 14インチ / 16インチモデルが発表された[7]。USB-C - MagSafe 3ケーブルが付属し、最大140W USB-C電源アダプタ(USB-PD 3.1のEPR規格)での給電に対応する。2022年6月6日に発表されたMacBook Air (M2, 2022)にもMagSafe 3が搭載される[8][9]。
iPhone版
[編集]第1世代
[編集]2020年10月14日(日本時間)のApple Eventにおいて、iPhone 12 / 12 ProシリーズにMagSafeが搭載されることが発表された[10]。MacBook版とは、NFCを利用すること、ワイヤレス充電で接点がないなど大きく異なる[11]。名称は同じでも、共通点は磁力を利用する程度しかない。 最大15W[注 1]の電力を提供し、最大7.5Wの電力でオープンQi標準と下位互換性がある[12] 。そのため、Qi対応のAndroidスマートフォンやiPhone 8〜11 Proでも、MagSafe充電器でのワイヤレス充電が可能である(ただしApple Watchは充電方式がQiではないので充電不可)。MagSafeにより、カードホルダーやケースなどの非充電器アクセサリを統合されたNFCループを介して通信することもできる。
2023年1月5日、ワイヤレス電力伝送の業界団体であるワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)はQiの後継規格として、MagSafeをベースとした「Qi2」を採用すると発表した[13]。
第2世代
[編集]2024年9月10日(日本時間)のApple Eventにおいて、iPhone 16 / 16 Proなどと共に発表された。新しく発表されたMagSafeは、従来15WであったiPhoneへの最大充電電力が25W[注 2]に向上されている。なお、同様のワイヤレス充電規格であるQi2の最大充電電力は15Wであるため、第2世代のMagSafeはそれを上回る充電速度となっている。
世代 | 第1世代 | 第2世代 |
---|---|---|
最大充電電力 | 15W[注 1] | 25W[注 2] |
推奨USB-C電源アダプタ | 20W以上の物 | 30W以上の物 |
ケーブルの長さ | 1m | 1m / 2m |
発表イベント | Apple Event (2020年10月) | Apple Event (2024年9月) |
モデル番号 | A2140 | A2580 (1m) / A3250 (2m) |
製品番号 | MHXH3AM/A | MX6X3AM/A (1m) / MX6Y3AM/A (2m) |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b iPhone 12 miniとiPhone 13 miniに関しては最大12Wとなっている。
- ^ a b 2024年10月時点で、iPhone 16 PlusとiPhone 16 Pro Maxに対応。iPhone 16とiPhone 16 Proに関しては最大22.5Wとなっている。
出典
[編集]- ^ Apple Inc. “アップル - MacBook - 特長”. 2011年4月20日閲覧。
- ^ 特許 第4774439号 電子装置の電磁コネクタ
- ^ Frakes,Dan. “Where are the third-party MagSafe accessories?”. Mac Publishing, LLC 2011年4月20日閲覧。
- ^ “「島野製作所 vs アップル」に学ぶ、特許を盗んだと言われないための注意点”. CNET Japan (2015年9月11日). 2021年10月20日閲覧。
- ^ “島野製作所がアップルに敗訴 特許権侵害巡り、東京地裁”. 日本経済新聞 (2016年3月18日). 2021年10月20日閲覧。
- ^ “電源&ケーブル - すべてのアクセサリ”. Apple(日本). 2020年11月24日閲覧。
- ^ “Apple、革新的なMacBook Proを発表”. Apple Newsroom (日本). 2021年10月19日閲覧。
- ^ “MacBook Air (M2, 2022) - 技術仕様 (日本)”. support.apple.com. 2023年5月31日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2022年6月7日). “Apple、新設計の「M2」プロセッサを搭載した「MacBook Air」と「Pro」”. PC Watch. 2023年5月31日閲覧。
- ^ “Apple、iPhone 12とiPhone 12 miniを発表:新時代の幕開けとなる5G対応iPhone”. Apple Newsroom. 2020年10月15日閲覧。
- ^ Dillet, Romain. “アップルが「MagSafe」でアクセサリーとワイヤレス充電器の新エコシステムを構築”. TechCrunch Japan. 2020年10月15日閲覧。
- ^ “Apple、iPhone 12とiPhone 12 miniを発表:新時代の幕開けとなる5G対応iPhone”. Apple Newsroom. 2020年10月27日閲覧。
- ^ 佐藤信彦 (2023年1月5日). “次世代ワイヤレス充電規格「Qi2」、アップルの「MagSafe」ベースに--対応デバイスは年内登場”. CNET Japan. 2023年1月8日閲覧。
関連項目
[編集]- MagSafeバッテリーパック
- Apple Watch - MagSafeテクノロジーと電磁誘導充電を組み合わせた独自の磁気充電規格を採用している
- Apple Pencil - 一部モデルではiPadとのペアリングや充電にマグネットを使用する
- Smart Connector - 対応のiPad背面または側面に搭載のマグネット式の端子、対応のMagic Keyboard経由のUSB-C充電も可能