佐渡島の金山

新潟県佐渡市にある世界遺産

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佐渡島(さど)の金山(さどのきんざん/英語:Sado Island Gold Mines)は、世界遺産文化遺産)の登録を目指す日本の候補地の一つで、新潟県佐渡島佐渡市)に遺存するかつての金山を主体とした鉱山にまつわる産業遺産で、2010年平成23年)にユネスコ世界遺産センターの暫定リストに掲載され、正式推薦へ向け複数回にわたり文化庁へ推薦書原案を提出してきたが文化審議会による国内選考で選ばれることがなく、2021年令和3年)末にようやく2023年開催予定の第46回世界遺産委員会への審査候補に選定され[1]2022年2月1日政府が推薦を実行した[2]

佐渡金山のシンボル「道遊の割戸」(露頭掘り跡)

現時点での日本語名称は、文化庁や推薦書等の記述で「佐渡島」と書いて単に「さど」と読ませるため、括弧付きで「佐渡島(さど)」と振り仮名を併記することを正式な表記とするが、一部のメディアでは「さど」とルビ振り表示している事例もあり、本記事ではWikipedia:記事名の付け方により括弧送りをしていない。

概要

佐渡金銀山は江戸時代からの388年間で地金78トン、2,330トン(最盛期には年間で金400キロ、銀40トン)を産出し[注 1]、国内のみならず出島貿易オランダを介して輸出されたことから世界の経済にも大きな影響を与えた。また、地表から開削する露頭掘りから、トンネル状に横穴(斜坑)を掘り、さらに竪坑へと伸びてゆく坑道掘削への技術移行の変遷を見ることができる(その全てが人力による)。特に相川地区では生産技術に関わる採掘・選鉱・精錬・鋳造の遺跡佐渡奉行所のような管理体系、武士を含め鉱夫・荷駄・造幣・両替・海運などに携わった人々(鉱業関係者相手の雑貨・宿・飲食遊興従事者とそれらの家族を含めると江戸時代には最大人口約5万人を擁した[注 2])の職種別集落跡や家並みが、鉱山から港まで直線距離で約2キロ、高低差180メートルの間、濁川・間切川(赤川)・大仏川沿いに地形を活かして効率良い生産ラインとして配置され、近世における工業地域都市計画の様子が良好な状態で遺存しており、これは世界的にも稀有な存在である[3]

対象地

 
1.西三川 2.鶴子 3.相川
いずれも大まかな位置
  • 相川金銀山鶴子銀山(相川鶴子金銀山として一体化して捉えている)、大佐渡山地に立地
    • 相川は鉱山跡である道遊の割戸、宗太夫坑[注 3]、大切山坑(非公開)に加え、上相川鉱山集落跡、南沢疎水(元禄10年(1697年)に完成した坑道湧排水地下下水で今も使われている稼働遺産=非公開)、大安寺、吹上海岸石切場跡、片辺・鹿野浦海岸石切場跡、相川と鶴子を結んだ西五十里道・鶴子道(以上全て国指定史跡)、重要文化的景観選定の相川の鉱山町の景観など
  • 西三川砂金山…世界的にも珍しい国内では唯一の埋没砂金鉱床、小佐渡山地に立地

なお、対象となるのは「16世紀後半から19世紀半ばまでの伝統的手工業による金鉱山遺跡群」すなわち江戸時代までに開発された鉱山関連史跡のみで、北沢浮遊選鉱場や大立竪坑、大間港などの明治時代以降に整備された近代化遺産は含まれない。また、相川にある江戸時代の佐渡奉行所など再現された建物も含まれず(遺構は対象)、これらは緩衝地帯に包括されている[4]

略史

1990年代に文化庁が文化財の新しい概念として産業遺産・近代化遺産を提唱し、1993年(平成5年)に文化財保護法重要文化財建造物カテゴリー)の種別として近代化遺産を新設。史跡においても産業遺産分野の積極的採用を決めた。こうしたことをうけ1994年に史跡「佐渡金銀山遺跡」として、佐渡奉行所跡、道遊の割戸、宗太夫坑(間歩)、南沢疎水、大安寺(境内の大久保長安逆修塔・河村彦左衛門供養塔)、御料局佐渡支庁跡が指定。

 
登録推進の幟(両津港にて)

2001年島根県石見銀山が暫定リストに掲載、2003年に産業遺産を定義し顕彰するための国際指針「ニジニータギル憲章」が制定されると、各地で産業遺産の世界遺産登録を目指す自発的動きが活発になり、佐渡においても官民学の間で可能性を問う意見が俎上。なお、1997年にはいち早く市民団体「世界文化遺産を考える会」が発足している(2007年に「佐渡を世界遺産にする会」に改称)。このような背景から、2006年に佐渡市と新潟県が世界遺産登録を目指す共同研究を立ち上げ、相川金銀山・西三川砂金山・鶴子銀山・新穂銀山の4つの金銀山を中核とした「佐渡金銀山遺跡」の仮称(史跡の名称をそのまま使用)で活動を開始した。この段階では金銀山がもたらした経済的恩恵により開花した多様な地域文化も視野に入れ、島内に点在する能舞台なども候補としていた[5]

翌年、文化庁が世界遺産候補地を公募したことをうけ、「金と銀の島、佐渡-鉱山とその文化-」として名乗りを上げ、その翌年の文化審議会世界文化遺産特別委員会(当時)の審査結果で、「登録基準(クライテリア)に『現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である』との条項があり、同一国内での類似案件の追従登録が認められにくいため、2007年に先行登録された石見銀山の拡大・統合を図るべき」とした。しかし、石見銀山との調整が難航。2010年の同委員会において「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群(The Sado Complex of Heritage Mines, Primarily Gold Mines)」として暫定リストへ単独記載することが了承され、同年10月にユネスコ世界遺産センターが受理[6]、11月22日に暫定リスト掲載[7]

暫定リスト掲載に伴い、能舞台など直接鉱山に関係ないものを除外し、構成資産候補を相川金銀山・西三川砂金山・鶴子銀山・新穂銀山と、吹上海岸石切場跡・片辺および鹿野浦海岸石切場跡・大間港(1892年(明治25年)完成)・戸地川第二発電所(1919年(大正8年)完成)の4か所を含む8件とした。

