2023年大阪市長選挙(2023ねんおおさかしちょうせんきょ)は、2023年令和5年)4月の第20回統一地方選挙で投開票が行われた大阪市長を選出する選挙である。

2023年大阪市長選挙

2019年 ←
2023年4月9日 (2023-04-09)
→ 2027年

投票率 48.33%
 
候補者 横山英幸 北野妙子 山崎敏彦
政党 大阪維新の会 無所属 無所属
得票数 655,802 268,227 45,369
得票率 64.6% 26.4% 4.5%

 
候補者 荒巻靖彦 ネペンサ
(安達真)
政党 無所属 無所属
得票数 30,960 15,408
得票率 3.0% 1.5%

選挙前市長

松井一郎
大阪維新の会

選出市長

横山英幸
大阪維新の会

選挙データ

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現職の松井一郎の任期満了(期日:2023年4月8日)に伴い執行された。現職の松井は2020年10月の大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票が反対多数で否決された事に伴い任期満了での退任ならびに政界引退の意向を示したため新人同士の選挙戦となった。

告示日・執行日

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  • 告示日:2023年(令和5年)3月26日
  • 執行日:2023年(令和5年)4月9日

同日選挙

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4つの同日選挙になる。

立候補者

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※5名、立候補届け出順。

氏名 年齢 党派 現元新 職業・肩書
横山英幸
(よこやま ひでゆき)
41 大阪維新の会 大阪府議会議員
大阪維新の会幹事長
元大阪府職員
北野妙子
(きたの たえこ)
63 無所属 大阪市会議員
自民党大阪市会議員団元幹事長
荒巻靖彦
(あらまき やすひこ)
58 無所属 飲食店経営
ネペンサ[注 1]
(ねぺんさ)
48 無所属 作家
山崎敏彦
(やまざき としひこ)
44 無所属 理学療法士

立候補が取り沙汰された人物

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大阪維新の会の候補者

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いずれも大阪維新の会の市長候補予備選挙に立候補したが落選(藤田・本田・松浪は1次選考、岡崎は最終選考で落選[1])。

  • 藤田暁 - 大阪市会議員(港区選出)
  • 本田リエ - 大阪市会議員(城東区選出)
  • 岡崎太 - 大阪市会議員(東成区選出)
  • 松浪健太 - 大阪府議会議員(高槻市・三島郡選出)、元衆議院議員
    • 落選した4人のうち、藤田・本田・岡崎は同日選挙となった大阪市議会議員選挙に大阪維新の会公認で立候補し当選。松浪は統一地方選挙の後半日程で行われた高槻市長選挙に大阪維新の会公認で立候補したが落選。

その他の候補者

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  • 山川義保 - 市民団体幹部
    • 2023年1月8日、立候補を検討していると報じられたが[2]、2月15日に会見で立候補取りやめを表明[3]。市長選と同時に行われた大阪府議会議員選挙に大阪市城東区選挙区から立候補したが次点で落選(得票率17.7%)。

タイムライン

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2022年
2023年
  • 2月5日 - 政治団体「アップデートおおさか」が大阪市会議員で自由民主党大阪市会議員団前幹事長の北野妙子を擁立する方針であることが報じられた[6]。また幅広い支持を得るために北野は自民党を離党し、無所属で立候補する方向で調整していると報じられた[7]。同月8日に正式に立候補を表明[8]
  • 2月9日、自民党大阪府連が北野の自主支援を決定[9]
  • 2月15日、立憲民主党大阪府連が北野を自主支援すると発表[10]
  • 2月21日 - 山崎敏彦が会見で立候補を表明[11]
  • 2月26日、北野が自民党に離党届を提出し、同日受理された[12]
  • 2月27日 - 荒巻靖彦が会見で立候補を表明[13]
  • 3月7日 - ネペンサ(安達真)が会見で立候補を表明[14]

選挙結果

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維新新人の横山が対立候補の北野をダブルスコアの大差で下し、初当選した。

争点の一つとなったIRの誘致を巡っては、中盤情勢の電話調査では読売新聞の調査は府内で賛成38%・反対44%、候補地の大阪市内に限れば賛成39%・反対44%[15]朝日新聞の調査では府内で賛成37%・反対47%、市内で賛成37%・反対43%[16]毎日新聞日本経済新聞など5社の共同調査では賛成45%・反対38%となった一方、無党派層に限れば賛成27%・反対47%と賛否が逆転した[17]。当日の出口調査ではNHKの調査では府内で賛成35%・反対38%、市内で賛成38%・反対36%[18]、読売の調査では府内で賛成57%・反対41%、市内で賛成53%・反対43%[19]、朝日の調査では府内で賛成53%・反対45%、市内で賛成55%・反対43%[20]、毎日の調査で賛成53%・反対45%となるなど[21]、報道機関によってばらつきはあるものの、電話調査結果と比較して、当日投票に行った有権者の方がIR賛成の割合が増える結果となった。IRに反対する層は5割が北野に投票したが、3割強から4割は横山に投票しており、北野はIR反対票を固めきれなかった[20][19]

