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八代弥

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 八代弥 七段
名前 八代弥
生年月日 (1994-03-03) 1994年3月3日(30歳)
プロ入り年月日 2012年4月1日(18歳)
棋士番号 287
出身地 静岡県賀茂郡
所属 日本将棋連盟(関東)
師匠 青野照市九段
段位 七段
棋士DB 八代弥
戦績
一般棋戦優勝回数 1回
2022年2月16日現在
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八代 弥(やしろ わたる、1994年3月3日 - )は、日本将棋連盟所属の棋士。青野照市九段門下。棋士番号は287。静岡県賀茂郡東伊豆町出身。

棋歴

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プロ入り前

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将棋を覚えたのは小学校1年生の頃。ちょうど東伊豆町から隣の伊東市に引っ越すタイミングで、中学校教師である父から教わった。4年生になって伊東の支部の小さな道場に行くようになり[1]、5年生のときに奨励会を受験するも不合格。師匠の勧めもあり研修会へ入会。月に2回ほど東京に通った[1]

奨励会

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2005年9月、6級で奨励会に入会。後にプロ棋士となる会員としては珍しく、入会後間もなく成績不振により“B”と言われる降級点を喫し、7級降級の危機[注 1]に瀕するなどで、最初の昇級に1年を費やした。八代本人は後の四段昇段内定のインタビューで、この時期が辛かったが、周囲の応援が励みになった旨を述懐した[2]。それからしばらく順調に昇級を続け、2008年2月に初段に昇段[注 2]。しかし、そこで再び長いトンネルに入り、2009年7月にようやく二段昇段。

二段では再び順調に勝ち星を重ね、2010年3月に三段に昇段。これに伴い2010年度前期(第47回)より三段リーグに参加。4期目となる2011年度後期(第50回)で14勝4敗・2位の成績を修め、地元の高校を卒業するタイミングの2012年4月1日付けでプロ入り[1]。また、第1期(2011年度)加古川青流戦にも三段として参加、初戦でプロ棋士歴9年の藤倉勇樹四段から白星を挙げた。

プロ入り後

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2015年度のNHK杯戦に初出場、本戦1回戦で村山慈明と対戦したものの敗退[注 3]

2017年2月11日2016年度の第10回朝日杯将棋オープン戦で一次予選から勝ち上がり棋戦初優勝[注 4]。同棋戦の歴代優勝者の中で、八代の22歳11か月は当時の最年少記録[注 5]、五段での優勝も同棋戦史上初[注 6]、更に一次予選から出場した棋士の優勝も同棋戦史上初であった[注 7]。また、全棋士参加棋戦[注 8]での優勝により、同日付で六段に昇段した[3]

2018年4月15日(放送日)、NHK杯戦に朝日杯優勝のシード枠で出場したが、1回戦で初出場の安用寺孝功六段に敗れた。

2019年4月23日、第32期竜王戦3組準決勝で三枚堂達也に勝って連続昇級を決め、七段に昇段した[4]。ちなみに三枚堂も連続昇級がかかっており、両者とも六段であったため、文字通りの「七段昇段者決定戦」であった。同年5月に新元号・令和となったため『平成最後の対局』で昇段となった[5]

2021年3月24日、第34期竜王戦2組準決勝で当時の名人位であった渡辺明に勝利し、本戦出場と共に1組への昇級を決めた。これにより2021年度の八代は竜王戦では最上位クラスの1組、順位戦では最下位クラスのC級2組に属することになり、1995年度の先崎学[注 9]以来、26年ぶりの2例目となった。本戦トーナメントでは三枚堂達也久保利明を破り準決勝まで進出するも、ランキング戦2組決勝で敗れた藤井聡太に再び黒星を喫し敗退となった。

2021年12月10日、第35期竜王戦1組1回戦で稲葉陽に勝利し、史上初2期連続竜王戦1組、順位戦C級2組所属が確定した。準々決勝では前期も対局し勝利した渡辺明に勝利した。 第93期棋聖戦・二次予選決勝で屋敷伸之に勝ち、本戦トーナメント進出[6]第6期叡王戦・段位別予選決勝で横山泰明に勝ち、本戦トーナメント進出。

