イギリス連邦
イギリス連邦 Commonwealth of Nations | |
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国旗 | |
Headquarters | Marlborough House, London, United Kingdom |
公用語 | 英語 |
加盟 | #加盟国の一覧 |
指導者 | |
• Head of the Commonwealth | エリザベス2世 |
• Secretary-General | en:Kamalesh Sharma |
• Chairperson-in-Office | ジュリア・ギラード |
設立 | |
• バルフォア宣言 | 1926年11月18日 |
1931年12月 | |
• ロンドン宣言 | 1949年4月28日 |
面積 | |
• 合計 | 31,462,574 km2 (12,147,768 sq mi) |
人口 | |
• 2005年の推計 | 2,100,000,000 |
• 人口密度 | 61.09/km2 (158.2/sq mi) |
ウェブサイト thecommonwealth.org |
イギリス連邦(イギリスれんぽう、英: Commonwealth of Nations、旧名 British Commonwealth)は、かつてのイギリス帝国(大英帝国)がその前身となって発足し、イギリスとその植民地であった独立の主権国家から成る、緩やかな国家連合(集合体)である。英連邦(えいれんぽう)、コモンウェルス(the Commonwealth)ともいう。
概要
もともとの名称は「ブリティッシュ・コモンウェルス(British Commonwealth)」であった。これは日本語で「イギリス連邦」と訳し得るため、現在でもこのように呼ぶことが多いが、1949年以降は「コモンウェルス・オブ・ネーションズ(the Commonwealth of Nations)」が正式名称となっており、直訳するならば「諸国連邦」となる。イギリスなどにおいて定冠詞付きで「コモンウェルス(the Commonwealth)」というと、一般的にはこのイギリス連邦を指すことが多い。「連邦」というが、連邦国家ないし連合国家ではなく、中央政府を有しない国家連合である。類似する国際組織としては、フランコフォニー国際機関、ポルトガル語諸国共同体、オランダ語連合、独立国家共同体がある。
イギリス国王を自国の国王に擁く人的同君連合である英連邦王国も加盟国に含まれるが、独自の君主や大統領を元首に擁く国家も多数存在し(後述)、旧イギリス帝国に由来する連合としては最も広範かつ緩やかなものである。
発足
1931年、イギリス議会におけるウェストミンスター憲章(英: Statute of Westminster)において、イギリス国王に対する共通の忠誠によって結ばれた、それぞれが主権をもつ対等な独立国家の自由な連合体と定義され、イギリス、アイルランド自由国(のちに脱退)、カナダ、ニューファンドランド(のちにカナダの1州となる)、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ連邦をメンバーとして発足した。この時点では旧来のドミニオンの連合に過ぎず、白人自治領の連合体としての性格を持っていた。
その後、1947年にインドおよびパキスタンが独立したことで白人連合としての性格が消滅し、さらに1950年にインドが共和制をとった際、連邦へのインドの残留を認めたために、以後「イギリス国王に対する共通の忠誠」は連合体の必要条件から除外されることとなり、同君連合以外の国家も連邦参加が可能となった[1]。
独立主権国家連合
1971年に、「民族の共通の利益の中で、また国際的な理解と世界平和の促進の中で、協議し、協力する自発的な独立の主権国の組織である(コモンウェルス原則の宣言前文)」と再定義され、ゆるやかな独立主権国家の連合となった(連邦国家ではない)。
高等弁務官
加盟国同士では、通常の国対国のように特命全権大使を交換せず、「高等弁務官」を外交使節長として、大使館のかわりに高等弁務団事務所を置いている。これは、大使が国家元首の代理、およびその大使の駐在先を大使館として呼ぶことが、同君連合にあたる諸国間では不適当であったためだが、加盟国の中でイギリス国王を君主としなくなった国においても、伝統的にこの名称が使われている。
連邦市民権