また、世界遺産に求められる「顕著な普遍的価値」(OUV)の位置づけを、「400年以上にわたる各時代の鉱山遺跡や鉱山町が良く残されており、金生産の発展の歴史を限られた範囲の中で見られる世界で唯一の場所である」「佐渡産出の金が長期間にわたり世界でも有数の平和な時代を存続した国(江戸幕府)の財政を支えてきた」「金生産について記した鉱山絵巻をはじめとする100点以上の豊富な記録の存在は世界的にも希少」とした。

暫定リスト掲載と前後して、2006年に「佐渡金山産業近代遺跡」(佐渡金山・大竪坑・大間港など)がヘリテージング100選に選出。

2007年、経済産業省近代化産業遺産として「近代技術による増産を達成し我が国近代化に貢献した佐渡、鯛生両鉱山の歩みを物語る近代化産業遺産群」(大立竪坑櫓・大立竪坑巻揚室・シックナー・インクライン・トラス橋・クレーン台座・道遊坑・高任坑・機械工場・高任破砕場・貯鉱舎・分析所・中尾変電所・間ノ山下アーチ橋・間ノ山上アーチ橋・間ノ山搗鉱場・旧北沢選鉱場・北沢浮遊選鉱場・北沢発電所・大間港倉庫・戸地川第二発電所・大間港護岸・旧ローダー橋脚・ローダー橋脚)が選出。

2008年文化芸術振興基本法に基づく文化庁の「歴史文化保存活用区域のための文化財総合的把握モデル事業」に選定。

2009年、吹上海岸石切場跡が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。

2011年、鶴子銀山が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。同年、「佐渡西三川の砂金山由来の農山村景観」が重要文化的景観に選定。

2012年、相川から約12キロ離れた片辺・鹿野浦海岸石切場跡と近代化施設(大間港・シックナー・北沢浮遊選鉱場・火力発電所・間ノ山搗鉱場・戸地川第二発電所・大立竪坑・貯鉱舎・道遊坑)が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。また、大立竪坑・貯鉱舎・道遊坑が「旧佐渡鉱山採鉱施設」として重要文化財に指定。

2013年、鉱山町を形成した上相川地区(上相川鉱山集落跡など)が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。

2014年、鉱山町を形成した寺院密集区域の上寺町地区が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。

2015年、相川から直線距離で約15キロ離れた西三川砂金山跡が「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。同年、「佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観」が重要文化的景観に選定。また、大間港が土木学会選奨土木遺産に選定。

 
大きな転機となった2015年のシンポジウム、於:東京
(幕間に上演された佐渡おけさ

文化財指定が整い機運が高まった中、2015年に開催されたシンポジウムにおいて国際産業遺産保存委員会(TICCIH)が「財政に関することは必ずしも世界的な影響とはいえない」と指摘[8]。そのため「江戸時代に鎖国という世界でも特異な状況下において、手工業による鉱山開発と貴金属生産を継続。そこで培われた技術や組織体制(管理体系・鉱山集落等)の継承が、明治の近代化産業革命による機械工業化を円滑かつ短期間で成し遂げた。佐渡は機械化以前と以降をまたいで長期間持続した鉱山で、金銀生産技術とそれに適応した組織の展開を示す物証が島という限られた範囲内で見ることができる世界的にも稀有(東アジアで唯一)な遺産である」と改めた(この時点では相川金銀山においては引き続き明治以降の機械化の足跡も候補に含んでいた)[9]

 
佐渡小判(レプリカ)
 
浮世絵に描かれた佐渡金山

その後、佐渡鋳造小判がオランダ銀行に保管されていることなどから、「採掘場と同じ場所で貨幣鋳造まで行うこと(金座の設置)は世界的にない形態で、交易によって海外へ流出し国際金融へも影響を与えた」という一節をさらに加えた[10]

顕著な普遍的価値が目まぐるしく変遷する中で、2016年より毎年推薦書原案を提出し正式推薦を望んできたが選に漏れてきたこともあり、海外を含む他の鉱山遺産との差別化を図るべく、佐渡の独自性(手工業)を明確に紹介できる相川金銀山・西三川砂金山・鶴子銀山の3件に構成資産候補を絞り込み(新穂銀山を除外)、吹上海岸石切場跡と片辺・鹿野浦海岸石切場跡を相川金銀山に包括し、明治以降の近代化遺産は対象から外すこととなった[4]

2020年に提出した推薦書原案で、名称を「佐渡島(さど)の金山」と短くし、戦国時代末から明治時代前半としてきた対象時期を江戸時代までに変更。相川金銀山とその発見のきっかけとなった鶴子銀山を一つの遺産として扱い、構成資産を相川鶴子金銀山と西三川砂金山の二つに集約した[11]。しかし、新型コロナウイルス感染症流行の影響により2022年審査候補地の選定を行わないとしたため[12]、2021年3月30日に2023年候補として改めて推薦書原案を提出した[13]

2021年6月1日、文化審議会を統括する萩生田光一文部科学大臣が佐渡を訪れ、世界遺産登録へ向けた取り組みを視察[14]

同10月、相川金銀山と鶴子銀山を一体化したことを正当化するための措置として、笠取峠を越え両鉱山を結んでいた西五十里道(にしいかりみち)・鶴子道を史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。戦国時代に開削された鶴子道は搬出港であった沢根まで続く道で、西五十里道はそれを相川まで延伸したもの。寛永5年(1628年)に山越えの急峻な鶴子道を避け、相川から中山峠を経由し真野湾沿いに小木に至る相川往還(真野~小木間は概ね現在の国道350号)が開通し、物流の流れが変わったことで廃れたが、そのため古道が良い状態で残されることになった。これは石見銀山において、石見銀山街道や港を構成資産に加えることで、採掘→精錬→運搬→搬出という産業としての一連の流れを表現したことが評価された点を意識したもの[15]

しかし、例年であれば世界遺産の国内候補を選定する文化審議会世界文化遺産部会は7月に行われるが、選定基準の見直しがあったため(「日本の世界遺産#今後の在り方について」参照)、2021年は8月以降に予定が変更されることになった[16]

11月15日に新潟県知事と佐渡市長らが文部科学省を訪ね、佐渡金山を世界遺産推薦候補に選定してもらうよう陳情した[17]