2022年度にはNHK杯戦でベスト4入り。

棋風

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本人によると、居飛車党で矢倉戦法を好むという[2]横歩取りも指す。

順位戦に星が集まらない棋士の1人として知られる。プロ入り同期の斎藤慎太郎とプロ入り後10年間、2022年3月末までの成績を比較すると、単純な勝率では八代が.653(441局-288勝)[要出典]斎藤が.661(422局-279勝)[要出典]と高い水準で拮抗しながら[独自研究?]、順位戦に限れば昇級経験の無い八代に対して斎藤は2度の名人挑戦権を獲得と対照的な結果となっている。その間に竜王戦では1組まで昇級しており、必ずしも長時間棋戦を苦手としているわけではない。

人物

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同世代の将棋棋士である高見泰地とは「親友にしてライバル」と評されており、他の棋士からも「二人の仲の良さは入り込めない」と言われている[7]

趣味はダーツカラオケ。同世代の棋士とお酒を飲みに行くのも好きであると語っている[8]

2023年2月10日、一般女性と結婚[9]

昇段履歴

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昇段規定は、将棋の段級 を参照。

  • 2005年09月00日 : 6級(小学6年) = 奨励会入会
  • 2006年09月00日 : 5級(中学1年)
  • 2007年01月00日 : 4級( 〃 )
  • 2007年03月00日 : 3級( 〃 )
  • 2007年05月00日 : 2級(中学2年)
  • 2007年11月00日 : 1級( 〃 )
  • 2008年02月00日 : 初段( 〃 )
  • 2009年07月00日 : 二段(高校1年)
  • 2010年03月00日 : 三段(第47回奨励会三段リーグ<2010年度前期>より三段リーグ参加)
  • 2012年04月01日 : 四段(第50回奨励会三段リーグ成績2位) = プロ入り
  • 2015年05月12日 : 五段(竜王ランキング戦連続2回昇級、通算82勝44敗)
  • 2017年02月11日 : 六段(第10回朝日杯将棋オープン戦優勝、通算133勝74敗)
  • 2019年04月23日 : 七段(竜王ランキング戦連続昇級、通算197勝108敗)

主な成績

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棋戦優勝

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非公式戦優勝

将棋大賞

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在籍クラス

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順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
出典[10]
(出典)竜王戦
出典[11]
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
2012 71 C246 6-4 26 6組 -- 2-2
2013 72 C217 5-5 27 6組 -- 8-1
2014 73 C222 6-4 28 5組 -- 4-1
2015 74 C215 8-2 29 4組 -- 1-2
2016 75 C204 7-3 30 4組 -- 1-2
2017 76 C204 5-5 31 4組 -- 5-1
2018 77 C219 5-5 32 3組 -- 3-1
2019 78 C226 6-4 33 2組 -- 2-2
2020 79 C219 6-4 34 2組 2-1 3-1
2021 80 C220 6-4 35 1組 -- 2-2
2022 81 C219 7-3 36 1組 -- 0-2
2023 82 C211 8-2 37 2組 --
2024 83 C204 38
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

年度別成績

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公式棋戦成績
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2012 41 28 13 0.6829 [12]
2013 36 19 17 0.5277 [13]
2014 46 33 13 0.7173 [14]
2015 44 27 17 0.6136 [15]
2016 47 30 17 0.6382 [16]
2017 32 19 13 0.5937 [17]
2018 55 38 17 0.6909 [18]
2019 39 20 19 0.5128 [19]
2020 46 34 12 0.7391 [20]
2012-2020
(小計)
386 248 138
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2021 55 40 15 0.7272 [21]
2022 38 22 16 0.5789 [22]
2023 50 39 11 0.7800 [23]
2021-2023
(小計)
143 101 42
通算 529 349 180 0.6597 [24]
2023年度まで

