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岡光序治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

岡光 序治(おかみつ のぶはる、1939年2月1日 - )は、日本官僚厚生事務次官を経て、収賄罪懲役 。出所後、ウィーティービーフーズ株式会社を設立し、同社社長や会長を務める。

来歴

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広島県呉市出身。呉海軍工廠に勤務していた父親が、岡光1歳の時に亡くなり、親ひとり子ひとり、女手ひとつで育てられ、苦学して広島県立呉三津田高等学校に進学、東京大学法学部卒業後、1963年(昭和38年) 厚生省に入省した[1]。社会局援護課に配属された[2]。厚生省を選んだ理由は、子供の頃、呉の実家近くに岸信介らが設立した東洋パルプ[3]の工場があり、大量の汚水を瀬戸内海に流す光景が頭から離れず、豊かで美しい瀬戸内海を取り戻したいという思いからだという[4]。ちなみに環境庁のできる以前の環境行政は厚生省が所管していた。厚生省入省の際の保証人が、同郷でもある時の総理大臣池田勇人経済企画庁長官宮澤喜一だったため、面接官全員にかえって警戒された[5]

栃木県衛生民生部児童家庭課長[6]、衛生民生部厚生課長、企画部開発計画課長、総務部財政課長、社会保険庁長官官房総務課長補佐、大臣官房総務課広報室長、厚生省保険局企画課長、老人保健福祉部長、薬務局長、大臣官房長、保険局長などを歴任。この間、薬価基準制度の是正、老人保健法の改正介護保険の策定などにあたり、強腕の官僚として知られた。1996年(平成8年)の薬害エイズ事件の責任を取って辞任した多田宏の後任として当時の厚生大臣菅直人に任命され同年7月、厚生事務次官に就任。

しかし同年11月、特別養護老人ホーム汚職事件が発覚。特別養護老人ホームの補助金交付に便宜を図った見返りに利益供与を受けたとされ、官僚腐敗と書きたてられ大きな社会問題となった。当時の小泉純一郎厚生大臣から「介護保険法を成立させたいから、君も言いたいことがあるのはわかるが、とりあえず辞表を出してくれないか」と説得され、岡光自身が苦労してまとめ上げた介護保険法成立と引き換えに、やむなく辞表を提出した[7][信頼性要検証][8]。後任には山口剛彦が就いた。真相解明の前に辞めさせられたことで罪を認めたような印象を与えて、その後あることないこと連日マスコミに報道された。利益供与を受けた人物は、古くからの知り合いであり、受けとったお金は自宅を新築するために借りた、半分は返したと主張し続けたが通らず[9]、同年12月4日、警視庁に逮捕され収賄罪に問われ、控訴上告、上告棄却の後、2003年(平成15年)、懲役2年、追徴金約6369万円の実刑判決を受ける。戦後の汚職事件で、中央省庁事務次官経験者の実刑が確定するのは初めてだった。

石原慎太郎は「厚生省が堕落したのは、竹下派経世会御三家が薬屋と結託して政治資金をつくった。それを見てるから、岡光みたいな人が年寄りを食い物にして結局バレた。それで年金を破壊した」と述べている[10]

刑に服し2004年(平成16年)出所。事件後に離婚し、5人の子供とも別れて出所後に帰郷。母親の介護をしつつ2009年(平成21年)には、東京池袋早稲田大学と組んで野菜の産直会社を興した[11]。また、自然尊厳死提唱のための社団法人「高齢問題研究会」理事長を務めている[12]

略歴

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脚注

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  1. ^ 自著『官僚転落―厚生官僚の栄光と挫折』p60-61
  2. ^ 『厚生省名鑑:1990年版』時評社、1990年1月発行、65頁
  3. ^ 永野護がプロモートして広島県呉市に工場を建設した会社。岸信介が会長、社長が足立正、取締役が永野、藤山愛一郎津島寿一三好英之監査役瀬越憲作。経営がうまくいかず後に王子製紙に売却した(『岸信介の回想』p97)。
  4. ^ 『官僚転落―厚生官僚の栄光と挫折』p74-75
  5. ^ 『官僚転落―厚生官僚の栄光と挫折』p60-61
  6. ^ 自著『都市と福祉』ぎょうせい、1981年発行
  7. ^ 『官僚転落―厚生官僚の栄光と挫折』p18-19
  8. ^ 第138回国会 厚生委員会 第1号
  9. ^ 『官僚転落―厚生官僚の栄光と挫折』p18-33
  10. ^ 「この国のかたち」対談 石原慎太郎都知事×葛西敬之JR東海会長『産經新聞』2011年8月13日10頁
  11. ^ ウィーティービーフーズ株式会社-会社概要・企業理念
  12. ^ 週刊新潮2010年12月30日、2011年1月6日号、p57-58
  13. ^ 『職員録 昭和45年版 上巻』大蔵省印刷局、1969年発行、872頁
  14. ^ 『職員録 昭和46年版 上巻』大蔵省印刷局、1970年発行、907頁

著書

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参考文書・ウェブサイト

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