イギリスは加盟国国民に国政および地方選挙における選挙権および被選挙権を認めている。また加盟国国民には査証発給(免除)やワーキング・ホリデーに関する優遇措置がある。これらの特典は連邦市民権(英: Commonwealth Citizenship)と称される。ただし連邦市民権は互恵的なものではなく、加盟国国民に対する待遇は加盟国によってまちまちである。
加盟希望国
イエメン、パレスチナ自治政府(イスラエル自治領ヨルダン河西岸及びガザ地帯)、南スーダンなどの国や地域が、加盟を要望している。また、2000年代初頭の時点ではルワンダ(旧ベルギー領)も加盟を要望していた(2009年に正式加盟)。
英連邦首脳会議
加盟国の政府の長(首相または大統領)は西暦の奇数年に会議を行う。前身は以下のとおり[2]。
- 1887年 - 1909年: 植民地会議(英: Colonial Conference)
- 1911年 - 1937年: 帝国会議(英: Imperial Conference)
- 1944年 - 1966年: 英連邦首相会議(英: Commonwealth Prime Ministers Meeting)(ほぼ毎年)
- 1971年 - : 英連邦首脳会議(英: en:Commonwealth Heads of Government Meeting、CHOGM)
加盟国の国家元首
加盟国には、国家元首として独自の大統領や君主を置く国と、イギリス国王(現在は女王エリザベス2世)を元首たる国王とする国(英連邦王国)とがある。後者では、国王から任命された総督が国王の役割を代行している。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどがこの事例に含まれる(詳細は現在の英連邦王国を参照)。
共通語としての英語
モザンビークを除くほとんどの国では、英語を公用語かそれに準じる言語とされている。
文化
加盟国や旧加盟国ではイギリス本国の影響で、食文化では紅茶を飲む習慣、スポーツではラグビーやクリケットなど、元々現地には無かった文化が導入され定着している。
またコモンウェルスゲームズと呼ばれる加盟国によるスポーツ大会も行われている。
加盟国の一覧
国名の表記は、国の一覧と同じ。括弧内は、特記なき限り、加盟年。現在の加盟国数は、イギリスを含め54ヶ国(うち1ヶ国は資格停止中)。太字は英連邦王国。
ヨーロッパ
アジア
- インド(1947年、旧称・ イギリス領インド帝国→ インド連邦→インド共和国)
- シンガポール(1965年、旧称・ 海峡植民地→ マレーシア連邦シンガポール州)
- スリランカ(1948年、旧称・ 英領セイロン→ セイロン)
- パキスタン(1947年加盟(旧称・ イギリス領インド帝国→ パキスタン)、1972年脱退、1989年復帰、1999年資格停止、2004年復帰、2007年資格停止、2008年5月復帰)
- バングラデシュ(1972年、旧称・英領ベンガル(※ イギリス領インド帝国の一部)→ 東パキスタン)
- ブルネイ(1984年、旧 英領サラワク)※正式国名はブルネイ・ダルサラーム国(ネガラ・ブルネイ・ダルサラーム)
- マレーシア(1957年、旧称・ マラヤ連邦→マレーシア連邦)
- モルディブ(1982年、旧称・英領モルディブ諸島)
北アメリカ
- アンティグア・バーブーダ(1981年、旧称・英領風下諸島)
- カナダ(1931年、旧加盟国(地域)の ニューファンドランド自治領を編入(ニューファンドランド・ラブラドール州も参照)
- グレナダ(1974年、旧称・英領風上諸島)
- ジャマイカ(1962年、旧称・英領ジャマイカ)
- セントクリストファー・ネイビス(1983年、植民地時代は 英領アンギラも領域の一部に含まれていた)
- セントビンセント・グレナディーン(1979年、旧称・英領風上諸島)
- セントルシア(1979年、旧称・英領風上諸島)
- ドミニカ国(1978年、旧称・英領ドミニカ)
- トリニダード・トバゴ(1962年、旧称・英領トリニダード・トバゴ)
- バハマ(1973年、旧称・英領バハマ諸島)
- バルバドス(1966年、旧称・バルバドス植民地)
- ベリーズ(1981年、旧称・英領ホンジュラス)
南アメリカ
アフリカ
- ウガンダ(1962年、旧称・ ウガンダ保護領)
- ガーナ(1957年、旧称・ 英領ゴールド・コースト)
- カメルーン(1995年、旧称・ 英領カメルーン+仏領カメルーン)
- ガンビア(1965年、旧称・ 英領ガンビア)
- ケニア(1963年、旧称・ イギリス領東アフリカ)
- ザンビア(1964年、旧称・ ローデシア・ニヤサランド連邦→ 北ローデシア)
