豆乳
豆乳(とうにゅう)は、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮つめ、かすを漉した飲料である。
概要
豆乳は、牛乳に似た外観と食味があり、大豆特有の青臭さがある。この風味を好む人も多いが、飲みづらいと感じる人もいるため、果汁を加えたり砂糖などで甘みを加えた飲料も販売されている。
中国語では「豆漿」(トウチアン dòujiāng)と称され、よく飲まれている。中華文化圏では、パオズ(包子)などの朝食とともに、暖かい豆乳に砂糖を加えた甘い豆乳(中国語で「甜豆漿」(ティエントウチアン tián dòujiāng)という)を飲んだり、これに油条と呼ばれる揚げパンを浸して食べる習慣がある。食堂、街頭の露天商、ホテルの朝食などで提供されており、カップやポリ袋に入れて買って帰ることも一般的である。また、中国ではミキサー以外にも、家庭用の自動豆乳機も売られており、自宅で大豆から作る人もいる。
また、豆乳に塩味の出汁を加え、浅葱と細かく切った油条を浮かべた塩からい豆乳(中国語で「鹹豆漿」(シエントウチアン xián dòujiāng)という)は、小さく凝集したおぼろ豆腐が含まれ、朝粥感覚の「食べる豆乳」である。もともと豆漿は華北を中心に飲まれていたが、1955年に台湾台北県永和市で開店した豆漿店、「世界豆漿大王」(現、新世界豆漿大王)が人気を集め、各地でチェーン展開した事によって、中華文化圏を代表する軽食として知られるようになった。
豆乳は、東南アジアでも広く飲まれている。ベトナムでも朝食用に「シュアダウナイン sữa đậu nành」という甘い豆乳が販売されており、バニラ、ココア風味のものもある。タイでも朝食用に「น้ำเต้าหู้」という甘い豆乳があるほか、タピオカパールやゼリー入りのものも販売されている。カンボジアでも練乳入り豆乳「タッグ・ソンダエク(Tek Sondaek)」が販売されている。
日本では、中国ほど一般的な飲み物ではないが、豆腐店の店頭などで、新鮮な豆乳が販売されている。近年はスーパーマーケットの店頭などにも並ぶようになり、無調整の豆乳や豆乳飲料を手に入れることが容易になった。中国と台湾には大豆以外に緑豆、黒豆の豆乳もある。黒豆を用いた豆乳は日本でも製品化・販売されている。
調製豆乳
工場で甘味料・香料・植物油などを加えて飲みやすい味に加工した「調製豆乳(ちょうせいとうにゅう)」も販売されている。見かけ上変わりがないこのような製品と区別するため、普通のものに「無調整豆乳」と表記しているものもある。近年は大豆の青臭さを抑えられる製法が開発され、健康志向・自然志向も手伝って無調整豆乳の需要が増えている。
日本国内の代表的な製造販売メーカーは、紀文フードケミファ・マルサンアイ・ソヤファームなど。かつては、三菱化学フーズも販売していた。アメリカ合衆国では Eden Foodsなど。
アメリカ合衆国ではダイエット食品としてバニラ味やチョコレート味が人気があり、日本でもダイエット食品として人気がある。豆乳のカロリーは、紀文の調整豆乳で200mlあたり122kcal程度である。
日本では、紙パックの商品、プラスチックのパックまたは瓶に入った商品が多く販売されている。長崎県佐世保市には地元だけで販売されているポリエチレンの瓶入りの甘い豆乳があり、長年人気を維持している。香港では、ビタソイという商品名の豆乳がガラス瓶入りで売られて人気があったが、現在は紙パック入りの方が主流となり、瓶入りを扱っている店は減っている。シンガポールでは缶入りの調整豆乳も販売されている。
乾燥豆乳
中国では、砂糖を加えて乾燥させた、顆粒状のインスタント豆乳も販売されている。熱湯を加えれば、朝食に飲まれるような、暖かく、甘い豆乳となる。
関連する食品
豆乳ににがりなどの凝固剤を加えて固めると豆腐となる。無調整豆乳の中には、豆腐ができると表示しているものもある。大豆から豆乳を絞った残りかすはおからと言う。
豆乳をじっくり加熱した時に、表面にできる薄皮を引き上げたものをゆば(湯葉・湯波)といい、おもに吸い物の具として使われたり、刺身と同様にそのまま醤油などをつけて食べたりする。
料理
近年、日本では豆乳鍋や豆乳グラタン、豆乳シチューなど豆乳を使った料理の人気が高まっている。
これ以外にも、また、コーヒー、カフェ・オ・レ、カフェ・ラッテにおける牛乳の代わりに豆乳を用いたメニューも増えている(「ソイラテ」など)。ダイエット食品としては、豆乳クッキーなども販売されている。特に牛乳を豆乳で代用したデザートでは、ヨーグルト・チーズ・アイスクリームなどの加工食品、豆乳チーズケーキや豆乳プリンなどたくさんのバリエーションがある。
健康
豆乳は大豆イソフラボンが含まれ、これが美肌効果や更年期障害の予防など健康にいいとされている。