12月28日に開催された文化審議会世界文化遺産部会において「推薦候補として選定する」と答申(推薦の決定ではない)。この提言をうけ文化庁は「慎重に精査する」とし、「政府内で総合的な検討を行い正式に推薦するかを決める」とする前例がない対応となった。通常であれば世界遺産に限らず文化財指定全般に関して文化審議会の答申は専門家が価値を認めた判断とし、文化庁はそのまま受理・決定するが、今回は特殊な事例となった。なお、ここに至るまでの審議は非公開で行われてきた[18]。最短での登録審査を受けるためには2022年2月1日までにユネスコへ推薦書を提出しなければならず、当該地では新潟県市長会商工会議所など関係団体が相次いで速やかな推薦決定を求めた[19]

2022年1月31日、外務省による世界遺産条約関係省庁連絡会議[注 4]で推薦することを合意・確認し(世界遺産は国際法に基づく世界遺産条約によることから所管は外務省の国際法局になる)、政府の決裁を仰ぐため内閣官邸)へ提議[20]

2月1日、閣議が召集され推薦することが全閣僚により了承され[21]、ユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出した[2]。世界遺産推薦の国内手続きは、行政機関官庁)による行政事務としての世界遺産条約関係省庁連絡会議→最終的な政治判断となる閣議了解による決議→政府が外務省にユネスコへの推薦書提出を指示→外務省がユネスコへ英仏語版推薦書を提出(推薦書データを駐仏尾池厚之ユネスコ大使に送付し提出を指示)という流れで、定例閣議は毎週火・金曜日に開かれるが推薦書提出期限となる2月1日が火曜日であり、ユネスコがあるパリフランス時間中央ヨーロッパ時間)との時差が8時間あることから日本時間の2月1日中(実際にはユネスコの事務的受付締切がグリニッジ標準時17時ということで、日本時間2月2日午前2時まで)に対処すればギリギリで間に合う滑り込みの決断となった。

推薦に至るまでの顛末

2021年12月28日の文化審議会が推薦候補選定を発表した同日、推薦の決定ではない状態でありながら韓国外交部(外務省)報道官が「佐渡には朝鮮人強制労働歴史問題があり、直ちに撤回を促す」と会見[22]、堅種晧(キョン・ジョンホ)外交部公共文化外交局長が中條一夫在韓日本大使館広報文化院長を呼び抗議[23]、そのまま年末年始を跨ぐかたちで市民団体による抗議活動へと発展した[24]

すると、2022年1月20日に政府が推薦の見送りを検討しているとの報道があった[25]。これに対し岸田文雄首相は「政府として登録を実現することが何よりも大事で、そのために何が最も効果的なのかをしっかり検討していきたい」と述べ[26]安倍晋三元首相は「論戦を避ける形で推薦しないのは間違っている。ファクト(事実)ベースで反論していくことが大切だ」[27]自民党高市早苗政調会長も「日本国の名誉に関わる問題で推薦すべき」[28]とし、野党からも立憲民主党小川淳也政調会長が「歴史問題はきちんと向き合うべき課題だ」と前置きしたうえで「それとは区別して国際社会に認知してもらえるように推薦を決定するのが望ましい」とコメントする[29]など、国政を担う政治家の発言が相次ぎ政局化し、第208回国会衆議院予算委員会でも議題となり[30]林芳正外務大臣が「韓国に配慮しているわけではない」と火消する弁明の答弁を行った[31]日本共産党は「戦時中の朝鮮人強制労働の事実を認める必要がある」とした[32]

今回の韓国の動向の背景には「佐渡鉱山(注:昭和期民間経営時代に戦争物資の亜鉛を採掘)には徴用された朝鮮人労働者の歴史があり、世界遺産に相応しくない」という考えがある[33]。但し、韓国は首相所属の対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援委員会などが以前から同様の苦言を呈しており、今回突如として難癖をつけてきたわけではない[34]。ただ、韓国の動きに連動し、中華人民共和国も「隣国の苦難の記憶を無視して登録を進めようとしており、当然怒りや反対を招くことになる。責任ある態度で実際の行動で歴史問題を適切に処理すべきだ」と主張[35][36]、次いで北朝鮮も「過酷な労働に倒れた朝鮮人民に対する耐えがたい冒涜」「日本の名誉は過去の侵略や犯罪を誠実に反省し謝罪することにある」「佐渡島の金山は絶対に世界文化遺産になり得ない」として日本を批判した[37][38]。また、推薦完了後のことになるがロシア政府も「我々は韓国側の反応を理解する」「日本は第2次世界大戦期間中、日本の指導者たちが犯した犯罪行為を人類の記憶から消すために、韓国をはじめとした様々な国を相手に持続的な措置をとっているものとみている」として日本の対応を批判している[39][40][注 5]

加えてユネスコでは推進する各種遺産事業が政治対立の場になっており、世界の記憶(記憶遺産)において中国の「南京大虐殺文書」の登録に憤懣した日本政府が異議申し立てができる制度改革を主導し、関係国間での調整・結論が出るまで登録しない制度を導入した経緯があり、外務省内では、「今回は日本が逆の立場になり、韓国の反発がある中で推薦すれば国際社会の信用を失いかねない」との判断も働いたとされる[33]

韓国が推薦反対に固執する理由の一つとして、2022年3月に大統領選挙があり、反日感情を煽りジャパンバッシングを行うことで有権者へのアピールになるため与野党候補双方が争点に持ち出したことから国民の目が向き、メディアも取り上げたことにより国を挙げての反対キャンペーンに発展したとの見方がある[41]

なお、日本国政府は外交ルートを通じて2021年12月28日に韓国政府に対して申し入れを行い[42]小野日子外務報道官は「(第44回世界遺産委員会において)対立軸が生じるおそれがある推薦案件では当事者間の対話を促すよう運用ガイドラインが改正された」[43]と指摘して韓国側との事前調整の必要性を示唆[44]。元文化庁長官の近藤誠一は、「過去の政治的・経済的問題を思い起こす人がいるなら配慮しなくてはならない」と話す[45]

1月28日、首相が2023年登録審査対象として推薦する旨を表明し、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として含まれる軍艦島に対して韓国が懸念を顕わにした際に外交交渉に当たったのが第3次安倍内閣で外相だった岸田首相であることから、当時編成した省庁一体で取り組むタスクフォース(作業部会)いわゆる「歴史戦チーム」を発足させ、滝崎成樹内閣官房副長官補をリーダーに据えて理論武装することも明らかにした[46]。これに先立ち、政府は韓国よりも対中政策で同盟国である日韓関係が悪化することを望まないアメリカに対して配慮し、駐日アメリカ合衆国大使館レイモンド・グリーン主席公使に事前説明を行うなどの根回しを行った[47]

