東芝研究データ流出事件
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東芝研究データ流出事件(とうしばけんきゅうデータりゅうしゅつじけん)とは、2014年(平成26年)3月14日に東芝の半導体に関する研究データが韓国の同業企業であるSKハイニックスに漏洩した事件。
概要
[編集]2014年3月14日に不正競争防止法違反容疑で逮捕された容疑者は東芝とパートナー企業であるサンディスクの元技術者であり、2007年~2008年にかけて半導体メモリ、具体的にはNAND型フラッシュメモリの微細化に関する研究データを不正に持ち出し、韓国の半導体メーカーSKハイニックスに提供したとされる。容疑者はその後SKハイニックスに転職していたが、逮捕当時はもう退職した後だった[1][2]。
ハイニックスは1996年から東芝とライセンス契約を締結して同メモリの製造に努めていたが、契約期間の満了から2年後の2004年に東芝から特許を侵害したとして国内外で提訴されて、両社は2007年になって和解していた経緯がある[3][4]。
東芝は逮捕の直後、SKハイニックスと容疑者に対し1090億円余りの賠償などを求める訴訟を起こしたが、このうちSKハイニックスについては2億7800万ドル(330億円相当)の和解金を支払うとの条件で和解に合意し、これを機に記録用半導体の製造技術を両社が共同で開発するなど協力関係を拡大するとの合意も行われた[5]。
湯之上隆はこの事件だけではなく韓国半導体企業が関わっている色んな形の技術流出の背景には、日韓両国の「技術に対する認識の違い」があると論証している。
その後
[編集]2017年にSKハイニックスは東芝から分社された東芝メモリ(キオクシア)を買収したファンドに4000億円相当の投資を決定している[6]。技術流出を防止するためにSKハイニックスからの取締役派遣は投資契約上制限されているが、韓国のマスコミによるとSK側は(将来、取得が期待される)株式の長期保有と技術協力の拡大を眺めている。
出典
[編集]- ^ “なぜ東芝の重要情報がライバルに漏れたのか”. 東洋経済オンライン. (2014年3月18日)
- ^ “東芝、怒りの提訴 韓国企業に断固たる措置 1000億円以上の利益喪失”. ZAKZAK. (2014年3月14日)
- ^ “東芝 ハイニックス半導体を特許侵害で提訴”. world.kbs.co.kr. 2020年9月9日閲覧。
- ^ “東芝、半導体特許係争でハイニックスと和解 - 韓国”. www.afpbb.com. 2020年9月9日閲覧。
- ^ “東芝情報流出 韓国企業330億円余支払いで和解”. NHK. (2014年12月24日). オリジナルの2014年12月24日時点におけるアーカイブ。
- ^ Staff, Reuters「SKハイニックス、東芝半導体子会社への投資を決議」『Reuters』2017年9月27日。2020年9月9日閲覧。