支持政党別では、横山は維新支持層の9割台半ば、自民支持層の3割台半ば、公明党支持層の3割台後半、立憲・共産支持層の1割、無党派層の4割台後半から支持を得た[18]。北野は自民支持層の5割あまり、公明党支持層の4割台後半、立憲・共産支持層の7割、無党派層の3割台後半から支持を得た[18]。自民側は北野を離党させることで政党色を消して無党派の支持を得て、自民支持層も一定固める戦略を描いていたが、自民党の元国会議員らが選挙活動を支えるなど政党色を払拭しきれず、また同日の府知事選に「アップデートおおさか」が擁立した谷口真由美が過去に自民党政権批判を繰り返していたことに一部の自民府議らが反発。自民内でアップデートを敬遠する動きが出て、一緒に行動する北野にも影響したため、自民支持層の得票も無党派層の得票も中途半端に終わり、過去のダブル選での非維新の市長候補の得票をも大きく下回る結果に終わった[22]

※当日有権者数:2,214,966人 最終投票率:48.33%(前回比:−4.37pts)

候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率推薦・支持
横山英幸41大阪維新の会655,802票64.6%
北野妙子63無所属268,227票26.4%
山崎敏彦44無所属45,369票4.5%
荒巻靖彦58無所属30,960票3.0%
ネペンサ48無所属15,408票1.5%
区別開票結果[23]
横山英幸 北野妙子 山崎敏彦 荒巻靖彦 ネペンサ
得票 % 得票 % 得票 % 得票 % 得票 %
合計 655,802 64.56% 268,227 26.41% 45,369 4.47% 30,960 3.05% 15,408 1.52%
都島区 34,795 68.13% 11,210 21.95% 2,515 4.92% 1,730 3.39% 821 1.61%
福島区 28,607 65.91% 10,485 24.16% 2,097 4.83% 1,632 3.76% 583 1.34%
此花区 20,303 68.63% 6,783 22.93% 1,335 4.51% 783 2.65% 380 1.28%
西区 16,057 65.32% 6,557 26.67% 925 3.76% 639 2.60% 404 1.64%
港区 23,849 65.32% 9,393 25.73% 1,356 3.71% 1,396 3.82% 518 1.42%
大正区 23,622 67.06% 8,653 24.56% 1,251 3.55% 1,198 3.40% 501 1.42%
天王寺区 19,422 63.02% 8,732 28.33% 1,338 4.34% 852 2.76% 474 1.54%
浪速区 15,697 64.78% 6,336 26.15% 986 4.07% 820 3.38% 394 1.63%
西淀川区 20,073 65.32% 8,134 26.47% 1,030 3.35% 1,064 3.46% 430 1.40%
東淀川区 10,889 63.33% 4,593 26.71% 768 4.47% 662 3.85% 281 1.63%
東成区 22,661 62.67% 10,189 28.18% 1,385 3.83% 1,328 3.67% 596 1.65%
生野区 41,715 62.85% 20,109 30.30% 1,986 2.99% 1,678 2.53% 884 1.33%
旭区 39,868 65.57% 15,792 25.97% 2,450 4.03% 1,767 2.91% 923 1.52%
城東区 20,702 64.59% 8,130 25.37% 1,773 5.53% 914 2.85% 532 1.66%
阿倍野区 23,517 62.04% 10,508 27.72% 1,866 4.92% 1,370 3.61% 643 1.70%
住吉区 22,734 60.41% 10,444 27.75% 2,794 7.42% 1,102 2.93% 559 1.49%
東住吉区 46,115 65.65% 16,942 24.12% 4,402 6.27% 1,709 2.43% 1,076 1.53%
西成区 29,369 68.01% 9,585 22.20% 2,485 5.75% 1,125 2.61% 618 1.43%
淀川区 28,697 61.32% 13,719 29.31% 2,595 5.54% 1,286 2.75% 502 1.07%
鶴見区 30,191 63.98% 12,771 27.06% 1,773 3.76% 1,700 3.60% 754 1.60%
住之江区 37,080 62.13% 17,645 29.56% 2,313 3.88% 1,748 2.93% 899 1.51%
平野区 32,515 64.38% 14,182 28.08% 1,725 3.42% 1,311 2.60% 769 1.52%
北区 46,733 65.99% 17,490 24.70% 3,063 4.33% 2,249 3.18% 1,283 1.81%
中央区 20,591 62.26% 9,845 29.77% 1,158 3.50% 897 2.71% 584 1.77%

脚注

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注釈

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  1. ^ 本名:安達真(あだち しん)