同日、崔鍾文(チェ・ジョンムン)外交部第2次官が相星孝一駐韓日本大使を外交部庁舎に呼んで抗議し[48]、登録阻止のため李相和(イ・サンファ)公共外交大使を団長とするタスクフォースを結成するとした[49]

日本の主張

韓国の主張に対する反論材料として、1950年(昭和30年)に編纂された『佐渡鉱山史』に日本人と朝鮮人の労働者共通で、①概ね同一の賃金で複数回の賞与も支払われていた、②無料の社宅や寮があり米・味噌・醤油が廉価販売された、③勤続三ヶ月以上で団体生命保険に加入できた、④運動会や映画鑑賞会などの娯楽機会の提供があった、と記述がある[50]

花角英世新潟県知事は「世界の記憶と世界遺産の審査は統一ルールではない」と反論[51]渡辺竜五佐渡市長は「たばこの配給台帳や市史などに記載があり、朝鮮半島出身の方が働いていたのは分かっているが、強制であったのかはなかなか把握しきれず、正式な答えを出せるほどの材料もない」と韓国の言い分に懸念を示し[52]、佐渡選出の佐藤久雄新潟県議は駐新潟韓国総領事館を訪ね「世界遺産に推薦する佐渡金山は江戸時代までに限定しており昭和の出来事は無関係」と説明した[24]

但し、日本国内でも新潟国際情報大学の広瀬貞三による調査研究で佐渡における朝鮮人労働の実態を明らかにしたという報告や[53]、市民団体強制動員真相究明ネットワークが「朝鮮人が強制動員されたという韓国の主張は事実で韓日合意抜きの遺産登録は不適切」とする主張もある[54]

余波

佐渡観光訪問の輸送の主体がフェリー航路によることから、佐渡金銀山の世界遺産登録は佐渡汽船の収益拡大への期待に結びついていたが、推薦見送りの可能性が報じられると株式市場では売りが殺到し、一時的に上場来安値(調整後)を更新した[55]

2022年中に新潟空港を拠点として運航を開始する予定で、2023年以降には佐渡空港を再開させて就航を計画しているトキエアだが、推薦見送りの可能性が報じられると一時的に機関投資家による投資話が滞った[56]

推薦後の動向

2022年2月22日にパリを訪問した韓国の鄭義溶外交部長(外相)がユネスコのオードレ・アズレ事務局長と会談し、佐渡の推薦に対し強い懸念がある旨を伝えた[57]

世論調査

2022年2月20日に発表された共同通信が日本全国10ブロックで行った世論調査によれば日本政府の「佐渡島の金山」の世界文化遺産への推薦決定について「適切だった」とする回答が73%に達した。特に地元の新潟県を含む甲信越で最も高く「適切だった」との回答が94%にも上った。年代別にみると「適切だった」と回答したのは40代以上の中・高年層が75%超と高く、30代以下の若年層は64.3%で若干低めだった。男女別でみると「適切だった」と答えたのは男性が78%と高めなのに対し、女性は68.1%と若干低めだった。支持政党別でみると、自民党支持層の78.5%、日本維新の会支持層の84.6%、国民民主党支持層の75.9%が「適切だった」と回答しており高めだった。他方日本共産党支持層は「適切だった」と答えたのは28%しかおらず、全政党で最も低かった[58]

今後の展望

推薦書提出を前に登録実現のための作業部会の初会合を開き、トップを務める滝崎成樹官房副長官補のほか外務省・文部科学省・内閣官房などの局長級ら8人が出席して省庁横断的に取り組むことを確認し、今後も必要に応じて随時開催する[59]

推薦は行われたが、2020年から世界遺産委員会での新規登録審査数が35件までと上限枠が設けられ、登録数の少ない国を優先するため推薦物件が多い場合には登録数が多い日本(2022年時点で日本の世界遺産は25件あり保有数で世界11位になった)からの推薦は、受付終了後の集計数によっては受理されない可能性もある。この集計は全ての推薦書を確認し、書類に不備があったものを棄却して減算するため多少の時間を要する。但し、文化遺産・自然遺産を問わず一国一件までしか受理されないものの、既存登録の拡張登録申請や複数国による共同申請のトランスバウンダリー(国境を越える世界遺産)は単独推薦物件とは区別されるため上限数の35からは除外される[60]

受理されると、同年夏から秋に諮問機関の国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の現地調査を受けることになるが、ここでは政治的背景は抜きに、学術的エビデンスを精査する。翌年(例年5月頃=委員会開催の6週間前まで)、その結果(勧告)が「記載(登録)」「情報照会」「記載延期」「不記載」の四段階で発表される。いずれの評価であっても世界遺産委員会での本審査を受けることは可能だが、不記載勧告からの逆転登録は極めて困難で、委員会で不記載決議が下されると再推薦は不可能となる。また、勧告とは別に中間報告が発せられ、名称の変更や構成資産そして基本的コンセプトの見直しが指導される可能性もある(本記事のページ名が暫定となっているのはそのためで、登録が実現した場合に正式名称に改変する)。

最終的な登録審査の可否は世界遺産委員会の21の委員国による全会一致コンセンサスが原則で、委員国だけに意思表示の権利があり(推薦国にも意見陳述の機会は与えられる)、異議申し立てがあった場合には多数決で⅔(14ヶ国)以上の賛同が必要で、日本は2021年11月~2025年秋まで委員国を務めるが、2023年秋の委員国改編で韓国が立候補する可能性が高く、2024年以降に審査を受けることになると韓国が委員国になっていた場合には反対することが予想される。さらに、その後の2027年~2031年には中国も委員国に就くと目されており、2023年の世界遺産委員会で登録を逃すと、以後は反対姿勢をとる委員国によって阻害される可能性もある[61]。委員会では舞台裏で登録のためのロビー活動がしばしば繰り広げられ、これまで日本も外交交渉を展開してきた経緯がある[62]

顕著な普遍的価値と登録基準

「顕著な普遍的価値」(OUV)を、以下の登録基準(クライテリア)に充てている。

(ⅱ)中世末から近代に至る我が国の金銀生産を牽引し、各時代で国内外の最新技術を採り入れ生産システムを発展させ、それは国内各地の鉱山へも伝播し、明治以降は東アジアでも貢献し、世界的な交流過程を顕著に示している

