名鉄八百津線

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八百津線(やおつせん)は、岐阜県可児市明智駅から岐阜県加茂郡八百津町八百津駅までを結んでいた、名古屋鉄道(名鉄)の鉄道路線。かつて八百津支線(やおつしせん)と称していた時期があり、八百津支線と呼称される場合は広見線の支線として扱われた[2]

名古屋鉄道 八百津線
八百津駅におけるキハ10形
八百津駅におけるキハ10形
路線総延長7.3 km
軌間1067 mm
電圧1500V 架空電車線方式直流
停車場・施設・接続路線
STR
名鉄広見線
BHF
0.0 明智駅
exSTRlg
exBHF
0.8 東伏見駅
exBHF
2.3 兼山口駅
exBHF
3.0 城戸駅
exTUNNEL1
城山トンネル 232.5m[1]
exBHF
3.6 兼山駅
exBHF
5.4 中野駅
exBHF
6.2 伊岐津志駅
exBHF
7.3 八百津駅
exSTR
丸山水力専用鉄道
exKBSTe
丸山発電所

運賃計算区分はC(運賃計算に用いる距離は営業キロの1.25倍)。

概要

広見線から分岐し、蘇水峡丸山ダムなどの景勝地を控えた八百津町まで木曽川に沿って結んでいた。

2001年10月1日に全線廃止。同日に同じ名鉄の谷汲線揖斐線黒野駅 - 本揖斐駅間、竹鼻線江吉良駅 - 大須駅間が廃止されている。

1984年に広見線とともに富士重工レールバスの試運転が行われ、名鉄が閑散区間合理化のためこれを採用し、同年八百津線が電気運転を廃止してレールバス化された。レールバス化当初はキハ10形を使用し、1995年より廃止時まではキハ30形を使用していたが、八百津線廃止後キハ30形は三河線非電化区間へ移籍した。しかし、こちらも廃止になったことにより名鉄から非電化路線はなくなり、車両はミャンマーへ輸出された。その後、2006年に新可児駅構内のレールバス専用の検車場(新可児検車場)が撤去された。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):7.3km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:5駅(起終点駅を含む)
  • 複線区間:なし(全線単線)
  • 電化区間:全線非電化(廃止時。1984年9月まで全線直流1500V電化)
  • 閉塞方式:スタフ閉塞式

運行形態

廃止時点では全列車レールバスによる運行で、八百津線内折り返し運転されていた。ただし、給油基地が広見線新可児駅構内の新可児検車場にあったため、昼間の1往復のみ新可児駅まで直通していた(このときは明智駅で列車交換を行い、明智始発折り返し御嵩行きにも連絡していた)。すべて、普通列車のワンマン運転で、明智 - 八百津間で30分間隔で毎時2往復、11 - 12時台は60分間隔で毎時1往復運転されていた。ただし、廃線間際には、臨時列車が数往復増発されて、毎時2往復運転されていた。

単線であるが、廃止時点では兼山駅などにあった交換設備はすべて廃止されており、列車の行き違いは行われていなかった。

1984年までは電化されており、犬山線との直通運転列車があった時期もある。電化時代、パノラマカーによる名古屋方面直通特急「蘇水湖号」が運転されており、廃止直前に常滑 - 八百津間でリバイバル「蘇水湖号」が、常滑 - 新可児間をパノラマカーによる急行(犬山から普通)、新可児 - 明智(実際は御嵩行き)間を3400系、明智 - 八百津間をキハ30形レールバスが担当して運転された。

歴史

  • 1930年昭和5年)4月30日 - 東美鉄道が伏見口(現・明智) - 兼山間開業。開業当初は直流600V電化
  • 1930年(昭和5年)10月1日 - 兼山 - 八百津間開業
  • 1943年(昭和18年)3月1日 - 名古屋鉄道が東美鉄道を合併。新広見(現・新可児) - 御嵩(現・御嵩口)間、伏見口 - 八百津間を東美線とする
  • 1943年(昭和18年)8月10日 - 起業廃止(許可)(可児郡錦津村地内八百津-錦織間)[3]
  • 1944年(昭和19年) - 伏見口 - 兼山口間の東伏見駅、兼山口 - 兼山間の城戸駅、中野 - 八百津間の伊岐津志駅休止
  • 1948年(昭和23年)5月16日 - 東美線の新広見 - 御嵩(現・御嵩口)間を広見線に編入。伏見口 - 八百津間を八百津線(八百津支線)に改称
  • 1952年(昭和27年)3月 - 丸山ダム建設工事線として、丸山水力専用鉄道 八百津 - 錦織間開業
  • 1953年(昭和28年)7月 - 丸山水力専用鉄道 錦織 - 丸山発電所間開業
  • 1954年(昭和29年)6月1日 - 丸山水力専用鉄道 八百津 - 丸山発電所間廃止
  • 1963年(昭和38年)8月21日 - 城山トンネル補強のため9月15日まで運休[4]
  • 1965年(昭和40年)3月21日 - 架線電圧を1500Vに昇圧
  • 1969年(昭和44年)4月5日 - 休止中の東伏見駅、城戸駅、伊岐津志駅廃止
  • 1982年(昭和57年)4月1日 - 伏見口駅を明智駅に改称
  • 1984年(昭和59年)9月23日 - 電気運転廃止。レールバス化
  • 1985年(昭和60年)3月14日 - ワンマン運転開始
  • 2001年平成13年)10月1日 - 明智 - 八百津間が廃止。翌日より東濃鉄道により代替バス(YAOバス)運転開始

駅一覧

  • 全駅岐阜県に所在。
  • 廃止時点では普通列車のみ運行。全列車、各駅に停車。
駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
明智駅 - 0.0 名古屋鉄道:広見線 可児市
兼山口駅 2.3 2.3   可児郡兼山町(現・可児市)
兼山駅 1.3 3.6  
中野駅 1.8 5.4   加茂郡八百津町
八百津駅 1.9 7.3  

※廃止時のもの。

全線廃止以前の廃駅

以下の駅はすべて1944年(昭和19年)に休止となり、1969年(昭和44年)4月5日に廃止されている。

その他

脚注

  1. ^ 名古屋鉄道 編『名古屋鉄道社史』1961年、696頁。ASIN B000JAMKU4 
  2. ^ 名古屋鉄道 編『名古屋鉄道社史』1961年、697頁。ASIN B000JAMKU4 
  3. ^ 「鉄道起業廃止」『官報』1943年8月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 名古屋鉄道広報宣伝部(編)『名古屋鉄道百年史』名古屋鉄道、1994年、1012頁。 

関連項目

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