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日本釈名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『日本釈名』
言語 日本語
類型 語源辞典
編者・監修者 貝原益軒
出版地 日本の旗 日本
最初の出版日 1700年 (325年前) (1700)
排列 五十音順
数量 ; 大きさ 上中下3巻
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日本釈名』(にほんしゃくみょう)は、江戸時代中期に貝原益軒が編纂した語源辞書

概要

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上中下3巻。1699年元禄12年)自序、1700年(元禄13年)に刊行。後漢の劉熙の同様の著作『釈名』にならって『日本書紀』『万葉集』『倭名類聚抄』などの古書にみられる和語を、23類に分類、五十音順に配列、語源を説いている。

構成は次のごとくである[1]

巻之上 天象・時節・地理・宮室地名
巻之中 水火土石金玉・人品・形体・人事・鳥獣・虫・魚介
巻之下 米穀・草木・飲食・衣服・文具・武具・雑記・虚字

内容

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凡例において「要訣」として語源解釈の類型について論じており、その分類は国語学史上しばしば注目される[2][3]

説明 語例
自語 みだりに語源解釈できない本来の語 天地あめつち」「父母ちちはは」等
転語 「五音相通」による語 かみきみ」「み→すみ」等
略語 語の一部の約音 「ひゆる→」「墨研すみすりすずり」等
借語 他の語の意味拡張 「日→火」「炭→墨」等
義語 複合により生じた語 諸越もろこしもろこし」「明時あかときあかつき」等
反語 仮名反により生じた語 「あはうみ→あみ」「みえ」等
子語 ある語を語根(「母語」とよばれる)とする語 (母語)→ひる(子語)」「みず(母語)→みなもと(子語)」等
いん 漢語に由来するもの 杏子」「」等

先人の説を引用しながら批判を加えて語構成や語形変化を理論的に整理し、それなりの原理に基づいて慎重に語源を考える姿勢を示している点に歴史的価値が認められるが、現代的な観点からは民間語源と言うべきものが多い[4][5]。例えば「(きた)」の語源を「五行思想において北方が黒色にあたることから「汚し」に通じる」とするなど、中国思想を利用する場合がある[6]

受容

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新井白石は『東雅』において「要訣」を批判しつつ、言語には時代の流れによる変化があることや、地域によって方言があることを述べている[7]

刊本

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  • 益軒会, ed. (1973), 日本釈名, 益軒全集, 国書刊行会 。初版明治43-44年。
  • 貝原益軒 著、松下見林; 小泉吉永 編『日本釈名』 90巻、大空社出版〈江戸庶民文庫〉、2020年。ISBN 978-4-86688-090-7 

脚注

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  1. ^ 伊藤慎吾 (1928), pp. 385–386.
  2. ^ 土居文人 (2006), p. 292.
  3. ^ 田辺正男 (1959), p. 128.
  4. ^ 犬飼守薫 (2001), p. 73.
  5. ^ 小松寿雄 (2012), pp. 28–29.
  6. ^ 伊藤慎吾 (1928), p. 394.
  7. ^ 土居文人 (2006), p. 293.

参考文献

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図書
  • 伊藤慎吾『近世国語学史』立川文明堂、1928年。 
  • 田辺正男『国語学史』桜楓社出版、1959年12月。 
論文
  • 犬飼守薫「まことしやかな語源」『言語』第30巻第4号、大修館書店、2001年3月、72-78頁。 
  • 小松寿雄「語源と辞書」『日本語学』第31巻第7号、明治書院、2012年6月、26-35頁。 
  • 土居文人 著「近世までの語源学と主要参考文献」、吉田金彦 編『日本語の語源を学ぶ人のために』世界思想社、2006年12月、285-300頁。ISBN 4-7907-1224-9 

外部リンク

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