(ⅲ)現在でも数多く残されている記念工作物や遺跡、景観は我が国の貴金属鉱山の歴史と構造の全てを典型的に示す物証として稀有な存在である

(ⅴ)生産活動に伴って形成された都市・集落・街道・農地・森林・海域などの資産は、その後の島民の生活基盤として優れた土地利用形態を示し、豊かな自然と相俟って独特の文化的空間を形成している

(ⅵ)鉱山の繁栄に伴い島外各地からもたらされた様々な文化は在来の文化と融合し、島という地理的特性の中で独特の多様な島嶼文化をつくり上げた。特に鉱山の繁栄を願う信仰形態は佐渡でしか見られないものである

法的保護根拠

世界遺産の推薦に際しては完全性として、開発による環境破壊文化的環境含む)を規制し、損壊した際に刑法建造物等損壊罪等とは別に罰則が科せられる法律による保護の担保が必要となる。

佐渡の鉱山遺跡群は「佐渡金銀山遺跡」の名称で文化財保護法の史跡に指定されており、「佐渡西三川の砂金山由来の農山村景観」と「佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観」が重要文化的景観に選定されている。

これとは別に、2004年に旧相川町が合併により佐渡市となったことから市街地に都市計画法が適用できるようになり、2020年には相川地区が地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)の歴史的風致維持向上地区に認定されている[63]

さらに鉱山の山自体が地すべり等防止法土砂災害防止法急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の対象となっており、必要に応じて斜面崩壊に伴う遺産被災を防止する措置が講じられる。

吹上海岸石切場跡と片辺・鹿野浦海岸石切場跡は海岸法が、西三川の棚田は棚田地域振興法が適用。

2021年2月4日に開催された文化審議会世界文化遺産部会において、新たな世界遺産候補には自然面での保護根拠にユネスコが推進するエコパークジオパークを充てる試みなどを決めており[64]、相川金山の金鉱床(鉱脈)が佐渡ジオパークとして日本ジオパークに認定されている(世界ジオパークではない)。

なお、経産省による近代化産業遺産は法律に基づくものではないため、保護根拠にはならない(そもそも近代化遺産は佐渡においては世界遺産候補の対象ではない)。

鉱山開発の副産物

 
砂金採りの流し場を転用した井ノ上沢の棚田(西三川)

2011年、佐渡における伝統的な農業持続可能な農業)がユネスコも協賛する国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に日本では初めて「トキと共生する佐渡の里山」として認定された。

佐渡における稲作は長らく国中平野以外では沿岸部に開けたわずかばかりの平地で営まれてきたが、鉱山開発が進むと掘削のための開墾地が山の斜面に増え、その湧水農業用水に利用することで棚田が形成された。鉱山湧水は地下水であるため水温が安定しており、ミネラルを豊富に含んでいるため、耕作に有効となっている。田畑を潰して工場を建てるような一次産業から二次産業への転換は珍しいことではないが、二次産業から一次産業への自然回帰的な事象は海外からも注目されている。

重要文化的景観「西三川の砂金山由来の農山村景観」では、砂金を採るための沢流し(川浚い、西三川では大流しと呼んだ)段水路を棚田に改変した[注 6]。現在ではそこで収穫されるコシヒカリ)を金山米としてブランド化し、それを原料とした日本酒米焼酎も金山銘柄で売り出している。

また、鉱山の土を用いた無名異焼などもある。

由来があるとする言葉

諸説あるが、佐渡金山が発祥だとする言葉があるとされる。以下はいずれもボランティアガイドの解説による。

  • 賃金:労働報酬が島内でしか使うことができない「印銀」という専用貨幣で支払われ、これが「賃銀」と置き換わり、後に賃金になったとする。
  • 猫ばば:一般には「猫糞」と書き、に砂をかけ隠す行為から転じて、悪事を隠すことを表すが、相川では金鉱石を選別する際に水流を利用することを「猫流し」と呼び[注 7]、その作業は女性によるもので横領を監視したのが熟練工の年配者で「猫婆」と呼んでいたことが語源であるとする。

民話・逸話

文化審議会世界文化遺産部会は新たな推薦候補には、関連する無形の要素やストーリー性が伴う必要性を示した[65]

  • 三年寝太郎』…主人公が佐渡金山で新品の草鞋を無償で使い古した草鞋と交換し、底に付いた泥の中から砂金を回収し財を成す。
  • 二ツ岩の団三郎狸』…相川に棲んでいたと伝わる化け狸。鉱夫に化けて金山で働いたという伝承がある。金精錬時に風を送るを、「狸の金玉 八畳敷き」と形容される陰嚢で代用したという下ネタもある。ジブリアニメ平成狸合戦ぽんぽこ』にも名前が登場する。なお、佐渡にはが生息しないため稲荷信仰が定着せず、が信仰の対象となった。
  • 『与右エ門むかで』…困難とされた南沢疎水掘削のため与右エ門が単身坑道に入り、数日で貫通したので鉱夫が中へ入ると、ムカデになって穴を掘った与右エ門がいた。単なる昔話ではなく、『怪談藻塩草』に「霊山寺に大百足出でし事」として収録されている。工事を指揮した静野与右エ門がモデルで、相川町の百足山に神社が建立され祀られており、重要文化的景観の構成要素にもなっている。ムカデは岩盤の中にある鉱床の筋目模様に似ていること、後ずさりしないことから掘り進める不退転の心意気の証として鉱夫にとっては縁起が良いものであった[66]
  • アルキメディアン・スクリューアルキメデスが考案したとする螺旋状スクリューによる排水設備。『佐渡年代記』によると1653年承応2年)に水学宗甫というカラクリ技師が佐渡金山に伝え、水上輪の名称で実際に稼働していた。手回し動力で、その作業(水替人足)には島流しとなった罪人やキリシタンが負わされた時期もあった[67]
  • 佐渡小木地震1802年享和2年)に小木で発生した地震だが、相川金山では地震の数日前から坑道内で地鳴りや湧水量・水温の変化といった宏観異常現象に気づき、退避していたことで落盤は発生したが犠牲者は出さずに済んだ[67]

産業観光

 
人形を置き観光整備した佐渡金山(宗太夫坑)