その他の記録

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  • 朝日杯将棋オープン戦の一次予選から出場による優勝(第10回 史上初。後に藤井聡太も達成)
  • 竜王戦1組かつ順位戦C級2組在籍(2021-2022年度、先崎学に続き史上2人目。2期以上の在籍は史上初)

著書

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  • 徹底解明!横歩取りの最重要テーマ(2018年2月、マイナビ出版、ISBN 978-4-839-964047

脚注

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注釈

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  1. ^ 郷田真隆など、実際に7級降級を経験しながら後にトッププロとして活躍する例もある。
  2. ^ ちなみに、同い年で後にプロ入り同期となる斎藤慎太郎はこの時点で三段リーグ入りを果たしていた。
  3. ^ 村山はその後も勝ち続け、同年度のNHK杯優勝者となった。
  4. ^ 本戦の対戦相手は順に、戸辺誠行方尚史広瀬章人(準決勝)、村山慈明(決勝)であった。決勝の対・村山戦は、上述NHK杯のリベンジを果たした上で優勝を勝ち取る形となった。
  5. ^ 翌2017年度の第11回にて藤井聡太が全棋士参加棋戦優勝の年少記録を更新する15歳6か月での優勝を果たした。
  6. ^ それまでの低段優勝記録は2008年度の第2回における、阿久津主税(当時六段)であった。
  7. ^ 二次予選から出場した棋士に範囲を広げても、2007年度の第1回における行方尚史・2010年度の第4回における木村一基以来、同棋戦史上3人目であった。
  8. ^ 三浦九段は不参加。将棋ソフト不正使用疑惑
  9. ^ 翌1996年度よりC級1組へと昇級し、1年限りで解消している。

出典

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  1. ^ a b c 宮田 聖子. “竜王戦で“仲良し同世代”とぶつかる八代弥七段は「三枚堂君からはパッタリ連絡がなくなった」 | 観る将棋、読む将棋”. 文春オンライン. 2021年7月1日閲覧。
  2. ^ a b 日本将棋連盟ホームページ・お知らせ「斎藤三段と八代三段が新四段に!」より。
  3. ^ 朝日新聞DIGITAL・ニュース「八代弥五段、歴代最年少で優勝 朝日杯将棋オープン戦」(村瀬信也 2017年2月11日17時59分)ほか
  4. ^ 八代弥六段が七段に昇段|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2019年4月24日閲覧。
  5. ^ 平成最後の対局で昇段 八代弥七段 | NHKテキストビュー”. NHKテキストビュー | 生活に役立つNHKテキストの情報サイト. 2020年7月15日閲覧。
  6. ^ 第93期棋聖戦二次予選決勝 屋敷伸之vs八代弥(2022年2月15日、携帯中継など)
  7. ^ 第3期叡王戦 決勝七番勝負 第1局観戦記『save your dream』第7譜 - ニコニコニュースORIGINAL・2018年4月26日
  8. ^ いつか「自分はA級だ」と言える日を目指して【八代六段インタビュー】|将棋コラム|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2020年7月15日閲覧。
  9. ^ 八代弥七段が結婚”. 日本将棋連盟. 2023年2月16日閲覧。
  10. ^ 名人戦・順位戦」『日本将棋連盟』。
  11. ^ 竜王戦」『日本将棋連盟』。
  12. ^ [1][名無しリンク]
  13. ^ [2][名無しリンク]
  14. ^ [3][名無しリンク]
  15. ^ [4][名無しリンク]
  16. ^ [5][名無しリンク]
  17. ^ [6][名無しリンク]
  18. ^ [7][名無しリンク]
  19. ^ [8][名無しリンク]
  20. ^ [9][名無しリンク]
  21. ^ [10][名無しリンク]
  22. ^ [11][名無しリンク]
  23. ^ [12][名無しリンク]
  24. ^ [13][名無しリンク]

関連項目

[編集]

外部リンク

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