出典

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  1. ^ “大阪市長候補決める維新予備選、横山府議と岡崎市議が最終選考へ”. 産経新聞. (2022年11月4日). https://www.sankei.com/article/20221104-7WE4YXZNOVPY5IDSW2WSBHLCGU/ 2022年12月10日閲覧。 
  2. ^ “大阪市長選にIR反対の市民団体幹部が立候補検討”. 産経新聞. (2022年1月8日). https://www.sankei.com/article/20230108-PEMEVHBV7NNI5OC4ADJOZBJPLI/ 
  3. ^ 大阪市長選に関する記者会見 2/15 #山川よしやす
  4. ^ “維新の大阪市長予備選 府議と市議5人が立候補、松井氏に代わる顔は”. 朝日新聞. (2022年9月30日). https://www.asahi.com/articles/ASQ9Z6J0SQ9ZOXIE012.html 2022年10月7日閲覧。 
  5. ^ “大阪市長選 維新が横山英幸府議を擁立へ 松井氏後継、予備選で決定”. 毎日新聞. (2022年12月10日). https://mainichi.jp/articles/20221210/k00/00m/010/130000c 2022年12月10日閲覧。 
  6. ^ “政治団体が大阪府知事選に谷口氏 大阪市長選に北野氏擁立へ”. NHK. (2023年2月5日). https://web.archive.org/web/20230205150116/https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230205/2000070777.html 2023年2月6日閲覧。 
  7. ^ “「維新政治に終止符を」と意欲 大阪市長選出馬の北野氏、自民離党へ”. 産経新聞. (2023年2月5日). https://www.sankei.com/article/20230205-F2DW6JZVYJMC3LHVSX3V5CN6ZE/ 2023年2月6日閲覧。 
  8. ^ “大阪ダブル選2氏出馬表明 維新に対抗、自民支援へ”. 産経新聞. (2023年2月8日). https://www.sankei.com/article/20230208-BY7N6V3NB5O2TP2TGDCJWVIACI/?outputType=amp 2023年2月8日閲覧。 
  9. ^ “谷口・北野氏は「自主支援」 大阪ダブル選で自民、推薦見送りを確認”. 産経新聞. (2023年2月9日). https://www.sankei.com/article/20230209-BI3E6FCOB5MOTP2QG775AGKP6E/ 2023年4月29日閲覧。 
  10. ^ “立憲民主党大阪府連、谷口真由美氏と北野妙子氏を自主支援…大阪ダブル選”. 読売新聞. (2023年2月15日). https://www.yomiuri.co.jp/election/local/20230215-OYT1T50125/ 2023年4月29日閲覧。 
  11. ^ “大阪市長選、理学療法士の山崎敏彦氏が無所属で出馬表明”. 日本経済新聞. (2023年2月21日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF201RM0Q3A220C2000000/ 2023年2月21日閲覧。 
  12. ^ “大阪市長選へ自民市議が離党”. 福井新聞. (2023年2月27日). https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1733485 2023年3月17日閲覧。 
  13. ^ “大阪市長選、飲食店経営の荒巻靖彦氏が無所属で出馬表明”. 日本経済新聞. (2023年2月27日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF2735I0X20C23A2000000/ 2023年3月5日閲覧。 
  14. ^ “大阪市長選 安達氏 無所属で立候補の意向表明”. NHKニュース. (2023年3月7日). https://web.archive.org/web/20230306131250/https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230306/2000071604.html 2023年3月8日閲覧。 
  15. ^ “「大阪ダブル選」維新評価にねじれ、府市政「支持」・IR誘致「反対」…読売世論調査”. 読売新聞. (2023年4月2日). https://www.yomiuri.co.jp/election/local/20230402-OYT1T50084/ 2023年4月29日閲覧。 
  16. ^ “IR誘致、反対多数 大阪市民・府民ともに 朝日調査”. 朝日新聞. (2023年4月3日). https://www.asahi.com/articles/ASR426HWSR42UZPS00D.html 2023年4月29日閲覧。 
  17. ^ “大阪ダブル選、維新リード 府議・市議選も堅調 毎日新聞情勢調査”. 毎日新聞. (2023年4月3日). https://mainichi.jp/articles/20230403/ddn/041/010/011000c 2023年4月29日閲覧。 
  18. ^ a b c “大阪ダブル選挙 出口調査の結果は”. NHK NEWS WEB. (2023年4月9日). https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230409/2000072633.html 2023年4月29日閲覧。 
  19. ^ a b “大阪ダブル選の争点だった「IR誘致」、賛成が反対上回る…読売出口調査”. 読売新聞. (2023年4月11日). https://www.yomiuri.co.jp/election/local/20230411-OYT1T50060/ 2023年4月29日閲覧。 
  20. ^ a b “維新が制した大阪ダブル選、投票した過半数がIR誘致賛成 朝日調査”. 朝日新聞. (2023年4月9日). https://www.asahi.com/articles/ASR49721BR46UZPS007.html 2023年4月29日閲覧。 
  21. ^ “大阪IR誘致 賛成53%で反対を上回る 毎日新聞出口調査”. 毎日新聞. (2023年4月9日). https://mainichi.jp/articles/20230409/k00/00m/010/152000c 2023年4月29日閲覧。 
  22. ^ “非維新は何を間違えたのか 大阪ダブル選で歴史的大敗のわけ”. 毎日新聞. (2023年4月16日). https://mainichi.jp/articles/20230414/k00/00m/010/247000c 2023年4月29日閲覧。 
  23. ^ 日本放送協会. “大阪市長選 統一地方選挙2023 | NHK選挙WEB”. www.nhk.or.jp. 2023年4月12日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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