ユネスコは世界遺産の価値や意義を広く知ってもらうことで保全の意識と機運が高まることを期待して観光資源としての遺産の商品化を容認している。特に産業遺産に関しては理解しにくいことから、産業観光を推奨している。ただ、産業遺産の中には現在も操業する稼働遺産も含まれていることから、観光開放が難しい側面もある。

世界遺産に限らず鉱山に関係する施設が観光開放している事例は多くはなく、産業革命発祥地のイギリスでもリビングヘリテージとして注目を集めるようになったのは1980年代の後半になってからのこととなる。

そうした中で佐渡金山はまだ操業稼働していた1967年(昭和42年)に江戸時代の坑道部分の観光開放を実施し、多くの観光客を誘致して鉱業史や技術史などを広く啓蒙してきた。これは世界に先駆けるもので、ユネスコもヘリテージツーリズムの見本として評価している[68]

また、ユネスコは遺産と創造性として、遺産の新たな魅力の発信による持続可能性(維持)を提唱しており、鉱夫の間で語り継がれてきた”金光石”の妖怪伝説を妖精と魔物の現代風なファンタジーに演出した複合現実(MR)で実際に佐渡金山の坑道を歩く「アイランド・ミラージュ」が始まった[69]

経済効果

新型コロナウイルス感染症の影響は、佐渡への観光客の減少を招いた。逼迫する地域経済の立て直しとして、世界遺産登録が有効策と期待され、日本政策投資銀行日本経済研究所が共同研究で、その経済波及効果が約520億円になるという試算を明らかにし、佐渡市への税収効果は7億9,600万円になると想定した[70]

保全費用

日本政策投資銀行は佐渡の世界遺産登録後を見据え、地域資源の保全や観光施設の整備費を賄うため「入島税」の導入も検討すべきだとした[71]

課題

上掲「経緯」の節でも触れているが、既登録地である石見銀山の違いの立証や差別化を図らねばならないことが最優先項目となっている。

石見銀山との差別化を図るべく試行錯誤が続き、ヨーロッパにおいて今なお教会などキリスト教関連施設の登録が相次いでいる理由として地域多様性による細分化が上げられることから(教会の登録が多いことをCathedral Syndrome=聖堂症候群と揶揄する)、佐渡という離島の独自性を模索したが、佐渡金銀山の開発に際しては大久保長安が甲州湯之奥金山など)や岡崎石屋町)そして石見銀山から鉱夫や石工を寄せ集めたことで(姫津地区には末裔の石見姓住民がいる)、技術史産業考古学)的に独自性がないとされ、佐渡小判が国際金融に影響した根拠が乏しいという指摘もある[注 8]

 
崩壊が始まった道遊の割戸
 
『佐渡国金山之図』(複製)

2019年(令和元年)5月19日、重要文化的景観選定地である西三川の笹川集落で火災があり、農村景観を形成する家屋・納屋7軒が焼失した。文化庁は「文化財としての価値に影響はない」とし、地元の笹川の景観を守る会も「(金山に関係する)特別な施設に被害はなく、世界遺産登録への影響はないと思う」とした[72]。しかしながら、相川金銀山では道遊の割戸の一部崩落が始まり、坑道でもコンクリートを用いた補修が行われているが、これは真正性英語版を問われることになる。西三川砂金山では砂金を採掘した遺跡が草木に埋没し、鉱山経営を担った金子勘三郎家の建物も腐朽が進み、鶴子銀山は遺構の多くが山間に埋没して見学しづらい状態になるなど、保存の在り方にも問題が浮上している[73]

世界遺産は不動産有形財構築物が対象で、動産である文献資料は世界遺産になり得ないが、その価値を裏付ける物証としての意味がある。しかし、坑道内の採掘作業の様子を描いた『佐渡国金山之図』は国立科学博物館が、『金銀山敷内稼仕方之図』は国立公文書館が、『金銀山敷岡稼方図』は新潟県立歴史博物館九州大学総合研究博物館が所蔵するなどし、唯一『金銀山絵巻』のみが地元の相川郷土博物館に残されているだけで、ユネスコが推奨する関連資料の場域留置英語版がなされていない。

西三川砂金山は1872年(明治5年)に、鶴子銀山は1946年(昭和21年)に閉山したが、相川金山は1989年(平成元年)に休山扱いとなり、現在でも佐渡鉱山株式会社が鉱業権(採掘権)を所有しており(施設管理は株式会社ゴールデン佐渡)、鉱業抵当法による土地や施設の権利もあって、操業を再開することも可能なため、遺産保護の観点から再掘しない旨の確約(鉱業権の放棄・返上)を得る必要があり、鉱山保安法では落盤が誘発する陥没・地盤沈下やそれに伴う土砂災害を避けるため廃坑は埋め戻すよう奨励していることから、場合によっては一部埋め戻さざるを得なくなる可能性もある。

また、石見銀山では今なお自然流出する鉱毒による環境汚染(主として水質生態系への影響)の環境アセスメントも遺産影響評価(HIA)として報告するよう求めており[74]、相川金山では操業停止後も流れ出る水が酸性のため直接海へ注ぐと海洋汚染になることから、南沢疎水を用いて現在でもph調整してから排水しており、金属鉱業等鉱害対策特別措置法により廃坑の埋め戻しが求められる可能性もある。

さらに、ユネスコは第44回世界遺産委員会において、気候変動による自然災害が世界遺産に及ぼす影響を新規推薦に際して遺産影響評価(HIA)として被害想定シミュレーションと対策案を盛り込むことを義務付け、対応が求められる[75]。日本の場合は地震に対する警戒が必要で、2013年に「武家の古都・鎌倉」に対して不登録勧告が出された際、「海に面した鎌倉では、地震と津波それに台風などのリスクが資産に対する主たる脅威であると考える」という指摘がなされた[76]。佐渡は地質学的に比較的安定しているとされ、島内で活断層は確認されていないが、新潟-神戸歪集中帯に属しており、過去には佐渡小木地震や佐渡沖地震が発生し、津波に襲われた記録も残り、日本海での海底地震による津波にも注意を払わなければならない。相川鉱山町の上町・下町界隈は外海府海岸に面した実質海抜ゼロメートル地帯に等しい。鉱山町は古民家が集まる木造住宅密集地域で、火災が起これば延焼し、地震やスーパー台風が直撃すれば軒並み倒壊する恐れも孕んでおり、豪雪地帯対策特別措置法に基づく豪雪地帯でもあり令和3年豪雪では家屋が圧潰するなどの被害も生じている[77]