- シエラレオネ(1961年、旧称・ライオン山脈(英領シエラレオネ))
- エスワティニ(1968年、旧称・ 南アフリカ連邦)
- セーシェル(1976年、旧称・英領セーシェル諸島)
- タンザニア(1961年、旧称・ タンガニーカ+ ザンジバル)
- ナイジェリア(1960年加盟、1995年資格停止、1999年再承認、旧 ナイジェリア保護領)
- ナミビア(1990年、旧称・ 南アフリカ連邦委任統治領南西アフリカ)
- ボツワナ(1966年、旧称・ベチュアナランド)
- マラウイ(1964年、旧称・ ローデシア・ニヤサランド連邦→ ニヤサランド)
- モーリシャス(1968年、旧称・英領モーリシャス)
- モザンビーク(1995年、旧称・ポルトガル領東アフリカ、ただし英資本のモザンビーク会社による実効支配)
- ルワンダ (2009年、旧称・ルアンダ=ウルンディ)
- レソト(1966年、旧称・英領バストランド)
- 南アフリカ共和国(1931年加盟、1961年脱退、1994年再加盟、旧称・ 南アフリカ連邦( トランスヴァール共和国+ オレンジ自由国+ ケープ植民地))
オセアニア
- オーストラリア(1931年)
- キリバス(1979年、旧称・英領ギルバート=エリス諸島→英領ギルバート諸島)
- サモア(1970年、旧称・英領サモア→西サモア)※現在の正式国名はサモア独立国
- ソロモン諸島(1978年旧称・英領ソロモン諸島)
- ツバル(1978年、旧称・英領ギルバート=エリス諸島→英領エリス諸島)
- トンガ(1970年、旧イギリス保護国)
- ナウル(1999年)
- ニュージーランド(1931年)
- バヌアツ(1980年、旧称・英仏共同統治領ニューヘブリディーズ諸島)
- パプアニューギニア(1975年、旧オーストラリア信託統治領(旧豪領パプア+旧豪領ニューギニア(ニューギニア植民地)+旧豪領ビスマーク諸島))
非加盟国
元加盟国
- アイルランド(1931年加盟、1949年脱退、旧称・ グレートブリテン及びアイルランド連合王国)
- ジンバブエ(1980年加盟、2002年資格停止、2003年脱退、旧称・ローデシア=ニアサランド連邦→ 南ローデシア→ ローデシア)
- ニューファンドランド(1931年加盟、1949年カナダの連邦政府に加盟)
- フィジー(1970年加盟、1987年脱退、1997年再加盟、2006年資格停止、2009年完全資格停止 旧称・ フィジー)※現在の正式国名はフィジー共和国
かつてイギリスの支配下にあった非加盟国および地域
- アフガニスタン(旧 バーラクザイ朝)
- アメリカ合衆国東部(旧 イギリス領北米植民地)
- アラブ首長国連邦(旧トルーシャル・オマーン)
- イエメン(旧 アデン植民地)
- イスラエル(旧 イギリス委任統治領パレスチナ)
- パレスチナ(旧 イギリス委任統治領パレスチナ)
- イラク(旧 イギリス委任統治領メソポタミア)
- エジプト(旧 エジプト・スルターン国)
- オマーン
- カタール
- クウェート
- スーダン(旧英埃領スーダン)[3]
- 南スーダン
- ソマリア( ソマリランド(旧 イギリス領ソマリランド))
- バーレーン
- ミャンマー(旧 英領ビルマ)
- ヨルダン
- 香港(旧 イギリス領香港)
関連項目
- 英語圏 - アングロ・サクソン人
- ルール・ブリタニア
- 威風堂々 (行進曲)
- 五ヵ国防衛取極め
- 英連邦王国
- イギリスの海外領土
- イギリス連邦占領軍
- イギリスのカントリー
- 西インド連邦
- スペイン帝国
- フランス植民地帝国
- ポルトガル海上帝国
- オランダ海上帝国
- デンマーク海上帝国
- ドイツ植民地帝国
- 自治領
参照元
- ^ 「世界民族問題事典」(新訂増補)p440 平凡社 2002年11月25日新訂増補第1刷
- ^ Commonwealth Secretariat (2007): Brief History of CHOGM. Commonwealth Heads of Government Meeting - CHOGM. http://www.thecommonwealth.org/subhomepage/33250/ 2007-11-15 現在
- ^ スーダン南部の紛争地域は2011年7月に南スーダン共和国として独立した。なお、同国は独立後に加盟申請を行っており、早けれは翌年以降に加盟が承認される予定。
外部リンク
- Commonwealth Secretariat(事務局・本部)
- コモンウェルス制裁の正当性について (最近の研究)