相川鉱山のイメージの一翼を担う近代化遺産が世界遺産候補から除外されたことで、それを対象とするヘリテージング愛好家廃墟ファンの期待と関心が薄れてしまったことで、観光訪問の客足が鈍ることも懸念される[78]

観光対策

 
坑道内鉱夫のイラストでソーシャルディスタンスを呼びかける佐渡金山

世界遺産登録に伴い大挙押し寄せる観光客による観光公害環境負荷)が世界遺産に与える影響を鑑み、ユネスコは推薦段階から具体的な対策案を示すことを求めるようになった。加えて新型コロナウイルスの流行により、世界遺産でのクラスター発生防止目的からも混雑緩和を命題とした。佐渡は離島という立地のため、訪問するには本土からの航路に限られることからコントロールは可能であるとする。但し、来訪者への環境維持への協力を呼びかける必要はあり、ウィズコロナ下でのレジリエント・ツーリズム、コロナ終息後(アフターコロナ)の訪日外国人旅行者によるインバウンド需要を見据えた多言語対応の準備が重視される[79]

西三川においては設置した案内板がグッドデザイン賞を受賞している[80]

アクセシビリティ

障害者高齢者の権利を擁護するユネスコは、世界遺産観光に際してのアクセシビリティを注視している。佐渡金山においてはトロッコ軌道が走っていたことから平坦で空間にゆとりがある道遊坑への車椅子での進入が可能だが、近代に掘削整備された道遊坑は世界遺産構成資産候補には含まれない。一方、江戸時代の宗太夫坑は勾配があり狭く、足元が濡れているため車椅子での見学ができない状態。鶴子銀山や西三川砂金山は舗装された遊歩道が未整備である[81]。但し、文化財である西五十里道・鶴子道のような山道や個人所有の西三川の棚田畦道を舗装することは現実的ではない。

持続可能性

2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に対するICOMOSによる登録勧告において、離島における構成資産となる集落景観保持に関し人口減少の懸案が示唆されたが[82]、これは佐渡でも指摘される可能性がある。2012年に開催された「世界遺産条約採択40周年記念-世界遺産と持続可能な開発:地域社会の役割」(京都ビジョン)で世界遺産存続のためコミュニティの存在の重要性が確認され[83]、世界遺産を維持するためには地域コミュニティの持続可能性が必要であるとされることから、消滅可能性自治体に名を連ねる佐渡にとっては深刻な課題となる。

こうした事態を鑑み、市民団体の相川車座が空き家の増えた相川地区で一軒貸しの民泊カフェなどへのアダプティブユースを推進し、一過性の観光ブームで終わらないようコト消費としてかつて大勢いた金細工職人を体験するワークショップなども計画している[84]

その他の意見

佐渡金銀山に関しては韓国による反対姿勢(上記「推薦に至るまでの顛末」の節参照)以外の見解もある。

江戸初期にはキリシタンを配流して採掘にあたらせた経緯なども踏まえ、ジャーナリスト立岩陽一郎は「歴史には必ず負の側面もあるのだから、負の世界遺産だという認識で推薦すればいい」とし[85]、学術的にも「明治日本の産業革命遺産」との比較研究で「類似したもの(佐渡の明治以降の近代化施設)を後から推薦しても意味がない」「世界遺産に推薦するのであれば、道遊の割戸のように人力で地形・景観を改変したような“人間の飽くなき欲望”といった負の側面を前面に押し出すくらいの覚悟が必要」との見方もある[86]

文化審議会は佐渡の学術的価値を認め「推薦すべき物件」としたが、2017年に開催された2019年登録審査候補を決める際には「(複数候補のいずれも環境整備や推薦書が完全ではなく)候補なし」という意見が出るなど冷静な判断を下しながら、政治的要望もあり最終的に「百舌鳥・古市古墳群」を選出した経緯がある[87]。世界遺産は観光立国・地域振興のための国策となり、それを求める国民の声もあるため、価値や評価が分かれるものであっても政治的に候補を選出せざるを得ない場合があるともされる。今回の文化審議会の判断は韓国の反発を予め想定したもので、専門家の意見を政治が無視したともとれるが、審議会委員[88]は在任中は非常勤とはいえ公務員特別職に準じた嘱託身分であり、政府判断に丸投げした文化庁の姿勢ともども国益を考えていない責任逃れであるとの批判もある。ただ、一時的なことだったにせよ推薦見送りという状況は日本側の準備不足や学術的価値の国際的な評価を再確認し、より精度を高めるための猶予が与えられたと思うべきだったとの考え方もある[89]

新潟県出身選出の元衆議院議員金子恵美は、「推薦見送りの報道は外務省がリークしたもので、公僕として国益を考えない事なかれ主義だ」と糾弾した[90]

なお、韓国でも佐渡の推薦に際して強制連行の話しを持ち出すことは間違えであるとする意見もある[91]

2022年2月21日のニューヨーク・タイムズは、「世界遺産に推薦しながら時期を江戸時代に限定するのは日本の文化的遺産に害を及ぼす」との論調と、「歴史の全体を語ってこそ該当国家の歴史を尊重すると言うことができる」という日本鉱山史を研究するオーストラリアメルボルン大学のデビット・パーマー教授の意見を掲載した[92][注 9]

鉱山遺産の現況

鉱山関連の世界遺産登録が近年相次いでいるが、その評価はユネスコや諮問機関でも意見が分かれている。

2019年に登録されたインドネシアの「サワルントのオンビリン炭鉱遺産」では、「単にヨーロッパの技術を導入しただけでなく、地域技術との融合がみられ、採掘・加工から輸送段階における効率化のための設計が最初から完成されていたものである」と評価しており、単なる最新技術の導入だけでは評価されないことを示唆しており、これは「明治日本の産業革命遺産」でも同様の評価対象となっている。このことから佐渡においても構成資産から除外された明治以降の近代化・機械化の足跡の可能性を示唆する意見もある。

2021年に登録されたルーマニアの「ロシア・モンタナの鉱山景観」は現在も操業が継続中のため、安全管理上見学できるのは採掘が停止した古い極一部の範囲のみで、シアン化物汚染の問題があり地域住民は投資紛争解決国際センターに提訴し係争中であり、登録と同時に危機遺産にも指定されたことから、鉱山関係の登録は慎重に扱うべきとの意見が多発した(第44回世界遺産委員会#危機遺産への新規掲載参照)。

ガイダンス施設

 
きらりうむ佐渡

世界遺産条約では第5条で「文化遺産及び自然遺産の保護・保存及び整備の分野における全国的または地域的な研修センターの設置」という条文があり、世界遺産近くにガイダンス施設・ビジターセンターを設置することを求め、新規推薦物件では推薦書にガイダンス施設の計画も盛り込まなければならないため、2019年(平成31年)4月20日に「きらりうむ佐渡」(Sado Gold and Silver Mine Information Facility “Kirariumu Sado”)がオープンした。

佐渡市相川三町目浜町18-1(旧佐渡会館跡地)

鉄骨造平屋建て(屋内壁および天井は佐渡産杉材使用)、延べ床面積1,093平方メートル(敷地面積3,075平方メートル)、建物高(最高値)5.78メートル。設計:プレック研究所、施工:近藤組。総事業費約9億3千万円。中庭を挟み、エントランスホールから二股のコの字に分かれた構造で、片側が展示施設で、もう一方は事務室・資料室と講堂になっている。正面外観のガラス張りエントランス左右は、相川鉱山町の京町・上町・下町などの木造家屋街並み保存地区を意識して景観配慮している。バリアフリー対応。

館内撮影禁止。レンタサイクルの貸し出しあり。近隣に無料の駐車場あり。

開館時間/8:30~17:00、休館日/12/29~1/3、展示室観覧料/大人300円・小中学生150円、交通/新潟交通佐渡路線バス 本線1系統(両津港~佐渡金山)などで「きらりうむ佐渡」停留所下車すぐ

相川郷土博物館

御料局佐渡支庁の建物を利用した相川郷土博物館では、鉱山鉱物・岩石の標本や相川地区の美術品・民俗資料・古写真、出土した土器などの考古資料など、多岐にわたる展示物を収蔵しているが、きらりうむ佐渡のオープンに伴い閉館が計画された。しかし、佐渡市教育委員会が展示内容の見直しを図り、鉱山運営の歴史や相川地区の暮らしを伝える資料などに焦点を当て、世界遺産登録を視野に金銀山を前面に打ち出した展示を目指すこととなった[93]

探訪時の注意事項

  • 相川は観光整備されているが、鉱山町の京町・上町・下町は路地が狭く駐車場がないので、レンタカーやタクシーで乗り入れての観光は困難。基本的には個人宅なので営業店舗以外への無断侵入は慎まなければならない(住居侵入罪になる)。また、鉱山地区の立入禁止区域には地下水観測などのため開口部を蓋していない垂直竪坑があり、下草に覆われ見えにくい箇所もあるので不用意に立ち入らない。
  • 鶴子銀山へは公共交通機関がなく(数台分の駐車場あり)、春~秋の訪問の際には蛇や蜂との遭遇(佐渡に熊はいない)に、冬は積雪による滑落・遭難の注意が必要(実際に被害や事故が発生している)。また山の一部は佐渡鉱山株式会社の所有地で立入禁止となっている。現地にトイレはない。
  • 西三川へも公共交通機関がなく、佐渡西三川ゴールドパークからさらに5キロ程山間部へ分け入るが途中すれ違いができない隘路が続く。地区内に駐車場はなく(大山祇神社脇に空き地があるが長時間の駐車は自粛が求められる)、路肩駐車は農作業等の地域住民往来の支障になる(「無断駐車は通報します」の貼り紙掲示あり)。集落内では個人宅のため立入禁止措置をとる家も多い。耕作期の田圃への進入も控える(一部に電気柵があり危険)。現地にトイレはない。

脚注

注釈

  1. ^ 江戸時代の佐渡奉行所の勘定記録に記されたの数値を変換。明治以降は官営佐渡鉱山および三菱合資会社三菱鉱業の記録を合算。
  2. ^ 同時期の長崎でも約2万人、平成27年時点で相川の人口は7千人弱
  3. ^ 宗太夫坑の総延長は約2キロあり、最大深度は500メートル(坑口付近の標高は200メートル)。この内、約280メートルを観光用見学路として整備開放しているが、最深部は落盤や水没により埋もれている。
  4. ^ 世界遺産に関係する法令を掌握する文化庁・環境省・林野庁・水産庁・国土交通省・宮内庁・内閣官房・経済産業省で構成。
  5. ^ 東アジアにおける戦時下日本の行為に無関係なロシアの発言は、ウクライナ危機に関して日本が欧米と足並みを揃える姿勢を示したことに対しての意趣返しとみられる。
  6. ^ 類似するものとして、島根県奥出雲町の重要文化的景観「奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観」、日本農業遺産 「たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業」が、砂鉄採取と製鉄(精錬)工程で必要となる流水路を転用して棚田に作り変えた事例がある。
  7. ^ 坑道のような狭く猫しか通り抜けられないような空間を「猫道」「猫足場」と呼び、そこにを通して水を流したことに起源があるとされる。
  8. ^ 国際金融への影響は、石見銀山が世界遺産に登録された際に輸出した銀が当時の世界流通量の三分の一を占めたことが評価されたことを意識したものだが、これは大内氏の交易時の支払い記録や李氏朝鮮の『中宗実録』、の『籌海図編』などによる受取の総量が、記録に残る同時代の各国の銀山の産出量や銀本位制のヨーロッパでの取引記録の総額などから算出されたものだが、佐渡産出の金銀に関しては幕府による出島でのオランダとに対する支払い記録のみで、ヨーロッパにおいても同時代の金市場の取引総額を示す資料がないことから不確定なものとなる。
  9. ^ 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産では「鎖国という世界でも珍しい状況下で信仰を継承したことに特化すべき」との指摘をうけ、明治以後に建てられた教会堂建築物を除外した経緯があり、佐渡もこれを参考に「鎖国下でも独自に発展した技術」に集約した。

出典

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関連項目

関連出版物

  • 西村幸夫、松浦晃一郎、五十嵐敬喜、岩槻邦男、萩原三雄『甦る鉱山都市の記憶:佐渡金山を世界遺産に』ブックエンド、2014年、142ページ頁。ISBN 978-4907083175 
  • 佐渡市教育委員会『黄金の島を歩く』新潟日報事業社、2008年、159ページ頁。ISBN 978-4861322808 
  • 田中志津『佐渡金山』KADOKAWA、2020年、280ページ頁。ISBN 978-4048843492 

外部リンク

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